自分に足りないものではなく、持っている豊かさに目を向けよう

さて、シリーズ最終
Vol.20|語ったあとに訪れる“迷い直し”
決断は一度きりじゃない
について書きますね。
決断したはずなのに、また迷っている
決断したはずなのに、また迷うことってありますよ。
どうしてでしょうかねぇ?
中には、それってダメなことだと思う方もいらっしゃる。
- 辞めるって言ったのに、また迷ってしまって…
- 昨日は決めたつもりだったんですけど、今日になって不安になってきて…
- 考えているときはやろう!って思うのに、急にどうでも良くなって
そんな声に出会うことがあります。
そんなことから、「やろう!」と語ったあとに迷い直すことは、決して珍しいことではありません。
ですが、本人にとっては
自分がブレている
意志が弱い
意気地がない
と感じてしまうこともあります。
支援者として、その“迷い直し”にどう関わるか、ご相談もあるわけです。
今回は、そんな揺らぎの時間に焦点を当ててみたいと思います。
迷い直しは未経験でイメージができないことが多い
決断とは、感情と状況の中で生まれるものです。
一度語ったからといって、それが“確定”ではありません。
むしろ、語ったことで初めて
「本当にこれでいいのか?」と問い直すことで、
失敗したくない気持ちが強くなる時に迷いが生じるのかもしれません。
そんな迷いが生まれると、怖いのは周囲の人の圧力でしょうか。
もちろん、勢いというのもあるのですけど…。
「宣言したんだから、思い切ってやってみたら!」という圧って、思った以上に「宣言をした人」を追い込むんですよねぇ。
迷い直しは成長過程
とはいえ、迷い直すことは、思考が止まっていることよりも、むしろ進んでいるからこそ。
単なる成長過程の一つ。
これまで想像していなかったことを頭の中で思い浮かべるのですから、想定をいくつも作り上げることになりますね。
本人が自分の選択に納得しようとしているために、上手くいくためのシミュレーションを行う。
そのために、もう一度立ち止まって考え直しているのです。
行動して迷いを解いていくものでもある
とはいえ、頭で考えていることはしょせん妄想。
行動を起こして初めて上手くいかないことを上手くいかせることを通じて成長をするもの。
行動を起こして、動いていくうちに迷いを解いていくことの方が当たり前。
今も昔もそうやって、人のメンタルは強くなっていくのは変わらないのです。
支援者として、どう関わるか
迷い直す人に対して、支援者ができること
- 「また迷ってるの?」と否定しないこと
- 迷いの背景にある価値観や不安を丁寧に聴くこと
- 決断を“守る”のではなく、“問い直す時間”を一緒に持つこと
決断は、本人のものであり、本人のペースで整えていくものです。
支援者が「一貫性」や「正しさ」を求めすぎると、
本人の思考や感情の流れを妨げてしまうことがあります。
まぁ、とはいえ支援者側としては期待を乗せる分“イラっ”としますねどね。
現場でのあるあると、ユーモアの余白
昨日は辞めるって言ってたのに、
今日は続けるって言ってる
そんな場面に出会ったとき、支援者も「えっ??」と思います。
そこで「人間って、そういうものですよね」と笑えるくらいの余裕があると、関係性も深まり、本人も安心して迷えるようになります。
迷い直しは、恥ずかしいことでも、後ろ向きなことでもありません。
それは、本人が自分の人生に責任を持とうとしている証です。
支援者というのは、その人の人生の責任を取る人ではないのですから、生暖かい目で付き合う“度量を育む”ことも大事です。
まとめ:迷っても、選び直しても、すべての選択は正しい
語ったあとに迷い直すことは、決して後ろ向きではありません。
むしろ、自分の人生に責任を持とうとしているからこそ、
もう一度立ち止まって考え直しているのです。
迷ってもいい。
迷っても悪くない。
人は、迷いながら選び、選んだあとにまた迷い、
それでも前に進むしかありません。
時間が必要な時だって頻繁です。
私に言えることがあるとすれば——
どの道を選んでも、人は「うまくやりたい」と思って行動する。
だから、すべての選択は正しいのだと思います。
産業カウンセラーとして、私はその迷いの時間に立ち会いながら、
「迷っても大丈夫」と伝えられる存在でいるかを常に問います。
そして、どんな選択にも意味があると、
静かに信じ続ける役どころを担える者でありたいと願います。



