累進レンズで加入度を入れ過ぎるとどうなる?
遠近レンズは、単焦点レンズと比べると、慣れてしまえば非常に便利なレンズです。
ただし、どんなレンズにも一長一短があります。
今回は、単焦点レンズから遠近レンズに変更した際に、
「階段が怖く感じる」という方がおられる理由について書いてみます。
遠近レンズで階段が怖くなる?
遠近レンズで階段が怖く感じる理由としては、
ユレ・歪み
加入度
視線の使い方
などが関係しています。
単焦点レンズは、どこで見ても同じ度数ですが、
遠近レンズは、視線を移動させることで遠くから近くまで見える構造になっています。
そのため、単焦点レンズと比較すると、どうしてもユレや歪みが発生しやすくなります。
また、足元を見る際に、下方視(第2眼位)で見てしまう癖がある場合、
階段がぼやけたり、不安定に感じたりすることがあります。
加入度とは、老眼によって低下した調節力を補うための度数です。
遠近レンズは、正面視(第1眼位)から下方視(第2眼位)へ視線を移動させることで、
遠くから近くまで見えるよう設計されています。
しかし、階段を見る距離は、実際にはそれほど近距離ではありません。
例えば、足元までの距離が約1.5mだとすると、
必要な度数は約0.67D程度になります。
加入度が0.50D程度であれば問題になりにくいですが、
加入度が2.00Dや3.00Dになると、下方視した際に近用側の度数が強く入りすぎて、
階段がぼやけて見える場合があります。
さらに、累進帯長の中で度数変化が起きているため、
単焦点レンズよりユレや歪みも大きくなります。
どうしたら怖くなく階段を降りられる?
対策としては、
メガネに慣れること
階段では頭を少し下げること
フレームのフィッティングをきちんと行うこと
設計グレードの高いレンズを選ぶこと
などがあります。
まずは慣れること
慣れていないうちは、単焦点レンズであっても、
階段に違和感を覚える場合があります。
そのため、まずは新しいメガネに慣れることが大切です。
階段では頭を下げる
階段を降りる際は、視線だけを下げるのではなく、
頭ごと少し下げるようにすると見やすくなります。
そうすることで、遠用部分を使って足元を見ることができるため、
ぼやけや違和感を軽減しやすくなります。
また、レンズ上部の方が、比較的ユレや歪みも少なくなっています。
フィッティングも重要
遠近レンズでは、フレームのフィッティングも非常に重要です。
フィッティングが適切でない場合、
違和感や気持ち悪さにつながることがあります。
もちろん、作製段階で光学中心が大きくズレている場合は論外ですが、
遠近レンズほど、細かなフィッティングの差が影響しやすいレンズは少ないと思います。
設計グレードを上げる方法も
どうしても違和感が強い場合は、
設計グレードの高いレンズを選ぶことも有効です。
設計グレードを上げることで、
ユレや歪みを抑えやすくなります。
ただし、その分レンズ価格も上がるため、
使用環境とのバランスが大切になります。
使い分けも有効
以前、コンタクトレンズはメガネと併用した方が良いと書きましたが、
メガネも、
遠用
近用
遠近
を使い分けることで、快適になる場合があります。
基本的には、遠近と近用の2本があると、多くのことは対応できます。
ただし、
階段などが怖い方
回旋や輻輳が苦手な方
などは、遠用と近用を分けた方が楽な場合もあります。
このあたりは、眼鏡作製技能士や経験豊富な眼鏡店に相談すると良いと思います。
また、メガネを複数所有する場合は、
ある程度しっかりしたフレームを選ぶことも有効です。
メガネフレームは、単なる日用品というだけではなく、
工芸品的な側面も持っています。
デザインだけでなく、作りの良さによって長年使用できるため、
古いフレームを近用として再利用される方も多くおられます。
当店でも、新しいメガネを遠近や遠用にして、
以前使用していたフレームを近用として使われるケースは珍しくありません。
長く使えるフレームは、結果として複数装用にも向いていると思います。
また、単独使用であっても、
安価なフレームを短期間で買い替えるより、
品質の高いフレームを長く使う方が、結果的にランニングコストが抑えられる場合もあります。
まとめ
遠近レンズによって、階段が怖く感じる方がおられるのは事実です。
そのため、初めて遠近レンズを使用する場合は、
必ずテストレンズなどで段差や足元を確認することをおすすめします。
また、
慣れで改善するのか
頭を下げることで対応できるのか
設計グレード変更が必要なのか
などは、眼鏡作製技能士や経験豊富な眼鏡店に相談すると良いと思います。
次回は、
「輻輳が苦手な人へのビジョントレーニング」について。


