英検1級道場-天国の伴侶と共に今日の英検1級2次面接を受けてきました
これまで、私の意見と、8名の現役/元受講者からの意見を掲載しました
今回、現役の小学校教師からの意見を追加で掲載します
ボリュームがあるので、読みやすさを考慮して、今回は先頭に掲載します
元受講生 現小学校英語教員
1 土台としての小学校での英語教育の現場例
私は、次の調査結果については納得できる。
◎中高生の英語力の向上が続いている
〇英検3級相当以上の英語力がある中学3年生の割合は50.0%
小学校で英語を2002年より教えているが、小学生の英語力は22年前と比べて格段に向上している。
さらに英検受験者数も増え、小学校のうちに英検3級取得も一般化する方向にあり、またそれ以上の級の取得者も少なくない。そして、実際にこれらの級を取得した子供の英語力もその級なりに確かなものである。
単に試験に通過しただけでなく、運用力においても評価できる。英検の試験内容及び合否も運用力にほぼ適切に反映していると、いろいろな英語活動から捉えることができる。(統計データではなく現場感覚である)。
私はオーストラリアの小学校へ年間2回の短期留学する子供たちを引率している。8日間という短期間であるが、子供たちは現地の学校に通学し、ホームステイをし、英語漬けの生活を過ごす。
この中でも英検取得者及び取得を目指している子のコミュニケーション力は、そうでない子供たちに比べて確実に高い。
この事業は、2017年より始めたが、2023年度(2回実施)において、一定の進展を得た。この年は合計42名子供が参加した。
2017年当時は、子供たちは「(授業の)英語がわからない、通訳してください」ホストファミリーからは、「〇〇について、先生から説明してあげてください」という、いわゆる「通訳業務」依頼が大変多かった。
しかし、2023年度においては、こうした業務がほぼゼロに近かった。子供たちはなんとかして現地の学校の子供や先生、ホストファミリーと持っている英語力でコミュニケーションをとって自分なりにその時々の課題を乗り越えている。
この海外留学前に英検を受けて、合格の自信を持って出発する子、帰国後に勉強が勢いづき、受験を決意する子の2種類のタイプがある。どちらのタイプもそれぞれに受験意義があると考える。いずれにしても英検とこの海外留学は切っても切れない関係になりつつある。
保護者と英語学習に特化した個人面談がある。
英検受験に関する相談は年々増加している。「○級に合格しました」「○級に挑戦中です」「どうしても○級に合格できません、何をしたらよいでしょうか」「英検取得によって中学入試を有利にしたい」という話題が出てくる。
英検受験に対する保護者の意識も年々高くなってきている。
こうした意識変化、海外現場での運用経験など、英語力を向上させる環境が整いつつある学校は小学校といえども確実に増えている。
よって、中学校での3級取得率の向上はごく当たり前のことであり、前提に小学校での土台づくりがある。
世の中全体に、この土台構築が緩やかながらも進んでいる、その反映が今回の調査結果、特に中学生での3級取得率の向上と考える。そういった意味で、納得できる調査結果と考えている。
2 幼稚園から英語学習をすることとその後の傾向例
さらにその下の土台は、インターナショナルの幼稚園の存在もある。いわゆるインター育ちの子供たちは、入学時確かに上手に英語を話す。普段の生活の中で英語をマスターした層である。
日々生活する中で自然に英語力を身につけるという点において、これはこれで素敵なことである。一方で、小学校に入って初めて英語の勉強をするという子も当然多数いる。
この場合でも、英検3級に合格して卒業していく子もいる。6年間の学習成果である。一方で、インター育ちでも、小学校に入って普通の生活が日本語で行われる環境において、英語感覚を失っていく子も見てきた。
この層は、幼き時期、英語の学び方を学ぶことなく、自然に身につけたので、英語に対して努力をして学ぶ意識がやや弱いと感じることもある。
6年間で見ると、初心者の努力型、インター育ちの非努力型で、英検の級においてはほとんど差がない。
インター育ちで小学校2年生ぐらいで2級に合格して、そのまま上の級を取れると思っていたのが、そのまま2級で悩みつつ卒業する子もいる。
その逆に、入学時は初心者でも努力型の子で3級あるいは準2級に達する例もある。
日本で生活する上においては、英語は意識的に触れる時間を作り、少し努力して学ぼうという姿勢で取り組む時間が必要であることを示す一例かと考える。
また、学び方を学ぶ、という必要性も教えてくれている。
つまり、英語は日本においては、「自然」には学びにくい環境にある場合が通常である。さらには他の勉強の忙しさも加わってくる。
