ため込む癖とすっきりしたい衝動の正体

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:心のあり方のヒント

松浦お順

産業カウンセリングで良くある心の整理術

「最近、掃除が止まらないんです」
そう話してくれたのは、ある女性起業家さん。

普段は穏やかで、周囲に気を配るタイプ。
ですが、ある日突然、部屋中のモノを一気に片付け始めたそうです。
片づけ始めると終わるまで続けたい衝動に駆られる。

心の縛りが解けると家じゅうの大掃除が始まる方はとても多くて。
ですが、ストレスをため込む方の発散の一つに大掃除をする方もいるのです。

そうですねぇ。
掃除をしつつ心の整理をして、抑圧されて押さえつけていた何かをひっくり返すことの方になりますかねぇ。

「なんで急に?」と伺うと、彼女は少し笑ってこう言いました。
「たぶん、いろいろため込んでたんですよね。感情とか、言葉とか、ゴミとか…全部。」

ため込むのは、優しさの副作用かもしれない

彼女は、いつも場の空気を読んで、誰かの気持ちを優先している方。

今は言わない方がいいかな
私が我慢すれば済むし

そんなふうに、少しずつ“自分”を棚上げしていたのかもしれません。

ですが、ため込んだものは、いつか出口を探す。
それが掃除だったり、涙だったり、突然の模様替えだったり。
彼女にとっては、それが“自分を整える儀式”だったのだと思います。

ゴミと感情は、ためると似る

「冷蔵庫の奥に、謎の密閉容器があるんです」
彼女がそう言ったとき、私は思わず笑ってしまいました。

ですが、よく考えると、モノをためる心理と感情をためる心理って、すごく似ているのってお気づきですか?

失うことへの不安
安心感をモノや沈黙に求める傾向
“捨てる”ことへの抵抗感

彼女は、誰にも渡せなかった想いや、言えなかった言葉を、そっとしまっていたのかもしれません。

それは、優しさの裏返しであり、自分を守るための工夫でもあります。
…とはいえ、一挙に感情が爆発することもある。
だからこそ、地雷を踏む前に、日々心を整えることが大事。

効率より、意味が欲しい日もある

「掃除って、無駄なようで意味があるんですよね」
彼女のその言葉に、私は深く頷きました。

効率だけを求めると、心が置いてけぼりになる。
意味だけを求めると、遠回りになることもある。

ですが、遠回りの中にこそ、自分らしさが滲む。

彼女の“すっきりしたい衝動”は、ただの片付けじゃなくて、
「自分を取り戻すためのプロセス」になっているようです。

今日の気づき

ため込むことも、爆発することも、どちらも“その人らしさ”の一部。

そして、誰かの“ため込み癖”に「わかるよ」と寄り添えることが、
現場での大切な関わり方の一つです。

彼女は今日も、少しずつ“自分のペース”を取り戻しています。
冷蔵庫の謎の密閉容器は…まだ開けてないそうです。
それもまた、彼女らしい選択。

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鎌田千穂
専門家

鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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