「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」が、企業の採用活動にも関係する時代になります。
「いってらっしゃい」と送り出した家族が、「ただいま」と帰ってくる。私は、この当たり前を守ることが会社の大切な責任だと考えています。
ところが中小企業の現場をまわっていると、「これまで労災事故が起きていないから大丈夫」と、安全衛生への取り組みが後回しになっている会社に出会うことがあります。安全衛生は、一度にすべてを整える必要はありません。まずはできることから一つずつ取り組み、その積み重ねが事故の予防と、安心して働ける職場づくりにつながると考えています。
そこで私がご提案しているのが、定期的な「職場の安全パトロール」です。危険箇所の有無、器具の整理整頓、機械設備や重機の点検状況、作業に応じた保護具が適切に使用されているかを現場で一つずつ確認し、事故につながるリスクを低減していきます。
あわせて力を入れているのが、ヒヤリハット支援です。ある現場では、入社3年未満の社員と3年以上勤務している社員のそれぞれに、安全意識とヒヤリ体験のアンケートを実施しました。その結果、両者の間にあった「見えていなかった温度差」と、「新人だからこそ気付きやすい安全リスク」が浮き彫りになり、改善策の立案と共有に役立てることができました。報告しやすいフォーマットづくりや衛生委員会の活性化についても、会社の規模や体制に応じてご支援しています。
安全衛生の取り組みは、社外からの評価にもつながります。ある製造業では、自社の安全衛生活動をホームページやSNSで発信されていました。工場の操業を1日停止して実施した整理整頓活動、警察署と連携した安全運転講習会、作業療法士による健康セミナーといった取り組みが、就職先を探していた高校生の保護者の目に留まり、卒業後の入社につながったのです。
その後はその高校から推薦を受けられるようになり、採用活動にも効果が生まれました。安心・安全に働ける環境づくりは、求職者やそのご家族から選ばれる魅力になります。
現場に伺うときの私の服装は、スーツではなくオリジナルの作業着です。スーツ姿では現場になじまず、気軽に声をかけていただきにくいと感じたため、自前で作りました。「士業の先生らしくない。変わっていますね」と言われることもありますが、私にとってはそれが現場との距離を縮められている証しで、かえってうれしくなります。
危険は、書類の上ではなく現場にあります。まずは一度、私と一緒に現場を歩き、現状を確認してみましょう。


