別居期間中の生活費支払い義務はいつから?

中村伸子

中村伸子

テーマ:別居・生活費

パート勤務のC美さんは,数年間,会社員の夫D太郎さんとケンカが絶えず,ついに小学生の子ども2人を連れて,実家に戻ってしまいました。
D太郎さんは,勝手に出て行ったのだからと,C美さんに生活費を支払わず,5ヶ月が経過しました。
その後,C美さんが家庭裁判所に,生活費=婚姻費用を支払ってほしいという調停を申立てたとすると,支払われていなかった5か月分も遡って認められるでしょうか?

夫婦は,互いに扶助する義務があり,収入に応じて生活費を負担することになります。
相手が支払わない場合には,家庭裁判所での調停又は審判を申し立てることになります。
(調停が成立しない場合には自動的に審判に移行します)。
この場合,調停でD太郎さんが5か月分遡って支払うとの合意が出来れば,もちろん問題ありません。
しかし,調停が出来ず,審判になったときは,
現在の実務では,婚姻費用分担調停申立の時から支払わなければならないとするのが一般的です。
(義務者D太郎さんはお金を使ってしまっているという状態が実際にはあるわけです。
他方,権利者C美さんは,決して足りていたというわけではないのですが,何とかやりくりしてやってきたという状況です。
この場合に要扶助状態の最初まで遡って全てを支払えと命じることになると,
義務者D太郎さんに過大な負担を負わせてしまうことになるからという説明が一般になされています。)
詳しいことは,弁護士にご相談ください。

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中村伸子
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中村伸子(弁護士)

あおぞら法律事務所

離婚,成年後見,遺産分割など家庭に関わる事件に多く携わっております。パートタイム裁判官=家庭裁判所の調停官の経験も活かし,将来にわたって依頼者の皆様が心から納得いただける解決策をご提案いたします。

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