形骸化の本質と日本社会における構造的問題(1)企業や日本社会に蔓延るその実態と影響とは

濱田金男

濱田金男

テーマ:日本の未来を考える

形骸化とは、もともと持っていた内容や意味、精神が失われ、外見や形式だけが残ることを指します。実質を伴わない状態に陥ることをネガティブな文脈で使うことが多い言葉です。
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形骸化という言葉の背景
「形骸化」の「形骸」という言葉は、文字通り「形の骸(むくろ)」と書きます。「骸」は「人の死体」や「物体の残りかす」を意味し、生命や魂が失われた抜け殻を表します。このため、「形骸化」は、本来の目的や意義を失い、ただ形だけが残ってしまった状態を比喩的に表現する言葉として使われるようになりました。

なぜ形骸化するのか?その原因と弊害
形骸化が起こる原因は多岐にわたります。主な原因とその弊害は以下の通りです。

原因
目的・意義の共有不足: ルールや制度が導入された当初の目的が、時間と共に忘れられたり、関係者間で十分に共有されなかったりすると、形骸化しやすくなります。

過剰な形式主義: 形式や手続きが目的化し、本来の目的を達成するための手段であったはずが、手段そのものが重視されるようになります。

変化への対応不足: 時代や環境が変化しても、ルールや制度が更新されず、現状にそぐわなくなってしまうため、実態との間に乖離が生じます。

権威主義: 権力者が定めたルールが、実情を顧みずに絶対視され、疑問を呈することが難しくなるため、柔軟な運用や見直しが行われません。

責任の回避: 誰もが責任を負いたくないため、既存のルールに従うことに終始し、主体的な行動や改善が行われない状態になります。

弊害
生産性の低下: 意味のない形式的な作業が増えることで、本当に重要な業務に割く時間やリソースが失われます。

モチベーションの低下: ールや制度が形骸化していることを認識しているにもかかわらず、従わざるを得ない状況が、従業員のエンゲージメントや仕事への意欲を削ぎます。

組織の硬直化: 変化に対応できず、新しいアイデアや挑戦が生まれにくい、風通しの悪い組織風土が形成されます。

企業や日本社会に蔓延る形骸化の実態と影響
日本社会では、以下のような形で形骸化がよく見られます。

企業における実態
稟議制度: 多くの承認プロセスを経ることで、意思決定が遅れ、責任の所在が曖昧になります。

年功序列: 能力や実績に関係なく、勤続年数に応じて昇進・昇給が決まるため、優秀な若手のモチベーションが低下します。

朝礼や会議: 報告や連絡、挨拶が目的となり、本来の目的である活発な意見交換や課題解決が後回しにされます。

研修制度: 外部から導入した研修プログラムが、現場のニーズに合わないまま惰性で続けられ、効果が上がりません。

日本社会における実態
学校の校則: 「なぜその校則があるのか?」という理由が不明確なまま残されているものが多く、生徒の主体性を阻害します。

行政手続き: 申請書類の多さや対面での手続きを求める慣行が、デジタル化が進む現代社会のニーズに合っていません。

祭りや伝統行事: 本来の宗教的・文化的意義が薄れ、ただの観光イベントとして形だけが残ることがあります。

これらの形骸化は、企業の競争力低下や社会全体のイノベーションの停滞、個人の活力を奪うことにつながります。

形骸化への対応策
形骸化を防ぎ、組織や社会を活性化させるためには、以下の対応策が有効です。

目的の再定義と共有: ルールや制度がなぜ存在するのか、その本来の目的を定期的に見直し、関係者全員に共有することが重要です。

実態に合わせた見直し: 定期的にルールや制度の効果を測定し、時代や環境の変化に合わせて柔軟に改定します。

対話の促進: 形式的な手続きではなく、対話を通じて課題を解決する文化を醸成します。

権限委譲と自己責任: 形式的な承認プロセスを減らし、現場に意思決定の権限を委譲することで、個人の主体性を引き出します。

デジタル化の推進: 手作業や紙の書類に依存する無駄なプロセスを、デジタル技術を活用して効率化することで、本来の業務に集中できる環境を整えます。

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