海外で作っても日本製?
初めてご来店されたお客様で、
「遠近レンズを入れて数年たち、近くが見えにくくなってきた」
というご相談がありました。
結果としては、レンズを入れ替える必要はありませんでした。
今回は、そのときの内容についてお話しします。
ヒアリング
まず、年齢と購入時期をお聞きしました。
年齢的には、急激に老眼が進むとは考えにくい状況でした。
また、事故や病気の有無についても確認しましたが、
覚えている範囲では強い衝撃などもなく、眼科でも異常はないとのことでした。
そこで、実際にメガネの状態を確認したところ、
フィッティングが適切に行われていないことが分かりました。
テンプル(つる)の形状を見ると、曲がり始めの位置が耳よりかなり前にあり、
さらに約90度近くまで曲げられていました。
お客様は
「購入時にフィッティングはしてもらったが、自分で曲げてしまったのかもしれない」
とおっしゃっていました。
しかし、鼻のクリングスや智・鎧部分であれば、手で調整することもあり得ますが、
テンプルの曲がり始めの位置は、熱を加えて意図的に調整しないとこの形にはなりません。
つまり、適切なフィッティングが行われていなかった可能性が高いと考えられます。
幸い、フレーム自体はしっかりした作りのものでしたので、
テンプルのフィッティングをやり直したところ、問題なく見えるようになりました。
フィッティングで近くが見えるようになった理由
テンプルが耳より前で曲がっていたことで、フレームの傾斜角が大きくなっていました。
遠近レンズは無段階で度数が変化しますが、大きく分けると
・遠用部
・中間帯
・近用部
の3つの領域があります。
通常、近くを見るときは近用部を使用しますが、傾斜角が大きくなっていたことで、
本来の近用部ではなく、中間帯で近くを見ている状態になっていました。
その結果、
・見えにくい
・目に負担がかかる
・疲れやすい
という状態になっていたと考えられます。
さらに年齢とともに老眼が少し進んだことで、中間帯の度数では対応できなくなり、
「近くが見えなくなった」と感じられたのでしょう。
フィッティングの重要性
フィッティングは、
・見え方
・違和感
・目への負荷
・掛け心地
など、さまざまな要素に関わります。
特に遠近レンズでは、
フレームの型崩れだけでも違和感が出やすくなります。
今回のケースでは、フィッティング可能なフレームだったため対応できましたが、
フレームの構造によっては、調整自体が困難な場合もあります。
フレームは「デザインの価格」と思われがちですが、
実際には調整できる構造かどうかが非常に重要です。
人の体に例えるなら、フレームは骨格にあたる部分です。
適切なフィッティングができる構造を持ったフレームを
選んでいただくことが大切だと考えています。
ミラー法について
今回のケースでは、
**ミラー法(アイポイント測定)**が行われていなかった可能性も考えられます。
遠近レンズでは、アイポイントシールを使用したミラー法は
基本的に必要不可欠な工程です。
実際には、当店でミラー法を使ったとき、
「初めてやってもらった」というお客様も少なくありません。
遠近レンズが合わないと感じている方は、購入時にミラー法を行ったかどうかを
思い返してみるのも良いでしょう。
まとめ
遠近レンズが見えにくくなった場合、
まずは購入したお店に相談することをおすすめします。
眼鏡作製技能士がいる店舗であれば、
フィッティングの再調整で改善する場合もあります。
また、遠近レンズの作製時には、
・アイポイントシールを使ったミラー法
・丁寧なフィッティング
が行われているかどうかも、重要な確認ポイントです。
次回は
『遠近レンズが合わない原因?』について


