英検1級道場-実りの秋 最後の総仕上げに忙しい受講生の皆さん
東京駅から新大阪まで、東海道新幹線に乗ると次のような車内放送があります。
After leaving Tokyo station, this train will stop at Shinagawa, Shin-Yokohama, Nagoya, Kyoto, before arriving at Shin-Osaka.
その直後に、車掌が日本語でこのように放送します。
「当列車は、東京駅を出ますと、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪の順に停車してまいります」
ここで、ある決定的な事実に気が付きます。
日本語の放送には、before に相当する言葉がありません。
言い換えれば、日本語は東京から新大阪まで、beforeを使わず、駅名が羅列されているにすぎません。
これに対して英語は、出発駅から終着駅の一つまで、名前が羅列され、beforeが出てきて、終着駅の名前が出てきます。
つまり、
日本語 出発駅‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 終着駅
英語 出発駅‥‥‥‥‥‥, before 終着駅
このように、微妙ですが、beforeという中学1年生で習う単語の使い方で、決定的な違いがあります。
これは、発想法の違いと言えると思います。
別の例を紹介します。
日本語 私は、明日、上野動物公園へ、友達と、山手線に乗って、パンダを見に、行くつもりです。
英語(直訳) 私は、行くつもりです、明日、上野動物公園へ、友達と、山手線に乗って、パンダを見に
このように、日本語は主語と述語の間に様々な情報が入ってきます。一方英語は、主語と述語を先に述べてしまい、その後に付帯する様々な情報がくっついてくるイメージです。
もう少し付け加えると、英語は、1問1答形式で話していく言語です。
私は行くつもりです
いつ? 明日
どこへ? 上野動物公園へ
誰と? 友達と
どうやって? 山手線に乗って
何をしに? パンダを見に
このように見ていくと、英語と日本語は言葉の使い方に決定的な違いがあります。中学1年の最初の授業で習うS+V+Oが決定的に重要だということがよくわかります。
私は、中学の最初の授業で、先生がいきなりこの文法を説明し始めたときに、英語が大嫌いになりました。
今になって思えば、上記のように見ていくと、そのように教えることは重要なのです。
では、日本人が英作文を書くとどうなるのか、見てみましょう。
新幹線の車内放送の例だと、
After leaving Tokyo station, this train will stop at Shinagawa, Shin-Yokohama, Nagoya, Kyoto, and finally Shin-Osaka.
日本人なら、必ずこのように書くはずです。
これは文法的には間違ってはいません。
意味も確実に伝わります。
しかし、ネイティブは、すでに述べたようにbeforeを使って書きます。
このようなことがあるので、私は英作文の添削における最終チェックは、ネイティブにお願いする方針をとっています。
すでにお分かりのように、日本人の私には(英語ができるほうだと思いますが)、beforeを入れるという発想が欠けてしまうからです。
私は多くの日本語検定1級を合格した外国人を知っています。
彼らと話すと、日本人と話しているのとほとんど変わりません。
しかし、文章を書かせてみると全くお話になりません。幼稚園児の作文のようなレベルなのです。
この意味で、スピーキング、リスニング能力とリーディング、ライティング能力は決定的に異なります。
これは、小学低学年生を見ればわかります。
話したり、聞いたりするのは、まったく問題がありません。でも、読ませたり、とくに書かせたりすると、大人とは雲泥の差が出てきます。
ですから、英語の4技能を客観的かつ正確に測定することが重要であり、たいへん難しい作業です。
帰国子女だからと言って、立派な文章を読んだり書いたりできるわけではありません。
日常会話が流暢であったり、リスニングがすぐれていることと、読み書きができるのは別のことです。
逆もしかりです。ニューヨークタイムズが読めるからと言って、自己紹介も十分にできない日本人がたくさんいます。
このように、4つの技能はそれぞれ独立した技能で、一つひとつ鍛える必要があります。
ただし、大切なことは、これらは相互に関連しているということです。
また、日本語の読書量の少ない人は知識量が足りず、英語で話す内容がどうしても薄くなります
最近、このようなことを強調しながら、レッスンを進めています。
このようなレッスンに興味のある方は、英検1級道場に声をかけてください。
英検1級道場では、「ハローこんにち」はを上手にするためではなく、英語の本質を理解できるようにしながら、レッスンを行います。