いつ巻けばいいの?手巻き時計は 前編

川口誠

川口誠

テーマ:時計の使い方

今日は久々に堅い話を。松山からお届けします





手巻き時計の説明書などを読むと、「毎日決められた時間にゼンマイを巻いて下さい」などと書いてあります。
毎日決められた時間に巻くとどういうメリットがあるのでしょうか。

いっぱいまで巻かれたゼンマイは、巻いていないゼンマイに比べて、強い回転力(駆動力)をもっています。
この強い回転力はそのままガンギ車まで伝えられ、テンプを勢い良く振幅させます。
テンプが勢いよく振幅すると、勢いのないときに比べてテンプに及ぼされるさまざまな外的要因の影響を受けにくくなります。

(外的要因:たとえば、摩擦、あるいは時計をつけたまま走るとか、腕を振るという動作によって生じる重力影響のムラなどが挙げられます)

つまり、「テンプが勢い良く振れると時間がよく合う」のです。

しかし、ゼンマイがほどけてきて駆動力がなくなってくると、テンプの振りはどんどん元気がなくなってきます。(テンプ振り角低下)
テンプは勢いを失っているので外的要因の影響を受けやすくなります。
外的要因の影響を受けはじめると、時間は狂いはじめます。


また、ゼンマイの持続時間は一般に約36時間~48時間です。
いっぱいに巻いても一日過ぎればかなりゼンマイの駆動力は落ちている訳です。


つづく。。。

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川口誠
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川口誠(時計職人)

時計工房 勇進堂

一番の大切な仕事は電池交換です。電池交換ぐらいどこでもいいやって思うのは危険です!電池交換は知識のある僕でも今でも緊張をもって交換しています。電池交換は勇進堂は命かけています。

川口誠プロは愛媛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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