不登校・ひきこもりの解決とは?
天から舞い降りた子宝
「子どもたちは〈家〉に生まれ落ちる」
ということをかねがね実感しています。
誕生の瞬間に、その〈家〉の歴史から来た制約が課せられます。
そういう意味で、人柄(人格)は家柄(家格)によって作られる
と言えるかも知れません。
国柄が民族性、土地柄が県民性などに表れていることからも
伺えると思います。
「降誕」「降臨」という言葉がありますが、
いずれも降りてくる元の場所としての「天」
という思想があります。
西郷隆盛の「敬天愛人」という遺訓があります。
空ではなく天という言葉には、
そこに何らかの「意志」
というものを感じます。
だからこそ敬うものなのでしょう。
「天の恵み」と言いますが、
命を生み、育む大いなる力を感じますね。
自然の運行や織り成す景色などを見ていますと、
一定の法則性を感じ、見えざるものでも、
そこに明確な目的、意志、存在を感じます。
生きる目的を果たすための個性
その「天」から子どもたちも降りてくるのであれば、
同じように「目的」をもってのことだと
考えてみてはどうでしょう。
「子宝」と申しますね。
天からの賜りもの、授かりものですが、
与えられ所有するものではなく、
預かりものと考えてみてください。
預かりものですから、返すことが前提です。
もちろん社会へ返すということです。
個性、資質は、固有の目的を果たすために必要なもの
として与えられています。
個性を伸ばし、社会でその目的を果たせるように
養育・保育・教育していくのが親の役割です。
わが子、わが家、わが身に起こった問題の意味
また、他でもないわが家に生まれ落ちたということは、
この子の誕生は、親子双方にとって、
ここでなくてはならない理由があると思います。
こう考えれば、わが子に起こる様々な出来事から、
問いかけられている意味を探る姿勢が得られます。
なぜわが家に起こったのか、わが子がひきこもったのかを
考えてみなければなりません。
そこに親として、学ぶべきことが示されているはずです。
家族療法で使用されるgenogram(心理的家系図)による分析
を行うと、代々の原家族から受け継がれてきた
負の歴史が読み取れます。
バトンリレーで受け継がれてきたものは何か?
それは、他者コントロールと責任転嫁の行動様式です。
愛情によりわが子を支配、コントロールしてしまったことと、
わが子の責任を肩代わり(甘やかし)してしまったことと、
逆に親が負うべき責任を
子どもに転嫁(親の役割の放棄)してしまったことです。
親御さん自身が、自分と両親の間に、
どのような親子関係を結んできたかを振り返ってみてください。
必ず、わが子に刷り込んでしまったもの(誤った信念)が
見えてきます。
わが子への関わり方のわけが分かるはずです。
「あたりまえ」が感謝を失う
地震などの天災が起これば、
かねて気づかずに恵まれているものに気づけます。
水や電気、食料、人とのつながり。
失われてこそ、有ることがあたりまえではないことに
気づかされます。
子どもたちの笑顔も同じです。
子どもたちが笑顔でいてくれるのも、
決してあたりまえではありません。
家庭では、親以上に親をして、気を配り、心配かけず、
親を喜ばせようとしてくれています。
そのために、笑顔をつくってくれていることさえあるのです。
笑顔が失われてこそ、笑顔のありがたみが身に染みるでしょう。
子どもが自然な真の笑顔でいられるためには、
親側の努力が必要です。
いつでも安心していられる環境を
用意してあげなければなりません。
日本の少子化、不登校・ひきこもりなどの青少年問題は、
「家族」というものの意義に気づかされる
天からの災いとも思えます。
「災い」と「幸い」は表裏一体です。
苦悩や痛みを伴う目の前の現象から目をそらさずに、
人生に責任をもち立ち向かっていった家族には、
「深い絆」という幸いが戻ってくるのです。



