医師が不動産投資で失敗しないために|福岡で実践する“融資が続く”アパート投資戦略

「1棟目がうまくいっている地域なら、2棟目も近くに建てたほうが安心ですよね?」
「いや、同じ地域に集めるのは危険だから、別の市に分けたほうがいいのでは?」
2棟目のアパートを考え始めた投資家の方から、どちらのご相談もよくいただきます。どちらの考え方にも、もっともな理由があります。
先に結論をお伝えすると、同じエリアにも別エリアにも、一律の正解はありません。
大切なのは、距離を先に決めることではなく、
- 候補地ごとに、入居者層・競合・取れる家賃・土地と建築費・管理体制を調べる
- そのうえで、2棟を同時に持ったときに「何が偏るか」を確認する
という順番で考えることです。
需要を確かめられない別エリアへ「分散のためだけ」に進む必要はありません。一方で、同じ駅・同じ入居者層・同じ浸水リスクに2棟を重ねるなら、1棟目がうまくいっているだけで安全とは言えません。
このコラムでは、福岡市内や福岡県内・九州の周辺地域で、土地から新築アパートを企画する方に向けて、2棟目の場所を決めるための考え方を整理します。
このコラムでわかること
・「同じエリア」を住所ではなく生活圏で考える理由
・同じエリア/別エリアのメリットと確認ポイント
・賃貸需要の調べ方(市全体から「この土地」へ)
・資産分散を「何が同時に悪くなるか」で考える方法
・2棟目の候補地を比べる5つのステップ
「同じエリア」は住所ではなく「賃貸の生活圏」で考える
同じ市内でも、駅徒歩圏の単身者向けと、車通勤が前提のファミリー向けでは、入居者の探し方がまったく違います。
逆に、市町村が変わっても、同じ駅・同じ職場・同じ大学に通う人を取り合うなら、賃貸市場としては「同じエリア」に近いと言えます。
1棟目と2棟目について、次の5つを並べてみてください。
- 想定する入居者の年齢・世帯構成
- 主な職場や学校
- 移動手段(電車・バス・車)
- 必要な駐車台数
- 家賃帯
この5つがほぼ同じなら、数キロ離れていても需要の偏りは残ります。
分散には4つの種類がある
「分散できているか」は、次の4つを別々に見ると整理しやすくなります。
| 分散の種類 | 確認すること |
|---|---|
| 住所の分散 | 市町村や駅が違うか |
| 入居者層の分散 | 単身・ファミリー、学生・社会人など、入居者が違うか |
| 災害・雇用要因の分散 | 同じ河川流域や同じ大企業・大学に頼っていないか |
| 運営先の分散 | 管理会社や仲介会社が一社に集中していないか |
住所だけ違っていても、残りの3つが重なっていれば、実質的には偏った持ち方です。
分散とは「距離を伸ばすこと」ではなく、「共通の失敗要因を減らす設計」だと考えてください。
同じエリアと別エリア、それぞれのメリットと確認ポイント
| 観点 | 1棟目と同じ生活圏 | 別の生活圏 |
|---|---|---|
| 賃貸需要の把握 | 1棟目の募集・入退去の実績を参考にしやすい | 新しい入居者層と募集条件を一から確かめる |
| 入居者の取り合い | 間取り・家賃帯が同じなら、自分の物件同士で競合する可能性 | 直接の競合は減るが、別の市場の空室リスクがある |
| 土地・施工・管理 | 現地確認や既存の協力先を活かしやすい | 地元の施工・管理・仲介先を確かめる必要がある |
| 地域要因の偏り | 同じ雇用先、大学、再開発などに左右されやすい | 異なる要因を選べれば、偏りを抑えられる可能性 |
| 災害への備え | 近ければ同じ災害で被害が重なる可能性 | 離れていても、同じ水系や広域災害は要確認 |
この表は「同じなら管理が楽」「別なら安全」と決めつけるためのものではありません。同じエリアでも建築費や管理の質が違えば結果は変わりますし、別エリアでも管理会社が一社なら運営の集中は残ります。
同じエリアに2棟目を建てやすいのは、どんな場合か
1棟目の実績から「どんな間取りに、誰が入居し、募集から契約までどれくらいかかったか」がわかる地域では、2棟目の計画を立てやすくなります。管理会社とのやり取りも蓄積され、退去の理由や家賃交渉の傾向もつかめます。工事中や完成後に現地へ行きやすいのも、初めて複数棟を持つ方には大きな利点です。
ただし「1棟目が満室」だけを根拠にしない
1棟目が満室なのは、築浅だった、家賃を抑えた、募集の時期がよかった、近くに競合の新築がまだなかった、といった個別の理由かもしれません。
管理会社には、次のような質問をしてみてください。
- 今の家賃で、新たに何戸くらい募集できそうか
- 同じ間取りが、近くで何戸募集されているか
- 条件を変えないと決まらなかった物件はないか
2棟目が、1棟目の入居希望者を奪ってしまう可能性も検討しておきましょう。
