「あなたのため」という言葉の心理:ちょっと怖い深堀り

夏の暑さが本格化すると、身体にも心にも少しずつ負荷が蓄積していきます。
日中の気温が35℃を超える日、屋外との行き来や取材、打ち合わせなどで汗ばむ瞬間は誰にでもあるでしょう。
そのなかで私自身、「暑さとどう向き合うか」が働く人のコンディションや感情に大きく影響していることを実感しています。
そんな日々の中、ふと手に取った冷却ボディペーパーが小さな気づきをくれました。
その違和感に、目を向けられていますか?
「誰向けか」ではなく「どう感じるか」で選びたい
市販されている冷却グッズの多くには、男女別の表示が付いています。
香りやデザインを重視した女性用
冷却力やサイズ感を重視した男性用
もちろん、商品の特性やターゲット層として理解はできます。
けれど実際に使ってみると、女性用は小さくてすぐ破れてしまう。
外出の多い私の働き方には正直、心もとない。
そうした違和感を通じて見えてきたのが、「誰の感覚で作られているか」という問い。
性別ではなく、どんな場面で、どんな働き方をする人が、どんな感覚で使うのか。
リアルな日常に寄り添った設計や選択肢は経験した人にしかわからない。
それこそが、働く人の「安心」や「自己尊重」につながるのではないでしょうか。
“選べる自由”には区別せずとも良いものもある
買いたいものを「選ぶ」という行為そのものに意味があると考えています。
もちろん、買いにくいという声に合わせて区別することだってある。
ですが、区別しすぎて買いにくいということも起こっているのではないでしょうか。
どの商品がいいか、どの機能が必要か。
——そうした選択を通して、
「自分はどう感じているのか」
「どう自分をいたわりたいのか」
に気づくことができます。
私たち一人一人も性別や既成概念に合わせることも疑問を持っていい。
一人ひとりの感覚に寄り添える選択肢があること。
それが、働く人の心理的安全性を支えるケアの入り口になるのかもしれません。
冷却グッズひとつでさえ、気づきの連鎖は始まります。
「このアイテム、私にはちょうどいい」と思えた瞬間、
それは小さな自己理解であり、セルフケアの第一歩です。
まとめ:あなた自身の感覚に正直でいていい
誰かがボディペーパーを選ぶとき、その選択に性別は関係ありません。
もちろん、機能的なものはあるとは思います。
ですが必要なのは、
いまの自分に合っているか
安心できるか
これ、イイね!って真に思えるか
働く人の多様な感覚に寄り添える文化が、今求められているのではないでしょうか。
そして、「そう書いてあるから、そうじゃないといけない」と縛ることも、「本当にそうかと」疑問を持つことって大事。
それが、産業カウンセラーとして私が伝えたいことの一つでもあります。



