福岡で始める新築アパート投資|銀行融資で選ばれる“事業計画書”とエリア戦略の実務

「アパートを10棟持つのと、老人ホームを1棟持つのでは、どちらがいいですか?」
福岡や九州でアパート投資を続けている方から、最近こうしたご質問をいただく機会が増えました。資産を広げる次の一手として、とても自然な疑問だと思います。
先に結論をお伝えすると、どちらが正解かは、一律には決まりません。
「10棟対1棟」という棟数だけを並べても、必要な資金も、返済の重さも、収入の安定性も判断できないからです。
このコラムでは、福岡で不動産と建築の両面から投資家を支援している立場から、アパート10棟と老人ホーム1棟を比べるときに見るべき5つの判断軸を整理します。
このコラムでわかること
・アパート10棟と老人ホーム1棟を「同じ物差し」で比べる方法
・投資額、借入、手残り、集中リスク、契約条件の見方
・「30年一括借上げ」を読むときの注意点
・福岡・九州で土地を見るときの考え方
・自分がどちらに向いているかの考え方
目次
判断軸1|投資額は「10棟分の合計」と「1施設の総事業費」でそろえる
判断軸2|借入は「借りられるか」より「賃料が下がっても返せるか」
判断軸3|手残りは「年間賃料」や「表面利回り」では決まらない
判断軸4|集中リスクは「入居者が多い」と「支払先が一つ」の違い
判断軸5|「30年一括借上げ」は、期間と賃料保証を分けて読む
福岡・九州で土地を見るとき|住宅の需要と介護事業者の需要は別物
結論|比べるのは「棟数」ではなく「お金・現金・リスク」
アパート10棟の合計投資額と、老人ホーム1棟の投資額が同じとは限りません。土地価格、建物の規模や仕様、地域によって大きく変わります。
また、アパートは「1棟ずつ借入を積み上げていく」計画になりやすく、老人ホームは「1棟にまとまった借入をする」計画になりやすい。この違いを無視して棟数だけで比べると、借入残高も手元資金も見誤ります。
私がおすすめしている比較の順番は、次のとおりです。
- 投資総額と自己資金をそろえる
- 家賃から経費と返済を引いた「手残り」を比べる
- 収入が減ったときに、どれだけ持ちこたえられるかを見る
- 次の融資や売却のしやすさまで考える
年齢、勤務収入、ほかの物件の借入、ご家族に残したい資産によっても、同じ案件への答えは変わります。
判断表|アパート10棟と老人ホーム1棟を同じ項目で並べる
下の表は「どちらが有利か」を示すものではなく、比較するときに確認したい項目の一覧です。実際の案件では、各欄を数字と契約書の条項で埋めてください。
| 比較項目 | アパート10棟で確認すること | 老人ホーム1棟で確認すること |
|---|---|---|
| 投資総額 | 10棟分の土地・建物・諸費用の合計と取得時期 | 土地・施設建築・設備・開業までの費用の総額 |
| 自己資金 | 各棟の頭金・諸費用と、次の取得余力 | まとまった初期資金と、賃料発生までの予備資金 |
| 借入と返済 | 借入先・期間・金利見直し時期が重なっていないか | 大口借入の返済額と、賃料が止まったときの返済余力 |
| 賃料を払う相手 | 多数の入居者(退去は部屋ごとに発生) | 一棟を借りる介護事業者の支払能力 |
| 管理の仕事 | 募集・更新・退去・原状回復・複数棟の修繕 | 賃貸借契約・事業者との協議・施設の大規模修繕 |
| 集中リスク | 同じ地域・入居者層・金融機関への偏り | 一つの建物・一つの事業者・一つの用途への偏り |
| 売却・転用 | 棟ごとに売却を検討できるが市況次第 | 買主候補や別用途への転用のしやすさ |
「アパート10棟なら分散できている」「老人ホーム1棟なら安定している」と決めつけないことが大切です。
たとえば10棟がすべて同じエリアの似た間取りで、借入の金利見直し時期も同じなら、同時に収益が落ちることがあります。反対に老人ホームが1棟でも、信用力のある運営事業者と明確な賃料・修繕の条件で契約し、返済に対して十分な現金の余裕があれば、検討する価値はあります。
判断軸1|投資額は「10棟分の合計」と「1施設の総事業費」でそろえる
比較の出発点は、売買価格や建築費だけではありません。
アパートで入れておきたい費用
- 土地代・建築費
