IOTを小規模製造業に導入する方法、稼働監視可能な簡易型IOT:工作機械、マシニングセンターに簡単設置できる
DX化、デジタル化の波が急激に進展しています。
しかし、日本のDX化は大企業において、その取り組みが見られるもの
の、中小においては進んでいない、むしろ後退しているとも言われて
おり、その課題を明らかにして早急な対策を行っていく必要があります。
1.日本の中小企業のDX化が遅れている理由
①日本の製造業は長年にわたる歴史と実績があり、従来の製造方法に
対する信頼感、従来技術に対する誇りが強いため、新しい技術の導入
に対する抵抗がある。
②製造業においては大規模な投資が必要なデジタル技術導入に対する
将来を見据えた場合のためらいと、資金的余裕から投資不足となって
いる。
③デジタル技術を活用するためには、専門的なスキルを持った人材が
必要であり、その人材不足がDX化を妨げている。
④多種多様なデジタル技術があり、製造業にとって最適な技術の選択が
困難である。
これらの問題を克服するためには、製造業者がより積極的にDXへの取り
組みを進め、技術的なリーダーシップを発揮することが重要であり、
また、政府や産業団体の支援が必要です。
2.ワークマンのEXCEL経営とは
しかし、DX化といっても、いざ取り組もうとしても何から始めたらいいか?
迷ってしまう企業も多いと考えられます。
作業服のチェーン店として知られるワークマンは最近メディアを賑わせて
います。
「ワークマンプラス」「ワークマンプロ」「ワークマン女子」などの業態を
次々に出店、最近では、「ワークマン カラーズ」という新業態を東京の
中心部に出店しました。
このような経営を支えているのは実は、「Excel経営」であると言われて
います。以下にEXCELデータ活用の成功事例を紹介します。
Excel経営は、Excel教育を社員全員に実施すことにより、会社全体の
データ経営力の向上を目指した経営方法です。
ワークマンが行うExcel経営は、ワークマンがもともと持っていた商品
価値を、より効果的に扱うことに成功しているのです。
「作業服」から出発したワークマンは、作業服をを購入してくれる顧客数
は限られているため、いつかは市場が飽和し、売上が頭打ちになってくる
と予想し、未来のためには、新しい顧客を確保する必要があると考えました。
3.データ活用でブルーオーシャン市場進出
ワークマンは、自社が得意とする「低価格×機能性」の衣服をそのまま
扱えそうな、ブルーオーシャン(競合が少ない)市場に目を付け、競合と
顧客の取り合いにならないような戦略を考えました。しかし心配は少ない
ものの、代わりに経営のお手本となる企業がいないため、どのように経営
戦略を練っていけば良いか分からない状態でした。
そこで、社員全員にExcel教育を施し、会社全体のデータ経営スキルを
向上させることにし、現場に関わる社員が知識を持てば、それぞれの店舗
で培った経験を、データから読み解き利用することができる。社員総出で
何年もかけてデータを集めるよう努めました。
蓄積されたデータを活用し、業態を変えブルーオーシャン市場に新店舗を
構えた結果、ワークマンは業績を伸ばすことに成功しました。
ワークマンの強みである商品に手を加えることなく、ターゲット層を変え
ただけで利益を出せたのは、Excel経営が功を奏したと言えるでしょう。
数字の裏付けを基に考えることのメリットは、社内コミュニケーションの
質を高めるだけではなく、上司や社外へのコミュニケーションの根底に
数字が加わることで、確かな事実に基づいて問題解決できる(変革する力)
利益率を意識して行動できる(儲ける力)が身につき、社員のボトムアップ
力向上による提案力が身につきました。
4.EXCELはDX化の強力なツール
一般的にDXと聞くとAI(人工知能)や、IOTシステムなどといった高性能
・高コストのツールが連想されますが、こういったツールは、導入しても
使いこなせる人材が社内で不足したり、コストがかさんで長期的な利用が
難しかったりと「持続可能なDX」という観点からリスクが高いため、導入
に慎重な企業が多いのが実態です。
「ExcelでDXに必要な機能が備わっているのか?」との疑問を感じる人も
多いと思いますが、分析におけるカスタマイズ性の高さや新機能が次々と
実装されることを考慮すると、よほど高度なデータ業務でない限り幅広く
対応が可能と考えられます。
またExcelであれば、ほとんどの企業で既に導入されており、社員にとって
もなじみのツールであるため、コスト・使用面の両面において強みがある
と言えます。
ワークマンの事例から、DXツールとして有用なExcelですが、全社員が
継続的に活用するようになるには、適切な方法で研修を実施する必要が
あると考えられます。まずは、簡単なQC七つ道具、そしてEXCEL統計
から学んでいくことを推奨したいと思います。
DX時代にあっても、従来からの品質管理手法は強力な武器となります。