眼球の回旋が苦手で遠近レンズが使いづらい
「遠近レンズは高いほど良いですか?」
この質問をいただくことは非常に多いです。
これについては、“何を重視するか”によって答えが変わると思っています。
高いレンズ=良いレンズ?
「とりあえず高いレンズなら安心なんでしょう?」
という考え方は、間違いではないと思います。
高価格帯のレンズは、ユレ・歪みの少なさ、機能性、耐久性など、
さまざまな面で優れていることが多いためです。
ただ、自分としては、「何を重視するかによって、人それぞれ」と考えています。
大きく分けると、
性能重視
価格重視
コスパ重視
の3つに分かれるのではないかと思います。
「眼鏡ではなく、視界を買っているので、少しでも快適なものを」という方は性能重視。
「見えればいいので、とにかく安くしたい」という方は価格重視。
そして実際には、「ある程度快適に見えて、できれば価格も抑えたい」
という“コスパ重視”の方が最も多い印象です。
性能・価格・コスパの違い
性能とは、
ユレや歪みの少なさ
視界の自然さ
機能性
耐久性
などです。
価格重視であれば、「とにかく安い」という考え方になります。
一方、コスパ重視は、「自分が求める性能に対して、この価格なら納得できる」
という考え方ではないでしょうか。
単純に考えれば、
性能を求めるなら高価格帯
安さを求めるなら低価格帯
となります。
ただ、一番難しいのは“コスパ”だと思います。
なぜなら、
・自分がどの程度の視界を求めているのか
・どの程度ユレや歪みを許容できるのか
・どのくらいの価格までなら出せるのか
などを、自分自身で判断する必要があるためです。
そのため、眼鏡作製技能士は、お客様の要望をヒアリングし、
眼の状態を確認した上で、複数の候補レンズを提案しています。
高いレンズと安いレンズの違い
レンズの違いは、大きく分けると
・素材
・設計
・コーティング
の3つがわかりやすいと思います。
そのほかにも、
・メッツ加工
・ベンチレーション加工
・ハイカーブレンズ
・フラットレンズ
などがあります。
素材の違い
素材は主に「屈折率」の違いです。
屈折率の数字が大きくなるほど、レンズは薄くなります。
現在は、薄型レンズと呼ばれる1.60素材が主流になっており、
以前標準だった1.50素材は少なくなっています。
さらに、1.67や1.74(1.76)など、より薄い素材もあります。
設計の違い
設計は、ユレや歪みを抑えるための部分です。
現在は、ほとんどが非球面レンズになっています。
非球面レンズは球面レンズに比べ、ユレや歪みが少なくなりますが、
同じ非球面でも設計によって見え方には大きな差があります。
ただし、その差の感じ方には個人差があります。
特に遠近レンズは、単焦点レンズよりもユレや歪みが出やすいため、
設計は非常に重要になります。
コーティングの違い
基本的に、プラスチックレンズにはハードコートが施されています。
昔のレンズはキズが入りやすかったと思いますが、現在はかなり改善されています。
さらに最近では、
・耐傷性
・撥水性
・防曇
・反射防止
・静電気防止
・裏面UV
・調光
・偏光
など、さまざまな機能が追加されています。
その人に合ったレンズが一番良い
結論としては、「その人の要望に合ったレンズが、一番良いレンズ」だと思います。
例えば、「ユレや歪みが少ない快適な視界を求めている方」に、
設計グレードの低いレンズは合いません。
逆に、「設計グレードによる違いをあまり感じない方」に、高価格帯の設計を提案しても、
満足度につながらない場合もあります。
薄さを重視する方に1.50素材をおすすめするのも、要望とはズレてしまいます。
つまり、“高いレンズを売る”ことよりも、
「その人に合ったレンズを選ぶ」ことが重要になります。
レンズ選びは意外と複雑
例えば、当店で主に扱っているHOYAの遠近レンズだけでも、
・極
・雅N
・望
・紬
・ヴィヴィーナ
・オプティナ
・ウェルナ
・シンクロ
・スペクティHG
・アリオスTF
・アリオス
など、多くの種類があります。
さらに、
・素材
・コーティング
・オプション
を組み合わせると、かなりの数になります。
そこに、
・ニコン
・東海光学
など、他メーカーも加わります。
そのため、多くの眼鏡作製技能士は、
・ヒアリング
・測定
・使用環境の確認
を行った上で、数種類の候補を提案しているのではないかと思います。
当店で扱っているレンズの組み合わせは、HOYAだけでも
単純に計算すると、11×3×7=231種となります。
一応、これに単焦点レンズでを加えてみると、
WFi・RFi・NW・NE・NL・SLと絞っても6種類。
遠近と単焦点レンズで、(11+6)×3×7=357種の組み合わせとなります。
まとめ
どの業界でも、価格にはある程度理由があります。
そのため、品質や性能が良いものは、高価格帯が多いと思います。
ただ、多くの方は、
「価格だけ」でも、「性能だけ」でもなく、
“価格と性能のバランス”を重視していると思います。
価格もパフォーマンスの一部です。
ご自身の要望に対して、「この価格なら納得できる」と思えるレンズが、
その人にとって一番良いレンズではないでしょうか。
そのため、信頼できる眼鏡店や眼鏡作製技能士に相談し、
ご自身に合ったレンズを選んでいただければと思います。
次回は、
「遠近レンズに慣れる人・慣れにくい人の違い」について