- 設計・登記・税金・融資関係の諸費用
- 入居募集を始める前の支出
10棟を数年かけて取得するなら、年ごとに必要な自己資金と借入残高の推移も出しておきます。「最初の1棟に必要なお金」と「10棟まで積み上げるお金」は別物です。
老人ホームで入れておきたい費用
- 土地・建物・設備・設計の費用
- 行政との協議など、開業までの工程と支払時期
- 着工から賃料が入り始めるまでの利息や固定費
設備を誰が所有し、将来の交換費用を誰が負担するかは契約次第です。「建築費以外は事業者が持つはず」と思い込まず、見積書と契約書で支払う人を分けて確認してください。
判断軸2|借入は「借りられるか」より「賃料が下がっても返せるか」
アパート10棟の融資は、一度にまとめて決まるわけではありません。1棟目の稼働状況、既存の借入、手元資金、金融機関の方針を見ながら、1棟ずつ積み上げていきます。途中で融資が続かなければ、10棟という計画はそこで止まります。
老人ホーム1棟では、建物の賃料だけでなく、借りる介護事業者の事業継続性や、建物をほかの用途に使えるかどうかも重要な論点になります。
「30年借上げの予定だから、30年返済の融資が受けられる」とは限りません。
融資の可否や条件は、投資家の属性・担保・建築費・賃貸借契約・事業者の財務などによって金融機関が個別に判断します。
どちらの場合も、次の点は一覧にしておきましょう。
- 家賃から運営費を引いた額が、年間返済額の何倍あるか
- 賃料が下がっても返済を続けられるか
- 金利の見直し時期、元金返済の開始時期
- 借換えの可能性
判断軸3|手残りは「年間賃料」や「表面利回り」では決まらない
年間賃料が同じでも、手残りが同じになるとは限りません。
| 項目 | アパート | 老人ホーム(一棟貸し) |
|---|---|---|
| 入ってくるお金 | 満室想定賃料から空室・滞納分を引いた家賃 | 介護事業者から受け取る賃料 |
| 主な出ていくお金 | 募集費・管理費・原状回復・税・保険・修繕・返済 | オーナー負担の税・保険・設備更新・修繕・返済 |
| 備えておくお金 | 空室期間・大規模修繕の資金 | 賃料改定・再契約・事業者交代に備える資金 |
費用の出方と時期も違います。だからこそ、初年度の数字だけで判断せず、
- 通常の年
- 賃料が下がった年
- 修繕が重なった年
の少なくとも3パターンで、返済後に手元にいくら残るかを並べてみてください。
表面利回りが高くても、返済と修繕の積立を引いた手残りが小さければ、長く家計を支える収入とは言えません。
判断軸4|集中リスクは「入居者が多い」と「支払先が一つ」の違い
アパートは複数の部屋から家賃が入ります。1室が空いても、収入が一度にゼロになるわけではありません。ただし10棟あれば、空室・滞納・設備故障もあちこちで起こります。同じ大学や同じ事業所の需要に頼った物件ばかりなら、部屋数が多くても需要の偏りは残ります。
一方、老人ホームを1事業者に一棟貸しする場合、個室ごとの入居者募集をオーナーが直接担わない計画にできても、賃料の支払いはその事業者に集中します。事業者の資金繰りが悪化したり契約が終了したりすれば、一棟単位で入金が止まる可能性があります。
そこで私は、次の問いで比べることをおすすめしています。
「いちばん大きな収入源が止まったら、何か月返済を続けられるか?」
アパートなら最大規模の1棟が数か月稼働しない場合、老人ホームなら事業者からの賃料が一定期間入らない場合を想定し、手元資金で耐えられる期間を計算します。
修繕のための積立金を生活費に回してしのぐ前提は、避けたほうが安全です。
判断軸5|「30年一括借上げ」は、期間と賃料保証を分けて読む
老人ホーム投資では、介護事業者が建物を長期で一括して借り上げる計画を組むことがあります。当社でも「30年一括借上げ」を目指す老人ホーム投資をご紹介しています。
ただし、30年という期間は計画・契約条件によるもので、賃料が30年間固定されることや収益を保証するものではありません。
契約前に確認したいのは、次の項目です。
- 契約期間と、賃料改定の時期・根拠
- 貸主・借主それぞれの解約条件
- 運営事業者が交代する場合の扱い
- 設備・外壁・空調・消防設備などの修繕区分