コロナ禍における休校時は、「英語を学ぶ方法を学ぶ」という観点においては、良い時期であったと考えている。対面授業ができない時期が長く続いた。オンライン学習がここで一気に意味を持ってきた。
ライブオンライン授業、動画によるオンライン教材、オンライン英会話などが花開いた。オンラインという点では同じだが、多様なオンライン学習のスタイルを経験することになった。多様な学び方を知った子が多い。
3 コロナ禍とオンライン学習、英検
先に、オーストラリア留学の点について述べた。コロナ禍で3年間中止となった。この間に、子供たちの英語力は低下し、それ以前のような活動に支障をきたすことを心配していた。
結果は、全くその逆であった。2023年度4-6年生42名がこの海外研修に参加した。コロナ禍の時は、彼らは1-3年生であり、オンライン育ち世代である。しかし、コロナ前の本研修よりも英語的に成果を上げた事実を見てきた。(具体的には前述した通りである。)
ちなみにコロナ禍においても、英検は基本的に中止することなく、実施されていた。英語学習へのモチベーションを失うことはなかったとも言える。これも調査結果と関連すると思われる。
このコロナ禍において、教員も自宅からオンライン教材を発信したり、ライブレッスンを行ってきた。通勤時間が削減された分、英語学習そのものをする時間は個人的には増えた。
こうした教員が指導すれば子供たちの英検の結果も良い方向にいくのは自然である。
4 教員の指導力と教員の英検
以下のデータが公開されている。
CEFR B2レベル(英検準1級)相当以上を取得している英語担当教師の割合は、中学校44.8%、高校80.7%。
いずれも増加傾向にあり、今回が調査開始以来の最高値となった。一方で、高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%と前年度比0.7%減となった。
先に述べたように英検受験に関する相談が保護者から年々増えている以上、教師は英検1級取得は必要と考えて、私も取得した。これまで合計3回合格している。
また前述したような海外研修に参加させる保護者の英語レベルも高い。その保護者に対して、海外研修に向けての英語学習方法、英検対策を説明し、納得してもらうには、教師側の英語力にも保護者は興味があるはずだ。
ここで保護者が教師に信頼をおけば、子供もいい力を発揮するものである。英検1級はそういった意味でも価値ある資格であり、つまり教育をも向上させるために必須の資格と考えている。
実際、オーストラリアの現地で、現地校の先生方やスタッフと業務をこなすには、英検1級でも楽とは全く言えない。ギリギリのレベルだと思っている。時に上司(校長)が同行するときなどは、両校校長の通訳をやることもある。
また、出発前にはオンライン会議で打ち合わせも行う。個人的な感覚ではあるが、英検1級を取得してからこれらができるようになった。また英検1級の資格を汚さないためにもこれらの打ち合わせを円滑に進めなければいけない使命を感じている。
「高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%」という数字は決して低くはないと思うが、あくまで高校教員における数値であり、英語指導に関わる教員全体でこの数値をあげたいものである。
下記は上記を含めた記事です
私の意見、受講者の意見9件
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文部科学省調査による中高英語力向上の報告を読んで思うことがあります
2024年5月9日、文部科学省から全国の公立中学・高校などを対象にした2023年度「英語教育実施状況調査」の結果が公表されました
報告内容について、多くのメディア(新聞、WEBニュースなど)が採りあげています
内容の概略は以下の通りです
◎中高生の英語力の向上が続いている
〇英検3級相当以上の英語力がある中学3年生の割合は50.0%
〇英検準2級相当以上の高校3年生は50.6%
〇22年度調査から中学で0.8ポイント、高校で1.9ポイントの上昇が見られた
〇各自治体ごとの地域差が大きい
〇高校3年生で英検2級相当以上の英語力があったのは全体の19.8%
〇中高生ともに英語力は向上しており、地域差はあるが、上位自治体では教育委員会が英検受験を促進するなどの取り組みを進めている
(さらの詳細な内容については、文部科学省のHPや各メディアの記事などを参考にしてください)
今回の調査報告の記事を読み、英語指導に長年取り組んできた立場から感じたことを以下に列挙してみました
■英検のホームページはこう書いてあります(→は私のコメント)
英検3級 中学卒業レベル
→高校入試はこのレベルで行われるはずです
英検準2級 高校中級レベル
→高校3年生の約50%がこのレベルということは半分が3級以下!
