電脳メガネサミット2025に参加して
眼鏡店に来店される理由の多くは、「よく見えるメガネが欲しい」
というご要望です。
もちろん眼鏡店では、その方にとって見やすいメガネを目指して測定・作製します。
しかし、「よく見えるメガネ」が、必ずしも「良いメガネ」とは限りません。
今回は、「よく見えるメガネ」と「疲れにくいメガネ」の違いについてお話しします。
よく見えるメガネとは?
眼鏡店では、まず視力測定を行い、その方がどこまで見えるのかを確認します。
最大視力は人によって異なり、1.5まで見える方もいれば、
0.8や0.6程度がその方の最大視力という場合もあります。
一般的に「よく見えるメガネ」とは、目的とする距離で、
その方の最大視力が得られるメガネと言えるでしょう。
ただし、ここで注意したいのは、
「よく見える」=「眼に負担が少ない」ではないということです。
若い方や調節力が十分にある方は、自分の眼でピントを合わせる力(調節力)を使うことで、
少し強めの度数でも「よく見える」と感じることがあります。
しかし、その状態は眼が常に頑張ってピントを合わせているため、
長時間使用すると疲れや肩こり、頭痛などにつながることもあります。
疲れにくいメガネとは?
一方、疲れにくいメガネとは、必要以上に眼へ負担をかけず、
自然な状態で見られるメガネです。
もちろん目的とする距離でしっかり見えることは大切ですが、
それと同じくらい「無理なく見続けられること」も重要です。
例えば、
* 長時間のパソコン作業
* 読書
* デスクワーク
* 車の運転
では、必要となる見え方は異なります。
そのため、単純に一番視力が出る度数ではなく、仕事や生活スタイル、
使用時間なども考慮して度数を決めることがあります。
度数は強ければ良いわけではない
眼鏡店では、一般的に5m先を基準として、
その方に最も適した遠方度数(完全矯正値)を測定します。
この完全矯正値は、「一番強い度数」でも「一番弱い度数」でもありません。
その方が自然な状態で最も良く見える度数です。
さらに実際のメガネでは、
* 乱視度数
* 軸度
* 左右のバランス
* 加入度
* プリズム
* 瞳孔間距離(PD)
など、多くの要素を考慮して決定します。
視力の数字だけを追い求めると、実際には疲れやすいメガネになってしまうこともあります。
だからこそ、「どれだけ見えるか」だけではなく、
「どれだけ快適に使えるか」を考えることが大切です。
良いメガネとは?
私が考える良いメガネの条件は、
* 使用目的に合った焦点距離になっていること
* 長時間使用しても疲れにくいこと
* 過矯正になっていないこと
* 乱視・軸・加入度・プリズム・PDなども適切に考慮されていること
* 予算も含め、その方に合ったフレームやレンズが選ばれていること
だと思います。
こうしたメガネを作るためには、機械で測定した数値だけでは十分ではありません。
その方の仕事や趣味、生活環境、姿勢、年齢、眼の使い方などをヒアリングし、
「どのような見え方が最適なのか」を考える必要があります。
そのために設けられている国家資格が「眼鏡作製技能士」です。
眼鏡作製技能士は、視力測定だけでなく、レンズやフレームの選定、加工、フィッティング、
アフターフォローまで、メガネ作製全体に関する知識と技能を身につけています。
もちろん、資格を持っているだけで良いメガネが作れるわけではありません。
しかし、専門知識を体系的に学び、その上で経験を積んでいるという点は、
お店選びの一つの目安になると思います。
近年では測定機器も非常に高性能になりました。
しかし、機械が判断できるのは「測定結果」であり、
「その方にとって快適な見え方」までは判断できません。
だからこそ、その測定結果をどのように読み取り、
どのようなレンズや度数を提案するのかという部分に、
眼鏡作製技能士の知識と経験が生かされます。
まとめ
「よく見えるメガネ」が、そのまま「良いメガネ」とは限りません。
本当に大切なのは、その方の仕事や生活に合った見え方であり、
長時間使用しても疲れにくいことです。
眼鏡店の仕事は、視力の数字を上げることではありません。
「その方が毎日を快適に過ごせる視界を提供すること」だと私は考えています。
そのためには、視力だけではなく、仕事や趣味、生活環境、姿勢、使用目的まで考慮しながら、
一人ひとりに合わせたメガネを作ることが大切です。
もし「見えるけれど疲れる」「何となく掛け心地がしっくりこない」と感じているのであれば、
一度、お近くの眼鏡作製技能士に相談してみることをおすすめします。
眼鏡作製技能士は、日本メガネ協会のホームページより、
どこに在籍しているか調べることができます。
次回は、「なぜ『眼鏡作製技能士』という国家資格ができたの?」についてお話しします。