- 賃料の支払開始日、無償期間、保証金
- 原状回復と災害時の扱い
契約書の案がまだない段階なら、利回りを確定した数字として扱わないことが大切です。
動画で見る|老人ホーム投資の一括借上げの仕組み
一棟貸しの仕組みは、動画でもご紹介しています。動画で全体像をつかんだうえで、実際の判断は契約条件と資料で確認してください。
管理と出口|仕事はなくならず、「種類」が変わる
管理の手間
アパート10棟では、管理会社との連絡、募集条件の見直し、入退去、設備故障、計画修繕が続きます。外部に委託しても、どの工事にお金をかけるかを決める責任は残ります。
老人ホーム1棟では、毎月の入退去対応を直接行わない計画でも、事業者の状況、賃貸借契約、施設特有の設備の保全を見続ける必要があります。
「アパートは忙しい」「老人ホームは放置できる」とは考えず、誰が・何を・いくらで行うかを業務表にして比べてください。
売却と出口
アパートは棟ごとに売却を検討できますが、価格は市況に左右され、希望時期に必ず売れるとは限りません。
老人ホームは、事業者との契約が続いているかどうかで買主の見方が変わります。特定の事業者向けの仕様なら、別の事業者への賃貸やほかの用途への転用に工事や時間がかかることもあります。
どちらも「何年後にいくらで売れる」という一点の予測に頼らず、予定どおり売れなくても返済を続けられるかを確かめておきましょう。
福岡・九州で土地を見るとき|住宅の需要と介護事業者の需要は別物
アパートに向いている土地が、同じ理由で老人ホームに向いているとは限りません。
| 確認すること | アパート用地 | 老人ホーム用地 |
|---|---|---|
| 需要の見方 | 通勤・通学、家賃帯、間取り、近隣の供給、駐車場 | 介護事業者がその場所で運営したいか、地域に必要な施設の種類 |
| 運営面 | 管理会社の見解、募集のしやすさ | 職員の採用、アクセス、競合施設、自治体との調整 |
| 共通 | ハザードマップなどの災害リスク、被災時の修繕費と賃料への影響 | ハザードマップなどの災害リスク、被災時の修繕費と賃料への影響 |
「福岡市内だから安心」「県外だから不利」と地名だけで決めることはできません。高齢者人口が増えていることだけを老人ホーム投資の根拠にするのも危険です。地域に必要な施設の種類、競合、介護人材の確保、運営事業者の採算がそろって、はじめて長期の賃料が見込めます。
あなたはどちら向き?3つの投資家像で考える
これから1棟目を取得する方
いきなり「10棟か1棟か」で方向を決めないでください。自己資金、勤務収入、既存の借入、土地の有無を明らかにし、最初の案件でどこまでの損失に耐えられるかを確認するのが先です。
すでにアパートを複数お持ちの方
保有物件のエリア、入居者層、借入先、金利見直し時期の偏りを棚卸ししましょう。老人ホームを加えれば必ず分散になるわけではありませんが、収入の相手と契約の形を変える選択肢にはなります。その代わり、一つの事業者への集中と、施設ならではの出口リスクを新たに負います。
退職後の収入を重視する方
毎月の手残りが安定して見える案ほど、契約変更や修繕が起きた年の資金繰りを厳しく見てください。生活費と事業資金を分け、ご家族が引き継げる管理体制まで含めて選ぶことをおすすめします。
よくあるご質問
Q.老人ホーム1棟で、アパート10棟分の家賃を得られますか?
一律には言えません。施設の規模、建築費、契約賃料、アパート各棟の戸数と賃料によって変わります。年間賃料が同じでも、自己資金・返済・修繕の負担が違えば手残りは同じになりません。
Q.30年一括借上げなら、事業者が撤退する心配はありませんか?
契約期間の表示だけで撤退の可能性がなくなるわけではありません。賃料改定、解約、事業者の経営状態、原状回復の条件を契約書で確認してください。長期契約を予定する場合ほど、事業者の財務資料と、代わりの事業者を探せるかが重要です。
Q.アパート10棟なら、必ずリスク分散になりますか?
いいえ。同じ地域、似た入居者層、同じ管理会社や金融機関、同じ時期の金利見直しに集中していれば、同時に影響を受けます。物件数だけでなく、収入源と費用が発生する時期の重なりを確認してください。
Q.土地を持っていなくても、老人ホーム投資を検討できますか?
