「多品種少量生産」で利益を上げるノウハウを駆使し、注目を浴びる「ミスミmeviy(メビー)」とは?
「うちの工場も、そろそろAIかな…」なんて考えている製造業の皆さん、こんにちは!
AIを使ってベテランの技を若手に伝える「技能伝承」に注目が集まっていますが、実は
そこには「設備」の力が欠かせないってご存知でしたか?
今回は、AIと製造現場の設備をうまく連携させて、技能伝承をパワーアップさせる方法
について、分かりやすく解説します。
あなたの工場の機械たちが、実は「技能データの宝庫」かもしれませんよ!
1. AIとタッグを組む!製造設備が「賢く」なる未来
AIに技能を学ばせるには、まず「お手本」となるデータが必要です。そのデータを
集めるために、工場の設備たちが大活躍してくれるんです。
●あなたの周りにも?「IoTセンサー」が技能を見える化
最近よく聞く「IoT」。これは、色々なモノをインターネットにつなぐ技術のこと
です。工場では、機械や作業者に取り付けられた小さなセンサー(IoTセンサー)が
作業の様子や設備の動き、周りの環境(温度や湿度など)といった細かいデータを
集めてくれます 。
例えば、兵庫県のある製作所では、作業員が腕時計型のIoT端末を装着。これで一人
ひとりの作業時間や動きを把握し、生産性アップにつなげているそうです 。ベテラン
の無駄のない動きや、機械の微妙な変化も、センサーなら逃さずキャッチ!これが
AIにとって貴重な「お手本データ」になるんです。
●まるで双子?「デジタルツイン」で安全トレーニング
「デジタルツイン」って聞いたことありますか?これは、現実の工場や機械を、そっ
くりそのままコンピュータの中に仮想的に再現する技術のこと 。まるで「工場の
双子」です。
この仮想工場を使えば、実際の機械を動かさずに、色々な作業のシミュレーション
ができます。例えば、危険な作業の訓練も安全に行えますし、機械の操作方法を
じっくり学ぶことも可能です 。AIは、このデジタルツインから得られるデータや、
仮想空間での訓練の様子を分析して、より効果的な技能伝承に役立てます。
シーメンス社やケーザー・コンプレッサー社といった海外の先進企業でも活用され
ています 。
●AIでパワーアップ!「賢いロボット」がお手伝い
AIを搭載したロボットや、人と一緒に働く「協働ロボット(コボット)」も、技能
伝承の強い味方 。これらのロボットは、ベテランの作業を覚えたり、お手本として
作業を実演したりすることで、若手の訓練をサポートします。AIのおかげで、より
複雑な作業もこなせるようになり、人間と協力しながら、安全かつ効率的に技能を
伝えることができるようになります。
●古い設備でも諦めないで!
「うちの工場は古い機械ばかりだから…」と諦めるのはまだ早いです。既存の設備
に後からセンサーを取り付けたり、AIシステムと連携させたりすることで、十分に
技能データを集めることは可能です 。大切なのは、今ある設備をどう活かすか、と
いう視点です。
2. AIの「教科書」作り!質の高い技能データを集めるコツ
AIが賢く技能を学ぶためには、質の高い「教科書」、つまりデータが不可欠です。
では、どんな点に気をつければ良いのでしょうか?
