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豊福祐史(とよふくひろし) / 眼鏡小売店

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コラム

HOYAの最高級累進レンズ(インディヴィジュアル)の極・雅・望・紬は何が違う?②

2023年5月5日

テーマ:知っておくべきレンズの話

コラムカテゴリ:くらし

インディヴィジュアルレンズを使われている方、もしくは眼鏡店に
『インディヴィジュアルレンズとは何?』と聞くと、
『フレームの傾斜角やそり角、眼とレンズの距離を測って作るオーダーメイドのレンズ』
と答える人がほとんどかと思います。

ただ、『インディヴィジュアルレンズのグレードの違いは?』
と聞かれると、眼鏡専門店でも回答に困ると思います。

フレームの『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』はインディヴィジュアルの設計のうち、
パーソナルフィットのことで、それがインディヴィジュアルの全てではないです。

なので、HOYAのインディヴィジュアルの『極』『雅』『望』『紬』の違いをもとに
わかる範囲で簡単に説明します。

説明できないのは知らないから?

眼鏡店がインディヴィジュアルレンズのグレードの違いを説明するのが難しい理由として、
『詳しくは知らない』という人も、もしかしたらいるかもしれないです。
ただ、詳しく知らないなら、売るべきではないレンズと思います。
『わからないなら手をだすべきではない』というのは、眼鏡作製技能士の特例講習でも言われてます。

ただ、多くの場合、『一般の方に説明するには難しすぎる』『詳しく説明する意味もない』
ということが大きな理由と思います。
要は、『グレードが良い方が設計が良くなって、見やすい』ということさえ伝われば。

『紬』の設計

『紬』は内面非球面レンズ『シンクロ』のインディヴィジュアルレンズ。
シンクロの設計に『両面親和累進設計』『パーソナルフィット』『乱視軸補正』
『エルゴノミックインセット』が加わります。

・両面親和累進設計:レンズ両面を親和させる設計。
・パーソナルフィット:フレームの『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』を測定し、
 フレームの装用条件を最適化。
・乱視軸補正:周辺部でのレンズとの軸ズレを1度ごとに収差補正。
・エゴノミックインセット設計:手元の見やすい範囲を広げる設計

『雅』『望』の設計

『雅』『望』は両面非球面レンズ『ウェルナ』のインディヴィジュアルレンズ。
ウェルナ+紬の設計に、『両眼バランス』が加わります。
また、『両眼親和累進設計』が『両眼複合累進設計』にアップグレード。

・両眼複合累進設計:凸面に縦方向の度数変化、凹面に横方向の度数変化を考慮することで、
 手元の見やすさと視野の広さを融合。
・両眼バランス:従来片眼ずつで製作されるレンズを、左右の度数差を補正して設計することで、
 クリアな視界に。
※設計は同じものの、『雅』の方がレンズデザインが多く、累進帯長の種類も多いため、
 より最適な明視域を設定可能。

『極』の設計

『雅』のアップグレードで、HOYAの最高峰のレンズ。
雅の設計に『度数別スマート設計』『側方Naturalアジャスト』
『近用Naturalフォーカス』『両面Naturalコントロール』
・度数別スマート設計:すべての度数を最適化し、加入度を考慮。
・側方Naturalアジャスト:近用側方部の非点収差とプリズムを制御して、ユレ・歪みを軽減。
・近用Naturalフォーカス:主な注視線のあたりの非点収差の量と軸方向をコントロールし、
 遠方の視野はそのままに近方領域を広げる
・両眼Naturalコントロール:近用水平lineでの歪みと上下プリズム差を改善し、
 見やすさと心地よさを。

説明の難しさと、設計を増やすほど、金額が上がる理由

インディヴィジュアルの説明でしたけど、レンズ全般の設計については、
簡単に記載しても、ピン来ない言葉が多いため、説明が難しくなります。
また、眼鏡作製技能士などは、どういう設計が入っているかは理解している人は多いですが、
詳しい製造方法などについては、メーカー以外はわからないと思います。

なので、設計が良くなれば、『見やすさ』『きれいに見える範囲』『心地よさ』『疲れにくさ』
などが向上すると思ってもらえば良いかなと。
また、レンズに設計を入れていくと、お互いに干渉するし、収差やプリズムの問題も発生します。
そのため、設計が良くなるほど、製造も難しくなるし、必然的に時間と価格が上がっていくことになります。

顔やフレームに合わせて作製するインディヴィジュアルは、ズレてしまうと、せっかく最適化されたレンズなのに、
意味がなくなるため、それ相応の技術と知識が必要です。
ズレている高価なレンズよりは、きっちり合わせた安いレンズの方が良い場合が多いので。

ちなみに、眼鏡店は視力測定や加工でお金をもらわないところが多く、大抵は、レンズに技術料などは含まれてません。
『普通に取ればよい』と言われるお客様も多いけど、法律と、慣習的なものがあるので。

HOYAで一番良いレンズがいいという方はぜひ、眼鏡店で『HOYAの極でお願いします』と言ってもらえれば。

まとめ

・『傾斜角』『そり角』『頂点間距離』だけがインディヴィジュアルの設計の全てではない
・グレードの違いを細かく説明しないのは、お客様を混乱させないため
 (興味がある人は聞いてください)
・インディヴィジュアルでもグレードが良ければ、
 より『見やすさ』『きれいに見える範囲』『心地よさ』『疲れにくさ』が向上する
・製造時間はかかるし、価格も安くはない

次は『昼の視力と、夜の視力は違う?』について

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