英検2級 高校卒業レベル
→大学入試はこのレベルで行われるはずであり、大学入試受験者の大半が入試問題(2級レベル)を難解と感じるはず
英検準1級 大学中級レベル
→英検1級道場では最近、この合格を目指す受講者も増えてきました(小学生からシニアまで年齢に関わらず)
英検1級 大学上級レベル
→英検1級道場では、この合格を目指す(またはこのレベルに達している)受講者が大半です
■中学3年生で3級(以上)レベルが約50%、高校3年生で準2級(以上)レベルが50%
→残りの50%の生徒のレベルが心配です、ひょっとしたらABCから練習を要する生徒もいるのではないかと危惧します
文科省も新聞も「中高生の英語力が向上している」とみているようですが、そう言い切っていいものでしょうか?
一方で、学生の多くが英語嫌いになり、落ちこぼれているということはないのでしょうか?
■英検1級道場の現役・元受講者に意見を求めています、随時追記していきます
<元受講生・現英語講師からの意見①>
〇今回の文科省からの報告より抜粋
英語担当教師においても英語力は向上傾向にある。
CEFR B2レベル(英検準1級)相当以上を取得している英語担当教師の割合は、
中学校44.8%、高校80.7%。
いずれも増加傾向にあり、今回が調査開始以来の最高値となった。
一方で、高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%と前年度比0.7%減となった。
〇コメント
英語の専門学校(予備校)では、シニア層はC1レベル(英検1級)でないと雇ってくれない。
B2レベル(英検準1級)なら大学生バイトが多数いる。
正規の学校の英語の先生は、子供たちを指導するために、C1レベル(英検1級)100%を早く達成すべきである。
<元受講生からの意見②>
大変喜ばしい事だと思います。
現在の小中高生は、私が学生だった頃と比べ、英語を学習する環境が大きく変化しています。
例えば、私が学生だった時、ALTの先生は、中学時代に、年に数回しか会った事がありません。
今は、小学3年から英語の授業が始まり、ALTの先生との授業が多くあります。
また小学校の授業はICTをフルに活用し、タッチパネルやコンピュータグラフィックス等を使用し、楽しく、色鮮やかな内容となっています。
中学では、ALTとの授業では、確か、英語オンリーで授業が展開されているはずです。
私の時代には、考えられなかったことです。
英検は4技能を総合的に伸ばす、一番良い試験だと思っています。
ですので、合格される中高生が増えていく事は、大変良い事だと思うし、それによって日本がよりグローバルな社会に発展していくはずです。
<現役受講生・現英語講師からの意見③>
公立校の英語力向上が客観的なデータで示されたのは、とても良いニュースだと思います。
英語教育環境が変わったことや、教師のレベル向上が起因しているのは好ましい変化です。
気になる点が二点あります。
まず、一つ目は、地域格差がある事。
英語教育だけでなく、他分野でも散見されます。しかし、英語に特化して英語力強化に成功した人口2万人レベルの地区もあります。(確か関東だったと思います)
また、それこそAIを使い、オンライン教育を活用すると問題は解消されると思いました。
二点目は、CEFR B1レベル(英検2級)相当以上の割合が減っている事実。
こちらの方が気になりました。(記事には、具体的な授業内容は、書かれていませんでした)
公教育を受けている生徒数が圧倒的に多いので、現在行われている授業内容の見直しが必要と思います。
2級以上のレベルは、ボリュームのある英文を読む、或いは聞く。自分の意見を理論的に話す、書く、能力が求められます。
公立学校で生徒が受ける授業のほとんどは、短文を訳す、空所補充問題では、1つの正解を求められる。これは、数十年変わっていません。横浜でも、英語授業にタブレット端末が使われていますが、単語クイズや、簡単な問題(Yes/Noを答える)ばかりの様です。
