この世界、知らんことだらけ:Vol.3「カバの汗は赤くて美容にいいらしい

さぁ、今週も金曜日になりました。
福岡を語る上で、忘れてはならない偉人伝。
毎週金曜日のお約束。
今日は、福岡市出身の大西巨人(おおにし きょじん/1916–2014)。
『神聖喜劇』などを著した小説家のお話です。
週末の入り口に、ひとりの偉人の言葉に触れる時間を。
今週は、理性と倫理を武器に、体制に抗った作家・大西巨人を紹介します。
福岡に生まれ、思想に生きた
1916年、福岡市に生まれた大西巨人。
彼は戦後日本文学において、思想と文学を結びつける稀有な存在。
物語を語るだけでなく、人間の尊厳とは何か、理性とは何かを問い続けた作家です。
『神聖喜劇』——言葉による反抗
代表作『神聖喜劇』は、軍隊という閉鎖空間を舞台にした劇。
主人公・東堂太郎が論理と倫理を武器に、命令と暴力に抗う姿を描いた長編小説です。
彼は怒鳴らず、殴らず、ただ言葉で反論する。
その姿は、文学が思想の実践であり、人間性の防衛線になり得ることを示しています。
「私は、論理によってしか納得しない。」
——『神聖喜劇』より
この一言に、大西巨人の文学観が凝縮されています。
思考を手放さないという選択
晩年まで、社会や政治への鋭い批評を続けた大西巨人。
彼の作品は、思考を手放さずに生きることの意味を問いかけてきました。
それは、職場や日常の中で、
「このままでいいのか」と静かに問い直す私たちの姿にも重なります。
週末に向けて、ひとつの問いを
言葉は、ただ伝えるだけではなく、
理不尽に抗い、尊厳を守る力にもなる。
今週の終わりに、
「自分は何に納得して生きているのか」
そんな問いを、大西巨人の作品とともに、静かに見つめてみるのも良いかもしれません。