●「ゴミからはゴミしか生まれない」データ品質の重要性
AIにとって、データはまさに「ご飯」。質の悪いデータや、量が足りないデータ
では、AIは賢くなれません 。AI導入がうまくいかない原因の多くは、このデータ
品質にあると言われています 。技能伝承に使うデータも同じ。正確で、偏りがなく
十分な量のデータを集めることが成功の第一歩です。
●映像も音も動きも!「マルチモーダルデータ」で深く理解
人の技能は、言葉だけでは伝えきれない部分がたくさんあります。そこで注目され
ているのが、「マルチモーダルデータ」の活用です 。これは、映像(作業の様子)
音声(機械の音、作業者の声)、センサーデータ(動き、力加減、温度など)、
テキスト(作業日報、マニュアル)といった、色々な種類のデータを組み合わせて
AIに学ばせる方法です。
例えば、ベテランの作業をビデオで撮影し、同時にセンサーで手の動きや力の入れ
具合を記録、さらに作業日誌の記述も加えることで、AIはより深く、多角的に技能
を理解することができます。これにより、より精度の高いスキルモデルを作ること
が期待できます。
●AIが「匠の目」に?人間の動きを分析してスキル評価
AIは、センサーやカメラで捉えた人間の動きを細かく分析することも得意です 。
例えば、熟練者の無駄のない動きと、初心者のぎこちない動きを比較して、どこが
違うのか、どうすれば改善できるのかを具体的に示してくれます。これにより、
客観的なスキル評価や、より効果的なトレーニング方法の開発に繋がります。
研究論文では、GOM(Gesture Operational Model)といった手法を使い、人間
の姿勢変化を分析する試みも行われています 。
●データのお掃除も忘れずに!「前処理」の大切さ
集めたデータは、そのままAIの「ご飯」にできるわけではありません。不要な情報
を取り除いたり、AIが理解しやすい形に整えたりする「前処理」という作業が必要
です。このひと手間が、AIの学習効果を大きく左右します。
●「なぜそう動くの?」が分かると、もっと伝わる
AIが「この動きは良い」「この手順は効率的」と判断したとき、その「理由」まで
分かると、学ぶ側も納得しやすいですよね。最近では、「説明可能なAI(XAI)」と
いって、AIの判断根拠を人間にも分かりやすく示してくれる技術も進んでいます 。
これが技能伝承の質をさらに高めてくれるかもしれません。
3. 成功と失敗から学ぶ!設備とデータのAI活用事例
百聞は一見に如かず。実際にAIと設備・データを連携させて成果を上げている例や、
残念ながらうまくいかなかった例を見てみましょう。
●【成功事例】AIが匠の技を超えた!?
<ブリヂストン「EXAMATION」システム>
タイヤの製造工程にAIを導入。AIが膨大なデータから熟練者の技能を学習しタイヤ
の真円度(まんまるさ)を15%も向上させ、さらに生産性も約2倍にアップさせま
した 。まさにAIが人間の技を再現し、超えた事例と言えるでしょう。
<トヨタ自動車の「磁気探傷検査AI」>
部品の目に見えない微細なキズを見つける検査に、AI画像認識技術を導入。従来は
見逃しもあった難しい検査で、AIは見逃し率0%を達成し、省人化にも貢献しました。
<シーメンスの「スマート工場」>
工場内のセンサーデータをAIで分析し、機械が故障する前に予兆を捉えてメンテナ
ンスを行う「予知保全」を実現。これにより、突然の機械停止による生産ロスを大
幅に減らしています 。
●【失敗から学ぶ】こんな落とし穴に注意!
AI導入は、いつも成功するとは限りません。よくある失敗の原因を知っておくこと
が大切です。
<インフラが追いつかない…>
「AIを導入するぞ!」と意気込んでも、工場のネットワーク環境が古かったり、セン
サーが足りなかったりすると、AIが本領を発揮できません 。
<データがイマイチ…>
「データはたくさんあるけど、質が低い」「そもそもデータが足りない」というケ
ースも。AIの性能はデータの質と量に大きく左右されるため、これが原因でAIモデル
の精度が上がらず、プロジェクトが頓挫することがあります 。
例えば、あるメーカーでは、データ量は十分でも画像の解像度が低く、AIがうまく
学習できなかった例があります 。
<既存システムとうまくつながらない…>
新しいAIシステムを、工場で昔から使っている古いシステムと連携させるのは、思っ
た以上に大変なことがあります。Ford社が挑戦したAIによる予知保全プロジェクトは
技術的には有望だったものの、既存のサービスシステムとの統合がうまくいかず、全
社展開には至らなかったと言われています。
●失敗から学ぶ教訓は?
これらの失敗例から言えるのは、「AIモデルが優れている」だけではダメだということ
です。AIがスムーズに動くためのしっかりとしたデータ基盤(データの質、量、流れ)
と、既存設備やシステムとの連携を、導入初期からしっかり計画することが成功の秘
訣と言えそうです。
●まとめ:工場の「設備」は、未来を創るパートナー!
AIと製造現場の設備は、技能伝承を成功させるための強力なタッグです。
<設備は「技能データの宝庫」>
センサーやカメラを通じて、ベテランの技や機械の動きをデータとして集める。
<AIはそのデータを「賢く分析」>
集めたデータから、技能のコツや改善点を見つけ出し、分かりやすく「見える化」する。
<デジタルツインやAR/VRで「実践的に学べる」>
仮想空間で安全かつリアルな訓練ができる。
もちろん、AI導入にはしっかりとした準備と、トライ&エラーを恐れない姿勢が大切
です。しかし、設備とAIの力をうまく引き出すことができれば、技能伝承の課題を解
決し、工場の生産性や品質を大きく向上させる道が開けるはずです。
あなたの工場の設備たちも、AIという新しい頭脳を得て、未来を創るパートナーに
なるかもしれませんね!
(その5に続く)