もちろん基礎練習・単語、文法は必要ですが、それらを使い、運用能力を高める授業をして欲しいと強く思います。スポーツでも筋トレばかりでは、試合には勝てません。
CEFR B1レベル(英検2級)は、先述の通り、事象に対しての思考力や、どうしてそう思うかの理由、広い知識を求められます。基礎トレーニングをばかりしていては、その先に進めません。
すべてを否定するわけではありませんが、○○級に合格する目標が達成されたからと言っても、英語をどのように何に使うか、ビジョンが掴みにくいです。
自分自身が英検準1級から勉強してみて、広い知識や教養を求められ、答えに窮した場面があります。知らないことがあまりにも多く、日本語で考えても答えるのが難しかったのです。
でも、世界中のノンネイティブは英語を駆使して活躍しています。世界と対等に渡り合う若い世代には、時代に応じた授業を受けてほしいです。
また、学校も、思考力を身に着ける授業をやってほしいです。その為に、教師の負担を軽減する。授業内容の効率化を図り(AIやオンラインレッスン)厳しいですが、他の教科を英語で行う等)、先生方の能力を向上できるサポートが必要ですね。
現状と、目指すべき地点がちぐはぐな感じがしました。集団学習の難しさを鑑みて、レベル別に指導できればいいですね。でも、この方法は差別と受け取られるでしょうか?
<元受講生-高校教員からの意見④>
「ひょっとしたらABCから練習をようする生徒もいるのはないか」ということですが、その通りだと思います。いわゆる底辺高では、そのレベルからやり直しをする生徒が多数います。
同じ高校教員でも職業が違うような感覚です。
逆に、上位層は英検2級以上を進んで受験していないようにも感じます。それは受験英語の勉強をするからです。
確かに大学共通テストが2級程度とされていて、高得点を取る生徒もいるので、実際には2級レベルに達している生徒はもっと多いと思います。
しかし、それはリーディングとリスニングのレベルであって、ライティングとスピーキングは厳しいレベルかと思います。
要するに、大学受験の英語と英検の問題の質が異なるために、英検だけで生徒の学力向上を判断するのは難しいと思われます。
せっかく進学校に入っても大人数に埋もれ英語嫌いになったり、英語についていけなくなったりする生徒はいます。
本当はこのままではいけないのですが、あまりの多忙さにそこまでのサポートができないのが悩みどころです。
<現役受講生-シニア層からの意見⑤>
学生の全体的な英語学力の向上はご同慶の至りではあるものの、設定されているそれぞれの学年レベルに逆に5割程度しか到達していないと言う理由は何なのか、又、そのレベルに達していない残りの50%は今後どのようにして学力を上げられるのかが気になります。
個人的な経験だと、学校では修行僧のように「現在完了」だとか、「第一文型」がどうだ等を問われ、外国語を学ぶ楽しさに到達する前の「日本語学習」で挫折した記憶があります。
今はどのような教え方なのかは不明ですが、表面的な数ポイントの数字に踊らされることなく、もっと学生が興味を持てる普通の日本語で理解出来る学習の方策を掘り下げて行けば、裾野が更に広がり、少なくとも私のような落ちこぼれは生まれない気がする次第です。
<元受講生-シニア層からの意見⑥>
結論:自分たちの努力のおかげで中高生の英語力の向上が続いている
根拠:
①英検3級相当以上の英語力がある中学3年生の割合は50.0%
②英検準2級相当以上の高校3年生は50.6%
③22年度調査から中学で0.8ポイント、高校で1.9ポイントの上昇が見られた
④各自治体ごとの地域差が大きい
⑤高校3年生で英検2級相当以上の英語力があったのは全体の19.8%
⑥中高生ともに英語力は向上しており、地域差はあるが、上位自治体では教育委員会が英検受験を促進するなどの取り組みを進めている
(おかしな点)
★前提として〜級相当というのは本当に正しいのか?各学校が報告時に自分たちに都合の良いように下駄をはかせているのでは?
