企業活動におけるマネジメントサイクル(Plan Do Check Act cycle)と5W1Hのマトリクス思考とは?
品質改善活動の基本となる「5S改善活動」について解説します。
1.5Sの目的
5Sとは、「整理」・「整頓」・「清掃」・「清潔」・「躾」という5つ
のSを実施することです。
また3定とは、定められた位置(定位置)に、定められたモノ(定品)
を、定められた量 (定量)置くことを指します。
5S活動における整頓とは、単にモノをきれいに整えることだけでなく、
「必要なモノ」を「決められた場所」に「いつでも取りやすい」ように
置くことです。つまり「3定」(さんてい)を決めること、とも言われ
ています。
製造工場の5Sは、効率化、現場従事者の規律強化、経費削減、安全管理
などの効果が期待されています。
しかし、5Sに取り組んではいるが、現場が綺麗になっていない、規律も
守られていないなどの工場も見受けられ、疑問を持ちながらもこのよう
な5S活動を継続させている企業も多いのです。
5Sが定着しない理由の1つが目的が不明確になっていることがあげられ
ます。例えば、機械加工工場と食品工場では明らかに目的は異なります。
機械加工工業5Sの目的は、効率化、現場従事者の規律強化、経費削減、
安全管理などであるのに対し、食品工場の目的は綺麗で衛生的な環境を
保つことです。
大半の従事者は、その目的や意味、必要性を理解していないことが多く
大半の従業員は周りに流されています。
2.5S基準
5Sの目的と、達成レベルをどこに置くかで、管理基準が決まります。
・在庫金額、不良率、労働生産性などを数値化し、見える化する
・製品や仕掛品の置場や数量(在庫を減らす、一定数に保つ)
・異物や不良品の混入を防ぐ(清掃の頻度、不良品の識別方法)
・作業時間の短縮(治工具の置場管理、部品材料の取り揃え方法)
5Sのために何時間、時間をかけているでしょうか?
もし毎日、30人が30分、5Sのために全員が時間を取っているとすると
0.5H×30人×22日=330時間/月かけていることになります。
時給1500円とすると、330時間×1500円=495000円/月、年間に
換算すると594万円になります。
経営者として、594万円掛けた効果をどう評価するでしょうか?
工場がきれいになった、仕事がやり易くなった、お客様にほめて頂い
たなど、もちろん無形の効果はあるでしょう。しかし経営効果として
具体的に何を期待しているかを明確にしなければなりません。
経営効果が分からなければ、5Sを毎日行っている従業員は負担ばかり
で、利益に貢献しているのか、それが自分の業績にどう跳ね返ってく
るのかもわかりません。
そういう見方で5Sの効果を考えてみると
整理:不要なものを捨てる、仕掛在庫をなくすことによって資金の
回転が良くなる。
整頓:モノを取り出しやすくする、工具を探す時間が短縮するなど
生産性がアップする。
清掃:機械設備や治工具を清掃することで、故障を未然に発見でき
チョコ停が減る。
など、それぞれ生産性の向上や、リードタイム短縮に直結していること
が重要です。
この指標を全員に見える化して、5S改善を行うことにより、目標に向
かって改善が進んでいることが明確になります。
貢献度によって評価にも反映することで、従業員のモラールアップに
もつながってきます。
3.5S運用ルール
5S活動を運用するにあたって、PDCAが回るようにします。
計画:目的を踏まえ、管理する項目、確認頻度、担当を決める
教育実施の内容、頻度、担当を決める
運用:誰が、いつ、何を(5W1H)を明確にする
うまくいかない項目は、原因調査と対策を実施する
検証:毎月、毎期、毎年の単位で目的を達成したか、基準に到達したか
についてレビューし検証する。結果を次の計画に反映させる。
間違った運用は、効果が得られないどころか、形骸化し、実際の業務に
於いても虚偽の報告やデーターのねつ造問題に発展し、企業の信頼が
失墜しかねません。
目的と効果を正しく理解し、何事にも限界があることも見極めながら行
動する姿勢が重要と考えられます。