近くに建てるなら「同時空室」と「同時修繕」を試算する
同じ賃貸市場に2棟を置くと、地域の需要の変化や新築の供給増が、両方の募集に影響する可能性があります。築年数の近い新築を続けて建てれば、設備更新や外壁修繕の時期も近づきます。
1棟ずつの収支が成り立っていても、空室と修繕が同じ年に重なったときの手元資金を確認しておくことが大切です。
別エリアを選ぶ価値があるのは「需要を自分の資料で説明できる」場合
別の市や沿線に進む目的は、地図上の点を増やすことではありません。1棟目とは違う入居者層、雇用の構造、土地価格、災害要因、将来の売却先を持てる可能性があることです。
「福岡市内は土地が高いから、郊外なら利回りが上がる」とは言い切れません。
郊外では土地代を抑えられても、駐車場や設備に費用がかかる、募集家賃が下がる、入居まで時間がかかる、売却相手が限られる、といった条件があり得ます。逆に、市内でも土地が高いだけで需要が強いとは限りません。
別エリアでは、オーナーの土地勘の不足を補う体制も必要です。地元の仲介・管理会社、建築会社、法令やインフラに詳しい専門家から同じ土地を評価してもらい、見解が分かれた点を記録しておきましょう。
管理会社の「埋まりますよ」という言葉だけでは比較できません。想定家賃、募集期間、広告費、駐車場の需要まで具体的に聞くことが大切です。
賃貸需要の調べ方|「市全体」から「この土地」へ絞り込む
1.市町村・区の人口と世帯をつかむ
まずは大きな傾向を確認します。福岡市なら町別の人口・世帯の統計が入口になります。ただし、住民登録に基づく数字であり、賃貸住宅を探している人の数そのものではありません。将来推計も市区町村単位の見通しで、特定の土地や間取りの需要を保証するものではありません。
福岡市|登録人口(公称町別)
2.入居者の生活圏を確かめる
想定する入居者が使う駅、バス路線、幹線道路、職場、学校、商業施設と土地の関係を見ます。徒歩の時間は、地図上の距離ではなく、実際の道のり、坂や踏切、夜の歩きやすさを現地で確認します。
3.競合物件を同じ条件で比べる
築年数、広さ、間取り、設備、駐車場、駅からの距離をそろえて比べます。ネットの募集家賃は「希望の価格」であり、成約した家賃や入居率ではありません。
4.現場の声を聞く
募集が長引いた物件、実際の成約条件、広告費、更新時の家賃の変化は、公開情報ではわかりません。地元の仲介・管理会社への聞き取りが欠かせません。
人口が増えていても、新築の供給が多ければ競争は強くなります。
周辺の建築予定やまとまった開発用地、既存物件の空室も確認しましょう。新築の直後だけ入居率が高くても、退去後に同じ家賃を保てるかは別の問題です。
土地価格・建築費と「家賃の取りやすさ」を並べて比べる
立地の比較は家賃だけでは終わりません。土地の価格と形、用途・接道、地盤、上下水道の引き込み、駐車場、建てられる戸数によって、同じ家賃でも総事業費が変わります。
候補地Aと候補地Bを比べるときは、
- 土地の取得費
- 造成・地盤改良・外構
- 設備・諸費用・予備費
まで、同じ範囲で並べてください。片方だけ駐車場の工事費が入っていない、という比較では判断を誤ります。
収支を比べるときも、表面利回りではなく、満室家賃から空室・管理費・固定資産税・保険・修繕・募集費・返済を引いた返済後の手残りで見ます。さらに、2棟目単体だけでなく、1棟目と合わせた年間のお金の動きで判断することが大切です。
国土交通省|不動産情報ライブラリ
資産分散は「何が同時に悪くなるか」から考える
分散できているかを確かめるには、2つの物件を一枚の地図と収支表に並べ、「両方に同時に影響する出来事」を書き出します。
- 同じ大企業や大学に、入居者の需要が集中していないか
- 同じ河川の流域や低い土地に建っていないか
- 同じ管理会社だけに任せていないか
災害リスクは、ハザードマップと自治体の地図、現地の地形をあわせて確認します。地図に色が付いていないからといって、被害がないとは限りません。
国土交通省|ハザードマップポータルサイト
2棟同時に悪くなる場合を試算する
たとえば(説明用の架空の例です)、月6万円の部屋が2室ずつ、4か月空いたとします。
| ケース | 家賃の減少 |
|---|---|
| 片方の棟だけ空いた場合 | 6万円×2室×4か月=48万円 |
| 2棟同時に空いた場合 | 48万円×2棟=96万円 |
別エリアに分けたからといって、必ず片方だけが空くとは限りません。さらに、家賃の下落、募集費の増加、金利の見直し、修繕が同じ年に重なった場合の手残りも確認しましょう。
厳しいケースで資金が足りなくなるなら、場所を変えるだけでなく、取得規模、自己資金、工事内容、予備資金の持ち方も見直す必要があります。分散のために借入と固定費を増やしすぎては、本末転倒です。
