なぜ製造業はRPAに注目するのか?(1)RPA入門:初心者向け自動化ガイド

濱田金男

濱田金男

テーマ:DX化で製造業は変わる!

I. はじめに:製造業の課題に立ち向かう、あなたのデジタルヘルパー
現代の製造業は、絶え間ない効率化への要求、コスト削減圧力、そして深刻化する
人手不足といった多くの課題に直面しています 。高い品質を維持し、競争力を保つ
ためには、新しい働き方や技術の導入が不可欠です 。  

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このような状況の中で、注目を集めているのがRPA(ロボティック・プロセス・オー
トメーション)です。難しそうに聞こえるかもしれませんが、RPAはコンピューター
上で行われる定型的な作業を代行してくれる「ソフトウェアロボット」や「デジタル
アシスタント」のようなものだと考えてください 。特別なITスキルがなくても活用
できる場面が多く、製造業においてもその導入が急速に進んでいます 。  

この記事では、RPAとは何か、なぜ製造業で重要なのか、特に在庫管理や生産管理
でどのように役立つのか、そして導入する上でのメリットや注意点、簡単な始め方
について、初心者の方にも分かりやすく解説します。専門知識は不要ですので、RPA
があなたの仕事やビジネスにどのように関わってくる可能性があるのか、一緒に見て
いきましょう 。  

II. RPAとは何か? 基本的な仕組みをシンプルに解説
RPA(Robotic Process Automation)とは、一言で言えば、人間がパソコンで行っ
ている定型的な繰り返し作業を、ソフトウェアが自動的に実行する技術のことです。
まるでロボットがパソコンを操作するように見えることから、「ソフトウェアロボ
ット」とも呼ばれます。  

どのように動くのか?
RPAは、事前に設定された「シナリオ」や「スクリプト」と呼ばれる指示書に従って
動作します 。この指示書には、「メールを開いて添付ファイルを確認する」「Excel
ファイルからデータをコピーする」「会社の基幹システムにデータを入力する」と
いった具体的な作業手順が記録されています。RPAソフトウェアは、この指示通りに
マウスをクリックしたり、キーボードで文字を入力したり、データをコピー&ペース
トしたりと、人間と同じようにパソコンの画面を操作します 。  

RPAの得意技:複数のソフトウェアをまたいだ作業
RPAの大きな特徴の一つは、複数の異なるソフトウェアやシステムを連携させて作業
できる点です 。例えば、取引先からメールで受け取った注文データをExcelで集計し、
その結果を在庫管理システムや生産管理システム(ERPなど)に自動で入力するとい
った、複数のアプリケーションを横断する一連の作業を自動化できます 。これは、
特定のソフトウェア(例えばExcel)内での自動化に限定されることが多いマクロ機能
とは異なる、RPA機能の強力な点です 。  

AI(人工知能)との違い
よく混同されがちですが、一般的なRPAはAI(人工知能)とは異なります。RPAは基
本的に、あらかじめ決められたルール通りに、指示された作業を正確に実行すること
に特化しています 。自分で考えて判断したり、学習して新しい対応をしたりするこ
とは(通常)ありません 。一方、AIはデータから学習し、予測や判断を行うことが
できます 。  

重要なポイント:ルール化された作業が前提
RPAは指示されたルールを忠実に守るため、自動化する作業は手順やルールが明確に
決まっていて、毎回同じように繰り返される定型的なものである必要があります。
つまり、RPAを導入する前に、対象となる業務プロセスをしっかりと理解し、整理し
ておくことが成功の鍵となります。この準備プロセス自体が、業務の無駄を発見し
改善するきっかけになることも少なくありません。  

III. なぜ製造業はRPAに注目するのか?
製造業がRPA導入に積極的な背景には、業界特有の課題とRPAが提供する解決策が
密接に関係しています。単なるITツールとしてではなく、経営戦略上の重要な一手
として位置づけられつつあります 。  

深刻化する人手不足への対応:
少子高齢化による労働人口の減少は、製造業にとって特に深刻な問題です 。必要な
スキルを持つ人材の確保が難しくなる中で、RPAは定型的な事務作業やデータ処理
業務を代行することで、人手不足を補う有効な手段となります 。RPAロボットは24
時間365日、休憩なしで稼働できるため、限られた人員でも業務を継続・拡大する
ことが可能になります 。  

生産性の向上と効率化:
製造現場では、生産性向上が常に求められます。RPAは、データ入力、帳票作成、
システム間の情報転記といった時間のかかる手作業を自動化することで、従業員を
単純作業から解放します 。これにより、従業員はより付加価値の高い、例えば生産
プロセスの改善、品質管理の強化、顧客対応といった、人間にしかできない創造的
・戦略的な業務に集中できるようになります 。  

コスト削減の実現:
RPA導入には初期投資が必要ですが、長期的には人件費の削減につながる可能性が
あります 。単純作業の自動化により、残業時間の削減や、新規採用コストの抑制が
期待できます 。また、ヒューマンエラーによる手戻りや修正作業が減ることも、
コスト削減に貢献します 。実際に、年間数千時間の労働時間削減や、大幅なコスト
削減を達成した企業の事例も報告されています 。  

品質と精度の向上:
人間が手作業で行う繰り返し作業には、どうしても入力ミスや計算間違い、手順の
漏れといったヒューマンエラーがつきものです 。RPAはプログラムされた通りに
正確に作業を実行するため、これらのミスを大幅に削減できます 。データの正確性
が向上し、業務プロセス全体の品質安定化に貢献します。これは、精密さが求めら
れる製造業において特に重要なメリットです。  

事業継続計画(BCP)の強化:
自然災害や感染症のパンデミックなど、予期せぬ事態が発生し、従業員が出社でき
ない状況になった場合でも、RPAによって自動化された業務は停止することなく
継続できます 。これにより、事業継続性が高まり、企業のリスク耐性が強化され
ます 。  

これらの要因が複合的に作用し、製造業においてRPAは単なる効率化ツールではなく
人手不足、コスト圧力、品質要求、そして事業継続といった根本的な課題に対応する
ための戦略的な打ち手として認識され、導入が進んでいるのです。

なぜ製造業はRPAに注目するのか?(2)へつづく。

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濱田金男プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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