上記根拠に対する意見
①中学卒業レベルの英語力もなしに50%が卒業していく?その残りの落ちこぼれ50%の分析がないので、もっと現状はひどい?格差は広がるのでは?
②現状中学から高校への進学率は97%です。さらに高校2級レベルの英語力も無しに高校3年生の50%が卒業していく?。
母数から鑑み出来る人とできない人の英語能力格差が更に広がっていますね?
③3%以内の変化は企業では通常は季節要因などの誤差と考えます。
④英検2級相当を高校卒業レベルと規定するのは、もはやおかしいのでは?わが国では全体の20%しか必要な能力を満たさず高校を卒業していく?
円安で外貨を稼ぎに行かねばならない日本は本当に大丈夫?
⑤地域差はもちろんだが、そもそも英検受験促進により英語能力向上が図れるのか?そもそも取り残された生徒たちをどうするか?
ここに焦点を当てない限り、この中高生英語能力の問題は解決しないはずです。無茶苦茶な論理付けだと考えざるをえません。
<元受講生-社会人からの意見⑦>
中学3年で英検3級レベルが50%、高校3年で2級相当が19.8%と前より改善してきていると思いました。
英語は授業を受ける以外に、家庭学習による影響も大きいと思います。
私が中学生だった1990年代に比べたら少なくとも中学の教科書はICT化が進み、家庭でもタブレット端末でリスニングの練習やスピーキングの練習もしやすくなりました。
昔は教科書の音声を収録したCDを入手するのが難しかったですが、今は教科書にあるQRコードをスキャンするだけで音声が聞ける。
中学生でも高校生でもそうですが、残りの50%なり80%なりは単に英検に興味がなく、かつ大学(高校)入試の対策を優先するためもしくは受験料の高さのため家庭の事情で英検は受けずに(受けられずに)、数字には表れていませんが、隠れ英検3級や2級はいると思います。
調査方法が英検の取得級の聞き取り調査であるため、このような結果になっておりますが、英検とは別な形で、無料で当該級相当のテストをさせて調査すれば、もっと上がるのではと思います。
<受講生保護者-親御様からの意見⑧>
・英語を一つの言語として習得してきた子どもたちが一定数いる
→我が家のように乳児期から国語と同じように英語に触れている子の場合、未就園児の段階で英検を受け、合格をしています。
取得する級もどんどん上がっていて、未就園児で準2級という例もよく聞きます。
また、小学生のうちに英検準1級を取得するということは珍しいことではなく、少なくとも私の子どもの周囲ではほとんどの子が取得しています。
他方で、インターや帰国子女でも小学生での英検準1級取得が難しいと聞くこともありますので、外での活動よりも、家庭での英語環境が影響するのだろうかと考えたりしています。
・地域格差、教育格差によって二極化している
→関東では様々な英語塾があり、中学受験終了後そういった英語専門の塾に通う子が多いようです。
そういった塾で中学生以降英語を集中的に学ぶことによって、中学生の間に英検準1級に合格する子が多いようです。
地方にはそのような塾はないため、地域格差、教育格差による英語レベルの差はあると感じます。
また、高校受験や大学受験において英検のスコアによって優遇されるケースが増えているため、学生がより積極的に英語を学んでいる印象を持っています。
<元受講生 現小学校英語教員 意見⑨>
1 土台としての小学校での英語教育の現場例
私は、次の調査結果については納得できる。
◎中高生の英語力の向上が続いている
〇英検3級相当以上の英語力がある中学3年生の割合は50.0%
小学校で英語を2002年より教えているが、小学生の英語力は22年前と比べて格段に向上している。
