子育てにとっての父親とは?

中光雅紀

中光雅紀

テーマ:解決のための視点

1.ひきこもり解決もワンオペ?

家庭の中での「父親不在」と言われて久しいですが、相談業務、支援活動を

行っている中での実情をお話しましょう。



講座・講演会、相談窓口に尋ねてこられるのはほとんどが母親です。

極端な場合、最初の相談から、第三者介入を始め、問題解決に至るまで、

一度も顔を出さないといった父親もいます。



母親からの相談を受けていて、時折涙を流したり、解決行動が鈍かったり

する場合、あらかた父親(夫)の無理解、非協力が背景にあります。

子育てにおいての孤立感を感じているのです。

「なぜ私だけが・・・」

「この子はあなたの子でもあるのですよ」



これまでも、解決のために孤軍奮闘していた母親が、わが子からは背を向けられ、

夫の他人事のような非協力的な態度に一人の虚しさにかられ、支援半ばで諦めて

しまったケースも複数ありました。

子育ては母親だけの仕事でしょうか?

昨今は、ワンオペ育児で悩んでいる若い母親たちの話もよく聞かれますが、

不登校やひきこもりといったわが家の有事に際しても、どこか他人事のような

姿勢の父親も少なくないようです。

2.父親こその役割は?

子育てには「養育」「教育」があります。

父親たちの言動を聞いていますと、家族のために働いて生活の糧さえ与えて

いれば役割を果たしていると思っていることが多いようです。

「誰のお蔭で食っていけてると思っているんだっ!」という言葉にそれが端的に

表れています。



しかし、『人はパンのみにて生くるにあらず』

精神的な飢えを与えないことと、教育が必要なのです。

父親が担う教育とは何でしょう。

社会の中で活躍している立場としては、社会に適応できる人間になるための

教育、社会へ踏み出す勇気を与える教育、大人に成長できる教育などが、

父親なればこそというものだと思われます。



社会の「厳しさ」を教えることは大切ですが、「厳しさ」はイコール苦悩

ではありません。

苦労はあっても、それがそのまま苦痛や不快ではないんだということを教え

なければなりません。

ですが、ただただ社会は辛くて苦しいと言わんばかりの表情を家庭で見せている

父親がいるようです。



「厳しさ」の一つは、「人生ままならない。思う通りにいかないこともある」

ということです。

耐えること、我慢することを教えていなければ、こらえ性のない子に育って

しまいます。

求めるものを何でも与え、好きなだけゲームもさせるといった関わり方では、

思うに任せない時、常に不平不満を言い、動かなくなります。



大人に成長するということは、好き嫌いで動くのではなく、必要性

動けるようになるということでもあります。

いやでも、必要とあらば動くことです。

思う通りにいかない時は、創意工夫です。

「どうやったら、より成果を出せるか」

そう考えれば、ゲーム感覚で取り組めます。

厳しくとも、思い煩うのではなく、その過程を楽しめます。

心地よい疲れもあることを教えるべきです。

将来に向かって夢と希望を抱き、社会という荒波に挑戦していける姿勢を

身につけさせることが大切です。

3.育てたように子は育つ

ニートやひきこもりは、健全な仕事観人生観が備わっていないことが

多いのです。

社会の中で働く意味意義、や、やりがい自分らしい人生を

楽しみ創りあげていくといった様を親が十分に示せていないことの影響が

大きいようなのです。



社会への適応は、人とのおつきあいが中心になりますが、わが子とのおつきあいが

十分にないようです。

「わが子とのコミュニケーションの取り方が分からない」と言う父親も少なくありません。

「ドア越しでいいですから声をかけてあげてください」とお願いしても、

それすら出来ない父親もいます。

中には「父親というものは、やたらしゃべらないものだ」と自己納得している

場合もあります。

「親の背中を見て育つ」と申しますが、確かにそうで、子どもは

親の言うことは聞かなくても、する通りにしているものです。

大事なことは、どういう背中(行動、姿勢、態度)、つまり生き様を示して

いるかです。



営業職や接客業をしている父親でも、仕事上のお客様へのおもてなしはできても、

家族へのおもてなしが出来ておらず、気づかないところでクレームがあがっています。

4.舵取り役の責任はいずこ?

社会生活は「立場」と「立場」のおつきあいです。

相手の立場への共感能力が求められます。

共感能力を育てられてこそ“おもてなし”ができるようになります。



家庭の中で特に注意が必要なことは、この「立場」、関係性の乱用です。

親子という関係性から「オマエのためを思って言っているんだ」といった

言葉が出れば、子どもは従わざるを得ない状態になってしまうものです。

家庭内でのパワハラ、モラハラとも言えます。

本当にわが子のためになることなのかをよくよく吟味する必要があります。



そして、父親の役割として最も大切なことは、家族を安心させることです。

家庭の運営最高責任者として、舵取りを間違わないようにしていくことが

担うべき最大の役務ではないでしょうか。

海図も羅針盤も船員を気遣う船長もいなければ、船員(家族)は皆途方に暮れます。

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中光雅紀
専門家

中光雅紀(不登校・ひきこもり支援者(家族心理教育コンサルタント))

NPO法人地球家族エコロジー協会

トラウマの視点からひきこもりの原因を見える化していくアプローチを行い、そのもがきのプロセスから人間としての成長を果たし、ひきこもりから脱却。新しい自分に生まれ変わるような変化をサポートしていきます。

中光雅紀プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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