中小製造業の多品種少量生産管理において、よく発生する問題、その背景・原因、そして対策とは?
製造業における社員の業務改善の重要性について、QCDの重要性はもちろんのこと
ヒト、組織、顧客満足度向上、変化絵の対応等について以下にまとめます。
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(社員の業務改善活動を活性化させるには)
1.業務効率と生産性の向上
業務改善は、作業の無駄を削減し、効率を向上させるために不可欠です。
・生産リードタイムの短縮や生産性の向上、付加価値の向上に繋がり、結果として企業の
利益率向上に貢献します。
・標準化を進めることで、作業品質の維持やミスの防止が期待できます。
・IT・デジタル技術の活用(DX)により、業務効率化や生産性向上が期待できます。
2.品質向上と不良低減
業務改善は、不良の発生を未然に防ぐための重要な手段です。
・ポカヨケ(エラー防止策)を導入することで、ヒューマンエラーを減らし、品質の安定
化を図ることが可能です。
・管理点と点検点を明確にし、定期的な点検を行うことで、品質を維持できます。
・特殊工程の管理を徹底することで、不良品の流出を防ぎ、品質を確保できます。
3.コスト削減
・業務改善は、無駄なコストを削減する上で重要です。
・原価低減活動を通じて、原材料費、労務費、流通費などの費用を抑制し、利益向上を
目指せます。
・人時生産性を向上させることで、人員配置の最適化や残業時間の削減に繋がり、コスト
削減に貢献します。
・設備の稼働状況を把握し、停止時間の削減に取り組むことで、設備投資の効率を高める
ことができます。
4.人材育成とモチベーション向上
業務改善は、従業員の能力開発にも繋がります。
・多能工化を進めることで、人材不足の解消や業務改善、生産性向上に貢献します。
・明確な目標設定や評価制度の導入により、従業員のモチベーションを高めることが
できます。
・チームによる課題取り組みや個人テーマの設定を通じて、従業員の成長を促進できます。
・動画マニュアルの作成・活用は、作業の標準化だけでなく、従業員の教育訓練にも役立
ちます。
・自立型人材の育成は、企業全体の成長に不可欠です。
5.リスク管理と安全確保
・業務改善は、潜在的なリスクを洗い出し、低減するために重要です。
・FMEA(故障モード影響解析)やDRBFM(デザインレビューに基づいた故障モード解析)
などの手法を用いて、リスクを評価し、対策を講じます。
・フェイルセーフやフォールトトレランスの設計思想を取り入れることで、製品の安全性
や信頼性を確保します。
・フールプルーフ(誤使用防止)設計により、人為的なミスによる事故を未然に防ぎます。
6・顧客満足度向上
・業務改善は、顧客のニーズに応えるために不可欠です。
・顧客視点で業務プロセスを見直し、顧客にとっての価値を最大化します。
・市場調査を行い、顧客の要求を正確に把握し、製品やサービスに反映させることで、
顧客満足度の向上が期待できます。
7.変化への対応
現代のビジネス環境は常に変化しており、業務改善は変化に対応するための不可欠な
手段です。
・新たな顧客や市場を開拓し、差別化技術をアピールできる組織構成を整備する必要が
あります。
・継続的な改善活動を通じて、競争力を維持・強化し、持続的な成長を目指します。
8.組織文化の醸成
・業務改善は、組織全体の意識改革を促進します。
・コミュニケーションの活性化や情報共有の徹底を通じて、チームワークを強化します。
・従業員が主体的に改善活動に参加できるような組織文化を醸成することが重要です。
これらの要素を総合的に考慮し、自社の状況に合わせて業務改善に取り組むことが、企業
の持続的な成長と競争力強化に繋がります。
業務改善の視点と実施後の効果測定について、以下のように説明します。
1.業務改善の視点
•顧客視点
・顧客にとってのメリットを明確にすることが重要です。
・顧客がどのような情報を求めているのか、どのような点を比較しているのか、購買しない
理由は何なのかを把握する必要があります。