さらに英検受験者数も増え、小学校のうちに英検3級取得も一般化する方向にあり、またそれ以上の級の取得者も少なくない。そして、実際にこれらの級を取得した子供の英語力もその級なりに確かなものである。
単に試験に通過しただけでなく、運用力においても評価できる。英検の試験内容及び合否も運用力にほぼ適切に反映していると、いろいろな英語活動から捉えることができる。(統計データではなく現場感覚である)。
私はオーストラリアの小学校へ年間2回の短期留学する子供たちを引率している。8日間という短期間であるが、子供たちは現地の学校に通学し、ホームステイをし、英語漬けの生活を過ごす。
この中でも英検取得者及び取得を目指している子のコミュニケーション力は、そうでない子供たちに比べて確実に高い。
この事業は、2017年より始めたが、2023年度(2回実施)において、一定の進展を得た。この年は合計42名子供が参加した。
2017年当時は、子供たちは「(授業の)英語がわからない、通訳してください」ホストファミリーからは、「〇〇について、先生から説明してあげてください」という、いわゆる「通訳業務」依頼が大変多かった。
しかし、2023年度においては、こうした業務がほぼゼロに近かった。子供たちはなんとかして現地の学校の子供や先生、ホストファミリーと持っている英語力でコミュニケーションをとって自分なりにその時々の課題を乗り越えている。
この海外留学前に英検を受けて、合格の自信を持って出発する子、帰国後に勉強が勢いづき、受験を決意する子の2種類のタイプがある。どちらのタイプもそれぞれに受験意義があると考える。いずれにしても英検とこの海外留学は切っても切れない関係になりつつある。
保護者と英語学習に特化した個人面談がある。
英検受験に関する相談は年々増加している。「○級に合格しました」「○級に挑戦中です」「どうしても○級に合格できません、何をしたらよいでしょうか」「英検取得によって中学入試を有利にしたい」という話題が出てくる。
英検受験に対する保護者の意識も年々高くなってきている。
こうした意識変化、海外現場での運用経験など、英語力を向上させる環境が整いつつある学校は小学校といえども確実に増えている。
よって、中学校での3級取得率の向上はごく当たり前のことであり、前提に小学校での土台づくりがある。
世の中全体に、この土台構築が緩やかながらも進んでいる、その反映が今回の調査結果、特に中学生での3級取得率の向上と考える。そういった意味で、納得できる調査結果と考えている。
2 幼稚園から英語学習をすることとその後の傾向例
さらにその下の土台は、インターナショナルの幼稚園の存在もある。いわゆるインター育ちの子供たちは、入学時確かに上手に英語を話す。普段の生活の中で英語をマスターした層である。
日々生活する中で自然に英語力を身につけるという点において、これはこれで素敵なことである。一方で、小学校に入って初めて英語の勉強をするという子も当然多数いる。
この場合でも、英検3級に合格して卒業していく子もいる。6年間の学習成果である。一方で、インター育ちでも、小学校に入って普通の生活が日本語で行われる環境において、英語感覚を失っていく子も見てきた。
この層は、幼き時期、英語の学び方を学ぶことなく、自然に身につけたので、英語に対して努力をして学ぶ意識がやや弱いと感じることもある。
6年間で見ると、初心者の努力型、インター育ちの非努力型で、英検の級においてはほとんど差がない。
インター育ちで小学校2年生ぐらいで2級に合格して、そのまま上の級を取れると思っていたのが、そのまま2級で悩みつつ卒業する子もいる。
その逆に、入学時は初心者でも努力型の子で3級あるいは準2級に達する例もある。
