態度が悪い社員への懲戒処分について

北出慎吾

北出慎吾

テーマ:労務

ご相談を頂いた事例紹介


今後、複数回に分けて会社と社員とのトラブルなど実際にご相談を頂いた事例を中心にお伝えします。

「仕事は出来るんだけど、上司の指示にふて腐れた態度を取った社員に
 口頭注意し、それでも改まらないので 懲戒処分したら、その社員が暴れて、
 社内の雰囲気が悪くなった。」

このようなこと、経験はありませんか?


このメルマガでも何度か記載していますが、懲戒処分にするには就業規則に懲戒する旨の
記載が必要です。

懲戒処分にする際のルールの記載例


今回のケースは、懲戒処分にする際のルールを次のように記載していました。
 ・会社の業務命令に反して就業を拒んだ場合
 ・業務に非協力的で協調性を欠く場合
 ・会社の秩序、風紀を著しく乱す行為があった場合

しかしながら、いくら就業規則に記載があっても肝心なことが抜けています。

それは、記録です。
もう一度、相談内容を見てみましょう。
「上司の指示にふて腐れた態度を取った社員に 口頭注意し、それでも改まらないので
 懲戒処分したら、その社員が暴れて、 社内の雰囲気が悪くなった。」

ここには具体的にいつ、どのような態度があったのか

どのように注意したのか、どのように暴れたのかの

記載がありません。

これがないと態度が悪い、暴れたという事実があったとしても

懲戒処分することが難しくなることがあります。

例えば、

「8月2日11時、上司Aが見積書の作成依頼を部下Bに指示した。
 その際、返事もなく、依頼書類を 奪い取ったので上司Aは口頭で、
 『その態度はおかしい。大事なお客様からの見積依頼をそのような態度で
 仕事をしているなら、いつかお客様に迷惑をかける。改めなさい。』
 と注意した。
 その際、部下Bは、
 『うるせえな、なんで俺が見積書作成しなければ いけないんだ、めんどくさい』
 という発言があった。
 上司は、謝罪を要求したが、部下Bは そのまま外出し、直帰した。
 見積書提出が8月3日だったが、提出期限になっても提出されず、
 変わりに部下Cが作成し、お客様に提出した。
 1週間後の8月10日になっても謝罪や弁明がなく、再度上司Aが部下Bを
 呼び出し、理由を聞いたところ、「別に」という言葉を発して、「ちっ」と舌打ちし、
 机を蹴りながら外出した。
 そのやり取りを事務所の社員全員が見ていた。」

大事なのは記録すること。

例えば、このような形で記録が残っていればどうでしょう。
時系列でどのような発言があり、どのような行動をとっていたかの
詳細な記載があればお互いに状況を確認することができますし、
「業務命令違反」として懲戒処分をすることも可能となります。
あいまいな状態だと「言った、言わない」の水掛け論となり
収拾がつきません。

大事なのは記録。

覚えておきましょう。



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北出慎吾
専門家

北出慎吾(社会保険労務士)

北出経営労務事務所

顧問契約(労働・社会保険の書類作成、手続き代行)や給与計算業務だけではなく、会社を発展させ、リスクから守る就業規則の作成、人事評価制度の構築や社員研修などを得意としている。返済不要の助成金提案も好評。

北出慎吾プロは福井テレビが厳正なる審査をした登録専門家です

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