懲戒処分の指針
今後、複数回に分けて会社と社員とのトラブルなど実際にご相談を頂いた事例を中心にお伝えします。
今回は、
「会社に無断でアルバイトをする社員について」
政府の方針によって副業を容認する会社も増えています。
政府が示している内容の要約を紹介します。
副業を認めることによる労働者のメリット
1.離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
2.本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
3.所得が増加する。
4.本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。
副業を認めることによる留意点
1.就業時間が長くなる可能性があるため、労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要である。
2.職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要である。
3.1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には、雇用保険等の適用がない場合があることに留意が必要である。
副業を認めることによる企業側のメリット
1.労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
2.労働者の自律性・自主性を促すことができる。
3.優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
4.労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。
副業を認めることによる企業側の留意点
1.必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務をどう確保するかという懸念への対応が必要である。
以上のようにメリット、留意点等はありますが、案に副業を認めると本業への影響も出てきます。
労働時間は通算されますので本人の健康管理など一定の配慮が必要となります。
判例では、「就業時間外の行動は自由なのが原則のため、社員の兼業、副業を禁止するためには、就業規則に兼業禁止を定めておく必要がある。」としています。
認める場合は就業規則に会社の許可を得てなどのルールを記載した上での対応が必要となります。
例えば、無断で副業をしているとしても就業規則に記載がないと処分ができません。
まずは、就業規則を確認してください。
その上で、企業秩序を乱すような副業・兼業、本業に影響を与えるような場合は、注意指導を行って下さい。
それでも改まらない場合は始末書、顛末書などの書面での注意となります。
ケースによりますが、解雇するには難しい案件でもありますのでその場合、事前にご相談ください。