町工場でもできる品質改善!身の丈に応じた最上の品質管理とは
中国が「世界の工場」としての役割を変化させる中、次なる生産拠点としてASEAN
諸国とインドが熱い視線を集めています。しかし、単に中国の代替地として捉える
だけでは、その真価は引き出せません。
今回は、両地域の現状と課題を踏まえ、日本企業が今後どう対応すべきかに焦点を
当てて考えてみましょう。
●中国、もはや「世界の工場」だけじゃない?
長らく世界の製造業を牽引してきた中国。しかし、人件費の高騰、米中対立による
サプライチェーンの見直し、そして中国自身の内需拡大へのシフトなど、その役割は
大きく変化しています。多くの企業が「中国+1」(チャイナプラスワン)戦略を推
進し、生産拠点の多角化を急いでいるのはご存じの通りです。
●注目されるASEANとインド、それぞれの魅力と課題
では、具体的にASEANとインドはどのような可能性を秘めているのでしょうか?
<ASEAN>
多様性と成長が魅力、でも一筋縄ではいかない
ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど、多様な国々で構成
されるASEAN。若い労働力、安定した経済成長、そしてRCEPなどの自由貿易協定に
よる市場拡大は大きな魅力です。安価な労働力を求めるならベトナムやインドネシア
サプライチェーンの集積を重視するならタイといったように、企業のニーズに合わせ
て選択肢が豊富なのが強みです。
しかし、インフラの未整備やサプライチェーンの脆弱性、労働者のスキル差、そして
一部の国での政治的安定性といった課題も存在します。一概に「ASEAN」と括るので
はなく、各国ごとの状況を細かく見極める必要があります。
<インド>
巨大な可能性を秘めるが、道のりは険しい?
14億人を超える巨大な人口、若年層が中心の労働力、そしてモディ政権が掲げる「Make
in India」政策による製造業誘致は、インドを非常に魅力的な市場にしています。IT
分野の強みや英語が通じる点もグローバル企業にとっては有利です。
一方で、インフラの未整備は深刻で、複雑な規制や手続き、土地取得の難しさ、硬直的
な労働法制など、ビジネスを始める上での障壁は少なくありません。まさに「大器晩成
型」と言えるかもしれません。
●日本企業が今後取るべき対応:ただの移転ではダメ!
ASEANやインドへの進出は、単なる生産拠点の移転ではなく、新たな成長戦略の一環
として捉える必要があります。では、具体的にどのような対応が求められるでしょうか?
(1)「脱・生産拠点」の発想で、現地を「市場」として捉える
ASEANもインドも、中間層の拡大により消費市場としての魅力が飛躍的に高まってい
ます。単に製品を作るだけでなく、現地のニーズに合わせた製品開発やサービス提供を
視野に入れるべきです。
例えば、日本の高品質な家電をそのまま売るのではなく、現地の住宅事情やライフスタ
イルに合わせたコンパクトなモデルや、デジタル決済に特化したサービスを提供するな
ど、徹底したローカライズが成功の鍵を握ります。
(2)サプライチェーンを「強靭化」し、「地産地消」も視野に
中国一極集中で明らかになったサプライチェーンのリスク。ASEANやインドでは、まだ
中国ほど部品供給網が確立されていないケースも多いです。日本企業は、現地での部品
調達を増やす「地産地消」を推進したり、複数の国に生産拠点を分散したりすることで
より強靭で柔軟なサプライチェーンを構築する必要があります。これは、リスクヘッジ
だけでなく、リードタイムの短縮やコスト削減にも繋がります。
(3)「人」への投資を惜しまず、現地に根差した組織作りを
インフラ整備も重要ですが、最も重要なのは「人」です。現地の労働者のスキルアップ
のための教育・研修投資は不可欠です。また、日本式のマネジメントを押し付けるので
はなく、現地の文化を尊重し、現地人材の登用や育成に力を入れるべきです。幹部層
まで現地化を進めることで、企業の持続可能性は格段に高まります。
(4)日本政府との連携を密に、インフラ・制度整備の後押しを
日本政府は、ODA(政府開発援助)などを通じて、ASEANやインドのインフラ整備や
人材育成を積極的に支援しています。企業は、こうした政府の支援策を最大限に活用
するとともに、具体的な課題を政府に提言し、投資環境の改善に向けた二国間対話を
促すことも重要です。官民一体となった取り組みが、日本企業の競争力強化に繋がり
ます。
(5)デジタル化の推進とサステナビリティへの配慮
生産プロセスのデジタル化(IoT、AI活用など)を進めることで、効率化と品質向上
を図りましょう。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮したサステナブルな
事業活動は、現地コミュニティとの良好な関係を築き、長期的な視点での企業価値
向上に不可欠です。
●まとめ:新たな成長のフロンティアへ
ASEANやインドは、単なる安価な労働力供給地ではなく、今後の世界の成長を牽引
する新たな市場であり、生産拠点としての多様な選択肢を提供してくれます。
日本企業は、目先のコスト削減だけでなく、現地の市場開拓、強靭なサプライチェー
ン構築、そして現地社会との共存共栄を目指す長期的な視点を持つことで、これらの
地域を「新・世界の工場」から「新・成長のフロンティア」へと変え、自社の持続的
な成長を実現できるはずです。
日本企業がこれらの国々でどのような成功事例を生み出していくのか、非常に楽しみ
ですね。もし、ASEANやインドの特定の国についてさらに詳しく知りたいなど、ご
質問があればお気軽にお尋ねください。



