著しい製造業の技術力・現場力の低下!企業はどのように対処すれば良いか?
高崎市にある私たちSテクノロジーは、精密部品加工を得意とする町工場です。中でも
「部品X」は主力製品の一つ。品質には自信があり、納期も守ってきました。しかし、
ある日、経営層から降ってきたのは「部品Xの生産リードタイムを、現状の半分にする!」
という、耳を疑うような高い目標でした。
正直、最初はメンバー全員が「無理だろう…」「今のやり方で限界だよ」と戸惑いを
隠せませんでした。部品X加工ラインは、ベテランの経験と勘に支えられている部分
も多く、設備も最新とは言えません。
現状維持でも大変なのに、リードタイム半減なんて…。
でも、ここで諦めたらSテクノロジーじゃない!「難しいからこそ、挑戦する価値が
あるはずだ」「みんなで力を合わせれば、何か道は見つかるかもしれない」。そんな
声が少しずつ上がり始め、私たちはQCストーリー(課題達成型)の手法を使って、
この大きな壁にチームで挑むことを決意したのです。
挑戦の日々:壁を乗り越え、未来を切り拓く
まず、私たちは「加工時間短縮チーム」と「検査時間短縮チーム」に分かれ、現状の
プロセスを徹底的に洗い出すことから始めました。
見えてきた現実
ストップウォッチ片手に作業時間を計測し、ビデオで動きを分析。すると、段取り替え
に想像以上の時間がかかっていること、工具を探すムダ、作業者による手順のばらつき
検査での手待ち時間など、改善すべき点が次々と明らかになりました。
「普段当たり前だと思っていたけど、こんなにムダがあったんだ…」と、メンバーから
は驚きの声が上がりました。まさに「現状把握」の大切さを痛感した瞬間です。
知恵を絞る対策会議
各チームは持ち帰った課題を元に、対策案を練り上げます。「なぜなぜ分析」で根本原因
を探り、「職場ですぐできるカイゼン」「最新デジタル技術の情報収集」「スキルアップ」
の三本柱で具体的なアクションを考えました。
ホワイトボードは、メンバーのアイデアでみるみる埋まっていきました。
カイゼン魂に火が付いた!
「まずは自分たちでできることから!」と、5S活動を徹底。工具棚を整理し、治具の
置き場所を工夫するだけで、探す時間は確実に減りました。ベテランの知恵を借りて
段取り手順書を作成し、若手もスムーズに作業できるようになりました。小さな成功
体験が、チームの士気を高めていきました。
デジタルの世界へ飛び出す!
最新技術の情報収集も怠りません。メンバーで手分けしてインターネットで調べたり
オンライン展示会に参加したり。「こんな自動測定器があるのか!」「このロボット
アーム、うちでも使えないかな?」と、新しい技術に触れるたびに、メンバーの目は
輝きを増していきました。
取引先の商社さんに相談し、いくつか候補となる機種のデモも見せてもらい、費用対
効果を真剣に比較検討しました。
学びで未来を創る!
リードタイム短縮には、個々のスキルアップも不可欠です。誰がどんなスキルを持っ
ているか「スキルマップ」で可視化し、計画的なOJTを開始。ベテランが若手にマン
ツーマンで指導したり、お互いの得意な工程を教え合ったりする光景が日常になり
ました。外部の技術講習会にも積極的に参加し、新しい知識を現場に持ち帰って共有
する文化も生まれました。
変化の兆し、そして確かな手応え
取り組み開始から数ヶ月。最初はバラバラだったチームに、いつしか一体感が生まれ
ていました。難しい課題に直面しても、「どうすればできるか?」と前向きに議論し
助け合う姿が当たり前になったのです。
そして、努力は着実に実を結び始めました。
「先月より、平均リードタイムが〇時間短縮できたぞ!」
データで成果が見え始めると、メンバーのモチベーションはさらに高まります。新しい
測定器を導入したことで検査時間が大幅に短縮され、加工工程のカイゼンと合わせて、
目標としていた「リードタイム半減」が、決して夢物語ではない、現実的な目標として
見えてきたのです。
何より大きな変化は、メンバー一人ひとりの成長です。問題解決のスキルが身につき、
新しい技術への抵抗感がなくなり、何より「自分たちの力で職場を変えられる」と
いう自信が芽生えました。
未来へ続く改善の道
私たちの挑戦はまだ道半ばです。しかし、「リードタイム半減」という高い目標に向か
ってチーム一丸となって突き進んだ経験は、Sテクノロジーにとって、そしてメンバー
一人ひとりにとって、かけがえのない財産となりました。
このブログを読んでくださっている、同じように課題に立ち向かう全国の町工場の皆さん。
どんなに高い壁に見えても、仲間と知恵を絞り、一歩ずつ行動すれば、必ず道は拓けます。
私たちSテクノロジー・部品X加工ラインの挑戦が、皆さんの勇気やヒントに少しでもなれ
ば嬉しいです。
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(グループワークによる現場の改善活動の活性化をお手伝いします。)
さあ、私たちも次の改善に向けて、また新たな一歩を踏み出します!