当社では土地探しからご相談をお受けしています。ただし、候補地が見つかること、事業者と契約できること、融資を受けられることは、それぞれ別の条件です。土地を取得する前に、事業者の出店条件と建築・資金計画をあわせて検証します。
まとめ|「どちらが儲かるか」より「うまくいかない時も続けられるか」
・アパート10棟は、複数の入居者から家賃を得られる一方、取得を重ねるたびに融資と管理の負担が積み上がる
・老人ホーム1棟は、介護事業者への一棟貸しで運営の形が変わる一方、事業者・建物・用途への集中がある
・投資額と返済条件をそろえずに、棟数や予定家賃だけで勝ち負けは決められない
福岡・九州で具体的に比較するなら、まず今の保有資産と借入を棚卸しし、両方の案を「通常時・賃料が下がった時・修繕が重なった時」の返済後の手残りで同じ表に並べてみてください。
代表 髙木政利から
私たちは、土地や建物を紹介して終わりではなく、投資家の皆様が長く続けられる事業計画を一緒に考えることを大切にしています。アパートを増やすのか、老人ホームという別の柱を持つのか。答えは一人ひとり違うからこそ、数字と契約条件を並べて、納得して判断していただきたいと考えています。
もっと詳しく知りたい方へ|10月の無料セミナー
このコラムでお伝えした比較の考え方を、実際の収支や契約条件に沿ってより具体的にお話しする無料セミナーを、10月に開催します。いずれも福岡市中央区の会場とオンラインZoomの同時開催ですので、九州各県からもご参加いただけます。
このコラムを読んだ方に特におすすめ
10/17(土)11時|新築アパート10棟より、老人ホーム1棟?30年一括借上げで目指す長期安定収入
アパート10棟と老人ホーム1棟を、収入の仕組み・空室・リスク・融資の面から比較するセミナーです。
10/17開催|アパート10棟より老人ホーム1棟?セミナーの紹介コラム
10/17セミナーの詳細・お申し込み(公式サイト)
10/24(土)11時|アパートを買い増し続ける投資に限界を感じている方
「何棟目を買うか」ではなく「次に何を持つか」という視点で、老人ホーム1棟を保有する投資の仕組みとリスクを解説します。
10/24開催|福岡で何棟も買い続けない不動産投資セミナー
10/30(金)20時|アパートを数棟保有し、次の一手を考えている方
既存の借入・銀行評価・手元資金を踏まえ、ポートフォリオ全体で老人ホーム1棟を検討する、経験者向けのセミナーです。平日夜の開催です。
10/30開催|不動産投資の次の一手は老人ホーム1棟?セミナー
10/9(金)20時|これから新築アパートで1棟目・2棟目を考えたい方
銀行評価から逆算して「次の融資につながる1棟」を選ぶ考え方を解説します。
10/9開催|2棟目の融資まで考える新築アパート一棟投資セミナー
ご自身の状況で相談したい方
保有物件や自己資金を前提に具体的に相談したい方は、無料の個別相談もご利用いただけます。
無料個別相談・お問い合わせ
あわせて読みたい
アパートの2棟目を同じエリアに建てるか、別のエリアに分けるかを考えたい方は、こちらのコラムもご覧ください。
福岡で2棟目のアパートは同じエリア?別エリア?5つのステップ
土地をお持ちでない方が、用地探しから老人ホーム投資を進める流れは、こちらのコラムで7つのステップに分けて解説しています。
土地なしでも老人ホーム投資はできる?用地探しから賃料開始までの7ステップ
アパート10棟と老人ホーム1棟の比較をさらに詳しく、確認シートの作り方まで解説した記事も公開しています。
福岡投資ナビ|アパート10棟と老人ホーム1棟はどう比較する?判断表
※本記事は投資に関する情報提供を目的としています。一括借上げの成立、30年間の賃料固定、家賃収入、融資承認、将来の収益を保証するものではありません。不動産投資には、空室、賃料・金利の変動、修繕費、災害、売却価格の変動などのリスクがあります。実際の判断は、物件資料、賃貸借契約書、事業者の資料、金融機関の提示条件に基づいて行ってください。セミナーへの参加・個別相談は、投資成果や融資承認を保証するものではありません。


