生きる力は、駅伝の襷?

須田敏男

須田敏男

テーマ:生き方

 96歳、高血圧症と糖尿病の持病を持つ父が、コロナウィルスに感染して入院し、酸素濃度が下がり酸素吸入をしていると聞いた時には、命の危険を感じていました。
 その後の病院の適切な対応と父の頑張りのお陰で、何とか切り抜け、リハビリのための転院をしました。
 転院の際、久しぶりに会話をする事ができました。
正月が近いと言うことを知ると、正月の準備について、いろいろ教えてくれました。
 今まで内に溜まっていたエネルギーが噴き出したように次から次へと言葉を発し、先祖の墓の心配まで話してくれました。
 そして、「通帳のお金を自由に使ってくれ。」とまで言いました。

 この調子なら早く元気になって家に戻って来てくれるのではないかとホッと一安心しました。

 入院時に発見された硬膜下血腫脳の手術をついでに行ってもらったにもかかわらず、この元気さは、一体どこからくるのだろうと思いました。

 会話の中からわかることは、
・常に穏やかであること
・こだわることなく常に前向きに生きていること
・ユーモアがあり、ホッとさせる安心感があること
・欲がなく、今の状況を受け入れる寛容さがあること
 などです。

 これらは、生きる上で必要な力だと私自身が日頃から考えていることに他なりません。

 これらを身につけようと日々努力していることが、生きる力を育むことになるのかと思うと、私自身、生きる力を得た気分になります。

 父は、信仰心が強く、お寺から信教師の称号をいただくほどの日常生活をしていました。
 毎日仏壇に向かっておつとめをしたり、休日にお寺参りをしたりして、私と関わることの少なかった父を反面教師とし、絶対に宗教には関わらないようにしようと幼い頃に決めた私でした。

 もし、今の父の生き方の根底にこの信仰心があるとしたら、私が宗教から離れ、人間理解を深めようと努力している今の私と同じ方向に向かっているように思いました。

 宗教の事はよく知りませんが、今は、宗教へのこだわりはありません。信仰があってもなくてもどちらでもいい、生きていく上で必要ならば利用すればよいと考えています。

 母の死後、仏壇の前でお参りをしますが、毎日唱えるお寺さんからいただいた文言にはほとんど違和感がなく、日頃大切にしている事を唱えている・・・そんな感じです。

 最近は、先祖だけでなく、子孫への思いも生まれてきました。

 こうして考えてみると、父が話している事が、未来ではなく、私に残したい事を伝えているように思えてきました。

 生きる力は、もしかすると、長く続く人類という道の上を走る駅伝のランナーが身につけた襷なのかもしれません。

 襷には私に渡されるまで走り続けてきた過去の人々の思いが込められています。そして、その思いを持ちながら生き続ける私たちがいます。そして、次に襷を渡して死んで行くことになります。
 襷は永遠に引き継がれています。
 
 若い頃は、それほど子孫の事が気にならなかった私ですが、今は、子どもたちに残したいものを大事にしたいと思っています。地域貢献に取り組んでいるのもその現れかもしれません。

 生きる力は、襷をもらった時に生まれ、次のランナーに引き継ぐまで続きます。
 
 自分の生きる意味が何となく見えてきた感じです。

 父には、もう少し生きてもらわなければ・・・・。

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 最新の脳科学をベースにした「NLP心理学」を生かし、家庭への支援から働く人への支援と支援の範囲を広げ、悩みを持つ人の相談活動や企業向けの研修などにも幅広く対応。

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