業務命令違反に対する社員

北出慎吾

北出慎吾

テーマ:労務

今後、複数回に分けて会社と社員とのトラブルなど実際にご相談を頂いた事例を中心にお伝えします。
ビジネスマン

業務命令違反の社員に対してどのような処分が可能?

今回は、「業務命令違反の社員に対してどのような処分が可能でしょうか。」です。

会社や部門の方針や業務を遂行することは一般的に業務命令と考えられます。

例えば、報告・連絡・相談を徹底すること。
    メールでの連絡については必ず上司にCCとつける。
    業務日報を毎日提出すること。

などどこの会社でも会社が定めたルールは存在するのではないでしょうか。
では、このようなルールや業務命令を守らない場合どのような処分が可能なのでしょうか。
一般的には、
けん責、訓戒、始末書の提出などの軽微な懲戒が考えられます。

一定のラインを超えるとそれよりも重い処分が下されることがあります。
ひとつ判例を紹介します。

○○○○パワージャパン事件 東京地裁


結論としては、解雇が有効と認められた案件です。

【概要】
Aは、Y社の業務に関連する電子メールにつき、平成27年7月頃から、CCに部長のメールアドレスを入れず、社長から指示を受けても従わなかった。
11月9日、重ねて電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう指示を受けた後も、これを改めなかった。
11月11日、社長から全ての電子メールのCCに必ず部長のメールアドレスを入れるよう明確に命じられた後も、その日のうちに、これに反し、あえて同じ行為を繰り返した。
Aが業務に関連する電子メールのCCに部長のメールアドレスを入れなかったことにより、Y社においては、部長がAが既に対応していた業務を二重に行うこととなったり、
Y社として対処するべき問題につき部長として営業部門とマーケティング部門を統括する立場にあった部長の耳に入るのが遅れたりするなど、その業務遂行に不利益が生じたことが認められた。
よってこのようなAに対してY社が解雇に及んだのにはもっともな理由があったものと認められ、本件解雇に客観的に合理的な理由がないとは認められない。
つまり、解雇要件である「客観的に合理的な理由」があるとされ解雇が有効とされたのです。

業務命令違反で解雇?

と思われるかもしれませんが、再三の注意・指導が立証されこれらの記録が残っていれば解雇も可能ということになります。

会社の規模は20名程度です。

20名の会社であれば就業規則が存在しますし、就業規則に則ってという対応が必要となります。

本来は業務命令・改善指示に従って改善されれば解雇という選択はなかったかと思いますが、色々な社員がいます。

大事なのは就業規則と記録。

徹底してくださいね。

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北出慎吾
専門家

北出慎吾(社会保険労務士)

北出経営労務事務所

顧問契約(労働・社会保険の書類作成、手続き代行)や給与計算業務だけではなく、会社を発展させ、リスクから守る就業規則の作成、人事評価制度の構築や社員研修などを得意としている。返済不要の助成金提案も好評。

北出慎吾プロは福井テレビが厳正なる審査をした登録専門家です

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