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高いレンズを選べば、誰でも見やすくなる?

豊福祐史

豊福祐史

テーマ:知っておくべきレンズの話

設計グレードの違いを説明すると、
「高いレンズの方が見えやすいですよね?」
という質問をされることがあります。

では、本当に高いレンズを選べば、誰でも見やすくなるのでしょうか。

今回は、「高いレンズ=設計グレードが高いレンズ」と定義して、
その他の素材やコーティングなどの要素は度外視して考えてみたいと思います。

レンズ設計の違い

レンズ設計の違いを細かく説明すると、
各レンズメーカーが独自に研究・開発している部分も多く、
すべてを説明するのは難しいと思います。

そこで、大きな枠組みで考えてみます。

あるレンズメーカーを例にすると、単焦点レンズでは、
「球面」「外面非球面」「内面非球面」「両面非球面」
などがあります。

遠近両用レンズでは、
「外面累進」「内面累進」「両面累進」「両面複合設計」
など、さまざまな設計があります。

さらに、個人の度数や瞳孔間距離、フレームなどを考慮して設計する
Individualタイプのレンズなどもあります。

また、同じ単焦点レンズでも、乱視の見え方に配慮した設計があったり、
遠近両用レンズでは近くの視野を広げることを重視した設計があったりと、
細かな違いがあります。

どれも見た目だけなら、透明なレンズです。

しかし、その透明なレンズの中には、できるだけ快適に見えるように、
さまざまな設計上の工夫が組み込まれています。

各レンズメーカーが、それぞれ研究・開発している部分でもあります。

高いレンズなら誰でもよく見える?

では、設計グレードの高いレンズなら、誰でも見やすくなるのでしょうか。

個人的には、
「設計グレードが高いレンズほど、見え方の快適性を高めるための工夫が多い」
と考えています。

実際に、S0.00、ADD3.00の遠近両用レンズを、外面累進と両面複合設計の2種類で作製し、
同じ度数・同じPDで試してもらったことがあります。

その時は、多くの方が両面複合設計の方について、
「こちらの方が違和感が少ない」
と回答されました。

このように、同じ度数であっても、
レンズ設計によって見え方の感じ方が変わることはあります。

特に、度数が強くなったり、加入度数が大きくなったりすると、
レンズ設計による違いを感じやすくなる場合があります。

ただし、全員が同じ結果になるわけではありません。

実際に、2種類を比較しても「どちらもあまり変わらない」という方もおられます。

また、単焦点レンズではありますが、設計グレードの低い球面レンズの方が、
両面非球面レンズより「こちらの方が見やすい」と答えられた方も、
過去に一度だけおられました。

一人だけの経験なので、これだけで一般化することはできません。

ただ、こうした経験から考えると、レンズ設計には「性能の違い」だけではなく、
「その人がどのように感じるか」という部分もあるのではないかと思っています。

レンズ設計の決め方

では、実際にレンズ設計をどのように決めるのか。

これは、眼鏡店や担当者によっても考え方が異なると思います。

私の場合、まず参考にするのが「現在使っているレンズ」です。

遠近両用レンズの場合は、レンズに入っている隠しマークを確認することで、
現在使用しているレンズの種類や設計を判断できる場合があります。

それが分かれば、現在と同等以上の設計を一つの基準として考えます。

なぜなら、現在のレンズに慣れている方の場合、いきなり設計グレードを下げることで、
後から「前のメガネの方が見やすかった」と感じる可能性があるからです。

もちろん、現在のレンズが必ずしも最適とは限りません。

そのため、現在使用しているレンズの情報は、
あくまでも提案するための材料の一つとして考えています。

隠しマークなどから判断できない場合でも、
お客様が以前使っていたレンズの名前を覚えていることがあります。

そういった情報も、レンズ選びの参考になります。

そして、もう一つ大切なのが「予算」です。

予算に余裕があり、設計による違いを少しでも減らしたいということであれば、
高い設計グレードを選ぶという方法もあります。

ただ、実際には「できるだけ予算を抑えたい」という方も多くおられます。

その場合は、予算の中で、その方に必要な性能を考えていきます。

例えば、乱視が強い方であれば、乱視の影響を考慮した設計を検討する。

加入度数が強く、近くの作業を重視する方であれば、近方の視野を広げることを重視した設計を検討する。

仕事でパソコンを長時間使う方、運転をする方、屋外で使用する方など、使用目的によっても考え方は変わります。

つまり、
「一番高いレンズを選ぶ」
のではなく、

「その人に必要な設計を選ぶ」
ということが大切だと考えています。

まとめ

目的に合った度数で、光学中心などの位置関係も適切に調整されているという条件で考えれば、
設計グレードが高いレンズほど、見え方の快適性を高められる可能性はあります。

ただし、それは「誰でも必ず高いレンズの方が見やすい」という意味ではありません。

レンズの違いを感じやすい方もいれば、ほとんど違いを感じない方もいます。

また、設計によっては、その人の見え方の好みや使用目的に合わない場合もあります。

そのため、
「ほんのわずかでも見え方の快適性を高めたい」
という方であれば、設計グレードの高いレンズを検討する。

一方で、
「自分の度数と予算に合わせて選びたい」
という方であれば、眼鏡店で相談して、必要な設計を選ぶ。

という考え方で良いのではないかと思います。

また、設計グレードによる違いが気になる方は、
可能であればテストレンズなどで実際に比較してみるのも一つの方法です。

レンズは、価格だけを見ても、その違いは分かりません。

「高いレンズだから良い」のではなく、
「なぜ高いのか」
「その性能が自分に必要なのか」

を考えて選ぶことが大切だと思います。

そして、そこを一緒に考えることも、眼鏡作製技能士の仕事の一つだと思っています。

次回は、「薄型レンズ、より薄いレンズ、さらに薄いレンズ」について。

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豊福祐史
専門家

豊福祐史(眼鏡小売店)

株式会社とらや眼鏡店 メガネのとらやG-room

顧客の要望や好み、ライフスタイルに合った納得の眼鏡をお勧めしています。仕入れでは、フレームのデザインはもちろん、細かい点までもチェック。視力測定や加工などは、国家資格の1級眼鏡作製技能士が対応します。

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