精神疾患の社員の対応について
今後、複数回に分けて会社と社員とのトラブルなど実際にご相談を頂いた事例を中心にお伝えします。
今回は、
「退職届を出し、以後一切連絡が取れない社員の退職の成立」
について
一般的には退職は、退職届の提出があり退職の意向を会社に伝え、必要な引継ぎをして対処をする流れとなりますが、何らかの理由で退職後一切連絡が取れない社員がいます。
引継ぎがされないのは困る!
という声もありますが、今回は話がそれるので退職の有効性について触れておきます。
労働契約の締結と同様、労働契約の終了は、口頭でも書面でも有効なのはご承知の通りです。
但し、のちに言った言わないの紛争を生じさせないためには社員から退職届を提出してもらうことが最善であり、提出してもらう方法を尽くすことが重要です。
最近では、LINEやメールでも退職の意向を示してくるのでこれもひとつの証拠となります。
会社としては就業規則に定めたルールにのっとり、またひとつのけじめとして「退職届」の文書提出を求めたいというのもわかります。
ただ、大事なのは退職の意思表示があるという事実でそれが本人のものであり、会社が同意すれば合意退職として労働契約の終了となります。
今回のケースは、
社員が「30日付けで退職する」旨の退職届が提出されその後、連絡が取れないというケースですので会社がその社員の退職を承認するかどうかを伝える手段をその社員が断っていると判断できます。
その場合、30日付でと社員が退職日の設定をしていますのでその日が到達すれば退職が成立します。
会社としては、必要書類の返還、引継ぎ等を行ってほしい旨の伝達をしたいですが、その方法も取れない場合は文書で連絡を取ることになります。
場合によっては、今回のように一切連絡が取れないということもあるでしょう。
その場合でも会社がこのような動きをとったということを記録(メールや文書での配達記録)に残しておくことは後々トラブルとなった時に有効な証拠となりますので、できる限りのことはしておきましょう。