「持ち帰って読んでもいいですか」――安心は、納得する時間から

私たちの暮らしの中には、値段では決められない大切な物があります。
使い込んだ手帳、何度も読み返した本、家族から届いた手紙。ほかの人には古く見えても、ご本人にとっては人生の一部です。
全花連安心サービスには、そうした思いを「残したい物リスト」に書き留める仕組みがあります。
ある管理会社で、賃貸住宅の更新手続きをしていた一人暮らしの男性がいました。
担当者は、全花連安心サービスの説明を終えたあと、やわらかく尋ねました。
「もしものとき、誰かに渡してほしい物はありますか」
男性は少し笑って答えました。
「古い物ばかりです。全部、片づけてもらって構いません」
けれども、書類をしまおうとした手が止まりました。
思い浮かんだのは、台所の引き出しにある一冊の料理ノートでした。亡くなった妻が書き始め、その後は男性が新しく覚えた料理を書き足してきたものです。
「あのノートだけは、姪に渡したいな」
担当者は、急がせずに聞きました。
「では、そのお気持ちをリストに残しておきましょう。あとから書き足しても大丈夫です」
その晩、男性は久しぶりに姪へ電話をしました。
「台所に、叔母さんの料理ノートがあるだろう。いつか、お前に受け取ってほしいんだ」
電話の向こうで、姪はしばらく黙っていました。そして、明るい声で言いました。
「受け取るよ。でも、その『いつか』はまだ先。叔父さんの料理も、もっと書き足しておいてね」
男性は笑いながら、ノートの新しいページを開きました。
その日に作った煮物の分量を書き、その下に小さく、こう添えました。
「このノートは姪へ。まだ書き足す予定」
私は、備えとは、別れの準備だけではないと思っています。
何を大切にして生きてきたのか。誰に、どんな思いを渡したいのか。それを言葉にすることで、今を大切に生きる会話が始まることがあります。
全花連安心サービスは、死後事務委任契約を活用し、万一の際の解約手続き、室内清掃・特殊清掃、残置物の処分、完全消臭、鍵の返却までを支援する仕組みです。契約時や更新時には、愛用品を誰に渡してほしいかなどを「残したい物リスト」に書き留めます。
安心サービスの導入費・維持費は、大家さん・管理会社さん・入居者さんの三者とも0円です。特別な設備工事も必要ありません。
ただし、実際の作業費や保険料まで、すべて無料になるという意味ではありません。対応内容や費用負担は、加入している家財保険・家賃保証の補償範囲、限度額、支払条件などによって異なります。
管理会社さん、大家さんには、入居者さんへ「残したい物はありますか」と尋ねる時間も、住まいの安心の一部として考えていただければと思います。
入居者さんも、すぐに全部を決める必要はありません。まず一つ、大切な物を思い浮かべるところからで構いません。
残す物を決めることは、その物に込めた気持ちを、誰かへ渡す道をつくることです。
そして、リストの最後には、こんな一行があってもいいと思います。
「まだ、書き足したいことがあります」
今の暮らしを大切にしながら、いつかの安心も整えていく。そのお手伝いを、全花連は続けてまいります。
全花連:0120-152-431
電話受付 8:00〜18:00/メール24時間受付
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