JIT(ジャストインタイム)改革の効果が得られない理由:7つの落とし穴と克服策
「在庫は悪」と言われるのは、貸借対照表上では資産として計上されるものの、実際
には多くの潜在的なコストやリスクを伴うためです。以下にその理由を詳しく説明
します。
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在庫が「悪」と言われる理由(潜在的なコストとリスク)
●保管コスト(維持費)
・倉庫費用: 在庫を保管するための倉庫の賃料、光熱費、管理費などがかかります。
・人件費: 在庫の入庫、出庫、整理、棚卸しなどに必要な人件費がかかります。
・保険料: 在庫に対する火災保険や盗難保険などの保険料がかかります。
・管理費: 在庫管理システムの運用費用などがかかります。
●資金コスト(機会損失)
・在庫として保有している資金は、他の投資や事業活動に活用することができません。
これは、本来得られたはずの利益(機会損失)を意味します。
・在庫を調達するために借入金を利用している場合、その金利負担が発生します。
●陳腐化リスク
特にファッション製品や技術製品など、ライフサイクルが短い製品の場合、在庫が
長期間滞留すると価値が下落したり、売れ残ったりするリスクがあります。
食品や医薬品などの場合は、品質劣化や有効期限切れのリスクがあります。
●不良在庫・滞留在庫リスク
需要予測の誤りや生産計画のミスなどにより、売れない在庫(不良在庫)や長期間
動かない在庫(滞留在庫)が発生する可能性があります。これらの在庫は最終的に
廃棄処分となる可能性があり、損失となります。
●品質劣化リスク
長期間保管された在庫は、湿気、温度変化、衝撃などにより品質が劣化する可能性
があります。
●管理コストの増大
品種が多いほど、在庫管理が複雑になり、管理コストが増大します。
●隠れた問題点の露呈の遅れ:
過剰な在庫は、生産工程やサプライチェーンにおける問題点を隠蔽してしまう可能性
があります。例えば、不良品が多く発生している場合でも、過剰な在庫があればすぐ
に欠品しないため、問題の発見と解決が遅れることがあります。
貸借対照表で資産として扱われる理由
貸借対照表は、企業の財政状態を一定時点において示すものであり、在庫は将来的に
販売されることで現金に変わる可能性のある「流動資産」として計上されます。
これは、会計上の評価であり、在庫が持つ潜在的な価値を表しています。
「在庫は悪」の真意
「在庫は悪」という言葉は、過剰な在庫や不必要な在庫を持つことのデメリットを強調
したものです。適切な量の在庫を持つことは、欠品を防ぎ、顧客ニーズに応えるために
必要不可欠です。しかし、過剰な在庫は上記の多くのコストやリスクを引き起こし、企業
の経営効率を悪化させる可能性があります。
したがって、企業は適切な在庫水準を維持するために、需要予測の精度向上、生産リード
タイムの短縮、サプライチェーンの最適化など、様々な取り組みを行っています。
リーン生産方式では、徹底的に無駄を排除する考え方に基づき、在庫を「隠れた悪」と
して捉え、極力削減することを目指しています。
まとめると、在庫は会計上は資産として扱われますが、過剰に保有することは多くの
コストとリスクを伴うため、「悪」と表現されることがあります。重要なのは、適切な
量を効率的に管理することです。