・自社の強みを顧客軸で表現し、顧客の視点に立ったホームページを作成することで、問い
合わせ率の向上が期待できます。
・「顧客第一・短納期・高精度・高品質」といった、どの企業でも言えるような訴求では
なく、顧客にとって魅力的な差別化提案が必要です。
•現状把握
・現状の業務プロセスを把握し、問題点や改善点を見つけ出す必要があります。
・現場を三現主義で捉え、流れを阻害している問題点(仕掛品の停滞、作業のムダ、品質の
不具合など)を発掘します。
・業務上の問題だけでなく、組織文化や風土、人材育成など、多角的な視点での現状把握が
求められます。
•データ活用
・過去の受注案件を分析し、利益率の高い案件やその理由、顧客にとってのメリットなど
を明確にします。
・図面分析を行い、自社の競争力や採算性の高い仕事を明確にすることも有効です。
・収集したデータをグラフなどで可視化し、改善に役立てます。
•問題解決
・問題の本質を捉え、真の原因を突き止めるために、なぜなぜ分析などの手法を活用します。
・単に要因を洗い出すだけでなく、因果関係やその背後にある品質管理上の原因を解明する
必要があります。
・発生した問題に対して、再発防止策を講じ、その対策が守られているかを確認すること
も重要です。
•リスク管理
・潜在的な不具合を洗い出す仕組みづくりが必要です。
・リスクの評価を行い、許容できないリスクに対しては改善策を講じます。
・リスクは「発生の可能性」と「被害の大きさ」で示すことができます。
•人材育成
・自立型人材の育成が重要です。自立型人材とは、「課題を発見し、その課題に対して解決
の道筋をたて、その道筋に沿って部門を超えた連携ができる人材」と定義されます。
・各階層別の人材像を明確化し、効果的な教育訓練を実施します。
・チャレンジングな仕事が人材を成長させるため、困難な課題に挑戦する機会を提供する
ことが重要です。
・部下を指導する際には、部下のことをよく知り、信頼関係を築くことが重要です。
2.業務改善実施後の効果測定
•目標設定
・業務改善を行う前に、具体的な目標を設定します。
・目標は、数値化できるものが望ましいです(例:納期短縮率、不良品削減率、コスト削減
額など)。
•データの収集
・改善前後のデータを収集し、比較分析を行います。
・ヒストグラムなどのツールを活用し、データのばらつきや偏りを分析します。
・層別したヒストグラムを作成し、原因を特定することも有効です。
•効果の検証
・設定した目標が達成されたかどうかを検証します。
・単に目標を達成しただけでなく、業務プロセスが改善されたか、顧客満足度が向上したか
など、多角的な視点での効果検証が必要です。
・改善活動が持続可能であるか、再発防止策は有効かなども確認する必要があります。
•PDCAサイクルの活用
・Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを回し
継続的な改善を目指します。
・改善後も定期的に効果測定を行い、必要に応じて改善策を見直します。
•コミュニケーション
・現場とのコミュニケーションを密にし、改善活動の進捗状況や課題を共有します。
・改善活動の結果を関係者全員に周知し、意識改革やモチベーション向上につなげます。
3.その他
•IT・デジタル技術の活用
・DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、ITやデジタル技術を導入すること
で、業務効率化や生産性向上を図ることが可能です。
・デジタル技術を導入するだけでなく、ビジネスモデルや組織文化、風土を変革すること
が重要です。
•標準化
・作業手順書を作成し、標準化を行うことで、作業品質の維持やミスの防止が期待できます。
・作業手順書は作成して終わりではなく、正しく管理し、教育訓練を行うことが重要です。
•ポカヨケ
・作業ミスを防止するための仕組みや装置(ポカヨケ)を導入します。
・ポカヨケは、機械・器具だけでなく、情報、作業方法、仕組みなど、多角的に検討する
必要があります。
これらの視点と効果測定方法を参考に、自社の状況に合わせて業務改善を進めてください。



