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事態に対してどう臨むか?

2021年9月5日 公開 / 2021年9月6日更新

テーマ:解決のための視点

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 引きこもり支援引きこもり 対策不登校支援

どんな問題でも解決のために先ず必要なことが、現実を否認せず受け入れるということです。
わが家に起こっている引きこもり(不登校)を真摯に受け止めるということです。
「受容」ですね。
どんなに受け入れ難くとも事実として目の前に起こっているのですから、「事実から
スタートする」ということが最も大切なことです。
そしてその事実に対しては、謙虚になる必要があります。
受け入れるということは、納得するということではなく、自分自身の問題として主体的に
受け止め、謙虚に事態から学ぶということです。

現状を招いた原因には、必ず自身の何かが深く関わっています。
わが子に起こっていることに、親である自分が何も関わっていないことなどあろうはずも
ありません。
慢心があれば、謙虚に事態から学ぶということができません。
そうなると責任転嫁してしまいます。
わが子が一人で勝手に閉じこもっているわけではないのです。
親もまた引きこもり問題の当事者です。
問題の主体者が動き出してこそ、事態の改善、解決が進みます。
動ける親が、率先して先ず動き出すことです。

問題の見間違え

家族の目、意識は、とかく働かないとか登校しないとか、閉じこもっているなどの問題
行動の方にいってしまいがちです。
ですが、重要なことは、わが家に一体全体何が起こってしまっているのかを把握する
ことです。
つまり、そもそも何を問題として捉えるべきなのか。
そこを見誤ると、より事態が深刻化してしまう危険もあります。
登校しないとか、働かないが問題ではないということです。
では何が問題なのか?
そうできなくなった原因こそが問題なのです。
どういう環境が背景にあって、目の前の事態が生じたかを考えていく必要があります。

子どもにとっての危険な環境

環境を見直すにあたっては、わが子の発育・成長・発達において安心できる環境にあったかを
考えてみましょう。
安心できる環境とは、ひとつに安全であることです。
子どもにとって安全を欠く環境とは、体罰や過度に行動を制約されるなどです。
干渉や子どもの世界(生活圏)への侵入ですね。
親は時に、わが子への執着を愛情と錯覚してしまいがちです。
そうなると、愛情をかけているつもりが、子どもにとっては、自分の世界への侵入であり、
強制、支配やコントロールとなってしまっています。
これでは子どもは窒息します。

子どもが落ちつけぬ環境

そしてひとつには、安定していること。
両親の傾向に、感情の起伏が激しいといったようなことがありますと、子どもの情緒も
不安定になります。
感情的に子どもを叱ったり、情緒面の揺れが激しいことは、大きなダメージを子どもに
与えます。

ダブル・バインド(二重拘束)というものがあります。指示と背景の意味の相互矛盾で、
言葉で発しているメッセージと言外の態度に矛盾があるようなコミュニケーションです。
例えば、「好きにしなさい」と言っておきながら、意に添わぬ答えだとあからさまに
表情が険しくなるなどです。
「学校行きたくない」(子)
「よく考えて自分で決めればいい」(親)
「やっぱり行かない」(子)
「えっ、ありえないんだけど」「行くのが当たり前でしょっ!」(親)
こういったやり取りがありませんでしたか?
ダブル・バインド(二重拘束)は、統合失調症の発生因とも言われているくらいです。
子どもが情緒的に混乱するのは無理もないことです。

また、父親に転職癖があるとか、両親の不和も決して落ち着いていられない環境です。
もちろん、祖父母など同居家族が他にいた場合は、両親と祖父母との関係性も影響を
与えます。
特に父親は、この子を妊娠し子育てをしていく母親が安心して育児ができる環境を
つくってあげられていたかを振り返ってみましよう。
父親の不在や非協力、無関心は、母親のみならず、子どもにも大きなダメージを
与えます。

人間関係にも影響を及ぼす家族の関係性

不登校、引きこもりは、「人間関係失調症」とも例えられると思いますが、人間関係は、
何も他人との関係に限りません。
家族との人間関係こそ密なだけに難しいものです。
子どもたちは、両親間の関係、親がその親(祖父母)を大事にしているか、それらを観察し、
人づきあいのパターンを身につけていきます。
また、結婚観や家族観、人生観なども自然と備わっていきます。
それぞれに夢や希望をもてるか否かも、親次第ということです。

さらには、自分と親との人間関係。親が自分をどう扱ってくれるかで、自己認識が左右
され、自分を肯定的に受け入れるか、否定し粗末に扱うかが決まってくるのです。
自己認識が肯定的であれば、他者との人間関係も円滑にいきますが、否定的で自分を
信頼できなければ、人間関係はどうしてもうまくいかなくなります。
他者は、自分にとって安心できる存在ではなくなるからです。
人間関係は、「信頼」が最も必要です。
自己信頼ができてこそ、他者への信頼ももてるようになるのです。
「引きこもり現象」は、その信頼を結べず、自らつながりを断った状態なのです。

この記事を書いたプロ

中光雅紀

ひきこもる人、その家族を再生へと導くプロ

中光雅紀(NPO法人地球家族エコロジー協会)

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