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年収の壁に「支援強化パッケージ」

2023年10月5日 公開 / 2023年10月6日更新

テーマ:コラム

コラムカテゴリ:ビジネス

おはようございます。福井の社会保険労務士 北出慎吾です。朝晩が涼しくなり、もう18時近くになると外が暗くなってきましたね。事務所内では日中、冷房をつけようかどうか迷っていますが、やはり人が集まると室内は暑くなりますので、冷房をつけて仕事をしています。窓を開けて、よい風が吹く気持ちよい季節になってきましたね。この季節も好きです。

政府が「年収の壁」に対して支援強化パッケージを発表しました。10月1日の最低賃金アップやこれから就業調整に入る方への対策のひとつとされています。まず従業員101人以上の企業に関する「106万円の壁」に対しては、最低賃金引き上げなどによって基本給等が増加し、社会保険の加入となる従業員に保険料相当額を手当として支給した場合、企業に1人あたり3年で最大50万円をキャリアアップ助成金として支給。申請には手続きが必要です。従業員には、社会保険加入により手取りが減らないよう、保険料相当分の手当は増額しますが、増えた手当分は、社会保険料の算定の対象から外れるため、一時的ではありますが、助かる制度です。ただ、助成金申請の手間や実質企業負担が増えることから、この制度を利用する101人以上の企業が増えるかは疑問です。 そうなるとあまり対策とならない。。。
一方、100人以下の企業に関する「130万円の壁」に対しては、残業などによる一時的な増収の場合、事業主の証明により、連続2年まで扶養を維持できるようにするというもの。この「一時的な増収」というのが肝。政府発表の資料によると、「被扶養者認定においては、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等を確認しているところ、短時間労働者である被扶養者(第3号被保険者等)について、一時的に年収が130万円以上となる場合には、これらに加えて、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする。」と記載されています。これは通常の勤務、労働時間で(所定労働時間)最低賃金を引き上げたことにより130万円を超えたら、やはり扶養からは外れるということとも読み取れますので、もう少し詳しい資料がでることを待ちたいです。
最低賃金引き上げや年末の就労調整に向けた政府の素早い対応。一定の評価はできますが、根本的な対策とはなっていないため、更なる議論が必要となります。年収の壁、第3号被保険者の考え方、家族手当の考え方、年収アップなど複雑に絡んでいるため、なかなか複雑な課題ではありますよね。

ミライズの詳細はこちら
https://synergy-management.co.jp/hr_evaluation-merize/

シナジー経営社会保険労務士法人
シナジー経営株式会社
北出慎吾

【編集後記】
朝晩涼しくなってきたので、体調が良いという方も周りに多くなりました。体調管理も仕事の大事な要素。適度な運動はやはり体調にもストレスにも有効なようです。

この記事を書いたプロ

北出慎吾

社会保険労務士として企業の成長に寄り添う人事労務のプロ

北出慎吾(北出経営労務事務所)

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