日本で生活する上においては、英語は意識的に触れる時間を作り、少し努力して学ぼうという姿勢で取り組む時間が必要であることを示す一例かと考える。
また、学び方を学ぶ、という必要性も教えてくれている。
つまり、英語は日本においては、「自然」には学びにくい環境にある場合が通常である。さらには他の勉強の忙しさも加わってくる。
コロナ禍における休校時は、「英語を学ぶ方法を学ぶ」という観点においては、良い時期であったと考えている。対面授業ができない時期が長く続いた。オンライン学習がここで一気に意味を持ってきた。
ライブオンライン授業、動画によるオンライン教材、オンライン英会話などが花開いた。オンラインという点では同じだが、多様なオンライン学習のスタイルを経験することになった。多様な学び方を知った子が多い。
3 コロナ禍とオンライン学習、英検
先に、オーストラリア留学の点について述べた。コロナ禍で3年間中止となった。この間に、子供たちの英語力は低下し、それ以前のような活動に支障をきたすことを心配していた。
結果は、全くその逆であった。2023年度4-6年生42名がこの海外研修に参加した。コロナ禍の時は、彼らは1-3年生であり、オンライン育ち世代である。しかし、コロナ前の本研修よりも英語的に成果を上げた事実を見てきた。(具体的には前述した通りである。)
ちなみにコロナ禍においても、英検は基本的に中止することなく、実施されていた。英語学習へのモチベーションを失うことはなかったとも言える。これも調査結果と関連すると思われる。
このコロナ禍において、教員も自宅からオンライン教材を発信したり、ライブレッスンを行ってきた。通勤時間が削減された分、英語学習そのものをする時間は個人的には増えた。
こうした教員が指導すれば子供たちの英検の結果も良い方向にいくのは自然である。
4 教員の指導力と教員の英検
以下のデータが公開されている。
CEFR B2レベル(英検準1級)相当以上を取得している英語担当教師の割合は、中学校44.8%、高校80.7%。
いずれも増加傾向にあり、今回が調査開始以来の最高値となった。一方で、高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%と前年度比0.7%減となった。
先に述べたように英検受験に関する相談が保護者から年々増えている以上、教師は英検1級取得は必要と考えて、私も取得した。これまで合計3回合格している。
また前述したような海外研修に参加させる保護者の英語レベルも高い。その保護者に対して、海外研修に向けての英語学習方法、英検対策を説明し、納得してもらうには、教師側の英語力にも保護者は興味があるはずだ。
ここで保護者が教師に信頼をおけば、子供もいい力を発揮するものである。英検1級はそういった意味でも価値ある資格であり、つまり教育をも向上させるために必須の資格と考えている。
実際、オーストラリアの現地で、現地校の先生方やスタッフと業務をこなすには、英検1級でも楽とは全く言えない。ギリギリのレベルだと思っている。時に上司(校長)が同行するときなどは、両校校長の通訳をやることもある。
また、出発前にはオンライン会議で打ち合わせも行う。個人的な感覚ではあるが、英検1級を取得してからこれらができるようになった。また英検1級の資格を汚さないためにもこれらの打ち合わせを円滑に進めなければいけない使命を感じている。
「高校におけるCEFR C1レベル(英検1級)相当以上を取得している英語担当教師は21.8%」という数字は決して低くはないと思うが、あくまで高校教員における数値であり、英語指導に関わる教員全体でこの数値をあげたいものである。