「福岡市内か、郊外か」の二択にしない
福岡市内とひとくくりにすると、駅前・住宅地・大学周辺など、入居者像の違いを見落とします。郊外も同じで、市役所周辺、工業団地への通勤圏、鉄道沿線、車中心の住宅地では、需要の成り立ちが違います。
当社が福岡県大牟田市で土地から企画した新築アパートでは、土地価格、賃貸需要、募集家賃、生活の利便性、建てられるプランと事業収支を一体で調べました。ただし、一つの物件の結果を「その地域なら必ず満室になる」という保証に読み替えることはできません。参考にしていただきたいのは地名ではなく、調査の項目と、完成後の実績を比べる方法です。
福岡・大牟田市の新築アパート投資はどう判断する?土地から企画した8戸満室事例を検証
福岡県苅田町で考える土地から新築アパート投資|人口だけで決めない5つの判断軸
2棟目の候補地を比べる5つのステップ
ステップ1|1棟目の市場と実績を整理する
所在地だけでなく、入居者層、募集家賃、実際の成約、退去の理由、駐車場の利用、主な競合を書き出します。「ここでうまくいった理由」を一つに決めつけず、確認できた事実と推測を分けておきます。
ステップ2|候補地を同じ条件で調べる
人口、生活圏、交通、雇用、競合、募集家賃、建築予定、土地・工事費を、同じ時点・同じ住戸の広さで比べます。候補地Aは新築1LDK、候補地Bは築古1Kを参考にした、という比較では家賃差の意味を取り違えます。
ステップ3|現地と管理体制を確かめる
平日と休日、昼と夜に土地を見て、道路、周囲の建物、騒音、駐車と歩行の動線を確認します。新しい地域なら、実際に募集・管理を担う会社に、対応エリア、緊急時の連絡、退去後の原状回復の体制を聞きます。
ステップ4|1棟ごとと、2棟合計で収支を出す
満室だけでなく、通常・厳しめの空室と家賃、将来の修繕、金利を置きます。2棟が同時に悪くなる年の手元資金まで確認しましょう。
ステップ5|まだ確認できていないことを、購入の条件にする
家賃の根拠、建てられる戸数、地盤・インフラ、管理会社の受託可否、災害、融資条件。わからないことが残るなら、価格交渉や購入申込の前に、確認先と期限を決めます。「何が確認できたら進むか」を言葉にしておくことが大切です。
判断シート|2棟を並べて確認したい7つの質問
ご家族との相談や、私たちとの面談にもお使いください。
- 1棟目と2棟目の主な入居者は同じか
- 同じ職場・学校・沿線に頼っていないか
- 2棟の募集が互いに競合しないか
- 家賃の根拠は、成約事例や管理の現場の情報か
- 同じ災害で2棟とも影響を受けないか
- 別エリアの場合、管理を任せられる会社は確保できるか
- 厳しいケースでも、2棟合計で返済と修繕に対応できるか
「はい・いいえ」だけでなく、根拠となる資料と、まだ確認できていない点も書いておくと、判断の精度が上がります。
よくあるご質問
Q.1棟目が満室なら、同じ町に2棟目を建てても大丈夫ですか?
満室は参考になりますが、それだけでは判断できません。今の競合と新築の供給、2棟目が1棟目の募集を奪う可能性、家賃と建築費、同時空室や災害への備えを確認します。
Q.市が違えば、資産分散になりますか?
住所上は分かれますが、同じ生活圏・入居者層・雇用先・河川流域なら共通のリスクが残ります。一方、遠くに離すことで、管理費や現地対応の負担が増える可能性もあります。
Q.福岡市より人口の少ない市は、避けたほうがいいですか?
市の総人口だけで一律に外すことはできません。候補地周辺の通勤・通学圏、供給、家賃、取得費・建築費を調べます。ただし、土地が安いことだけで選ぶのも危険です。郊外や地方都市は、調査を省いてよい場所ではありません。
Q.同じ管理会社に2棟とも任せてもいいですか?
両エリアに強く、担当者・緊急対応・募集実績が確認できるなら効率的です。ただし、一社に運営を頼るリスクも確認してください。別エリアでは、受託範囲や地元の仲介会社とのつながりを聞き、他社の見解も比べるとよいでしょう。
Q.別エリアのほうが、融資は受けやすくなりますか?
エリアを変えるだけで融資が有利になるとは言えません。土地・建物の評価、賃貸事業としての収益、既存の借入、自己資金などを含めて、金融機関ごとに判断されます。
まとめ|2棟目は「場所を変えるか」より「何に頼っているか」
・同じエリアには「土地勘と管理の効率」、別エリアには「需要とリスクの違い」という、それぞれの利点がある
・住所の分散だけで安心せず、入居者層・雇用・競合・災害・管理会社・資金繰りの重なりを確認する
・候補地ごとの家賃と総事業費を同じ条件で比べ、2棟同時に悪くなっても続けられるかを見てから決める
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