日本の軽自動車市場を破壊するかもしれない「黒船」の正体:BYDのEV軽自動車の脅威

濱田金男

濱田金男

テーマ:日本の未来を考える

BYDが2026年末までに日本の軽自動車市場に電気自動車(軽EV)を投入するというニュースに対し、日本の自動車メーカーは、短期的な脅威は「3つの壁」で阻止できる可能性が高いと見つつも、長期的な「破壊的イノベーション」のリスクに対しては警戒と準備が必要という姿勢で対応することが求められます。
以下に、ソースに基づいた日本の自動車メーカーの対応のポイントと、直面する脅威を解説します。
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 ★出典:ダイヤモンドオンライン記事:https://diamond.jp/articles/-/363888
1. BYDがもたらす「コストパフォーマンス」の脅威
日本の自動車メーカーが最も警戒すべきは、BYDが価格と性能において国産車を凌駕
する可能性がある点です。
• 圧倒的な性能差の可能性: BYDは独自のブレードバッテリー技術を保有しており、
 保守的に推定しても、その軽EVは国産のEVと比較して高いコストパフォーマンス
 を実現する可能性があります。

• 日産サクラとの比較: 例えば、国産EVの売れ筋である日産サクラが約260万円で
 航続距離180kmであるのに対し、BYDは低価格モデルで185万円、230km、高価
 格モデルで225万円、300kmというスペックをぶつけてくる可能性があります。

• 低価格攻勢: 日本のガソリン車の最安値モデルと同じ価格帯(税込110万円など)
 で、走行距離が170km程度の軽EVを補助金付きで販売された場合、特に生活が苦
 しくなった消費者層の心が動き始めるかもしれません。

2. 日本メーカーの現時点での防御策(BYDが直面する3つの壁)
コンサルタントの視点から見ると、BYDは日本市場において「3つの壁」に直面して
おり、日本の自動車メーカーはこれらを優位点として活用できます。

① 販売チャネル(流通網)の優位性の維持
軽自動車の主なユーザーは地方都市から郊外にかけて広く分布しています。
• 業販チャネルの強さ: 軽自動車の販売チャネルは、ディーラーだけでなく、地域に
 根付いた整備工場やガソリンスタンドが兼ねる「業販チャネル」が大きな役割を
 担っています。

• BYDのボトルネック: BYDのディーラー網は現在、高価格車戦略に合わせて都市部
 に集中しているため、全国をくまなく網羅する業販チャネルを一から構築するのは
 大変な手間がかかります。

• 対抗策: 日本メーカーはこの既存の整備・販売チャネルの盤石さを維持することが、
 BYDの軽自動車市場のコア消費者へのリーチを難しくするボトルネックとなり続け
 ます。

ただし、BYDがスバルなど日本の自動車メーカーに軽の販売を全面委託するといった
大型業務提携を結んだ場合、この防御壁は崩れる可能性があります。

② 軽自動車の「実用性・コスパ」への固執
日本の軽自動車ユーザーの多くは、価格の安さ、維持費の安さ、そして実用性と積載
量を最優先します。

• 売れ筋モデルの追求: ホンダのN-BOXが売れ筋1位であるように、サイズぎりぎり
 の真四角に近いフォルムで、荷物がたくさん積める実用性とコストパフォーマンス
 が最も優先されます。

• BYDの「間違え」への期待: BYDがブランドイメージを重視しすぎ、ヨーロッパの
 デザイナーを起用してレトロでお洒落なデザイン(ミニクーパーやプジョーのよう
 なフォルム)を採用した場合、コストが高くなり、実用性とコスパを優先する日本
 の軽ユーザーのニーズから外れる可能性があります。日本のメーカーは、引き続き
 実用性の高さを追求する戦略を維持すると考えられます。

• インフラ適合性: 軽ユーザーのマジョリティは自宅ガレージに100V電源を持ってお
 り、日常の短距離移動(片道20km弱など)には100V充電で十分対応できています。
 BYDが航続距離の長さをアピールしても、日産サクラのような現行モデルが日常使
 いで十分な性能を持っているため、国産車に軍配が上がる可能性はあります。

③ ブランドイメージと信頼性の維持
中国車に対する「信頼性や耐久性に対する懸念」といったイメージの低さは、現状、
日本市場でのBYDの浸透を妨げる一番目の障壁となっています。日本のメーカーは、
この信頼性のアドバンテージを最大限に活用し続けることが重要です。

3. 日本メーカーにとっての「本当の恐怖」と今後の準備
日本メーカーにとっての「本当の恐怖」は、BYDがイノベーションのジレンマでい
うところの破壊的イノベーターの位置づけを確立することです。

「安かろう悪かろう」だと思っていた消費者が、いざ使い始めたら「この安さでこの
性能なら十分じゃないか」と考え始め、低価格市場が破壊的イノベーター製品に占有
されてしまう事態を避ける必要があります。

日本の自動車メーカーは、来年発表されるであろうBYDの軽自動車の新車情報を見て
どのシナリオで「黒船」が来たとしてもうろたえずに立ち向かえるように、一定の準
備が必要だと指摘されています。

特に警戒すべきは、軽EVの次に来るかもしれない、2027年頃の軽のプラグインハイ
ブリッド(PHEV)の投入といった「想定外のヒット商品」の出現です。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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