コロナ禍における不動産流通の問題点を探る
昔の競売はせり売りの会場に行くと多くの人が集まり体格の良いコワモテのお兄さんが陣取り、怖いイメージがあったそうです。
したがって競売で安くマイホームを持つとなると、にらみを利かしたコワモテさんと対峙してこれと競り合う度胸と覚悟が必要であったかと思います。今みたいに開札して最高価格で決まるわけではありません。コワモテさんと張り合って争いながら価格を提示し最高価にたどりつかなくてなりません。残念ながら私は昔のシステムを経験しておりません。競売の悪いイメージの原点はこの辺にあるのかも?
見事、不動産を取得し、マイホームの現場に行くと、不思議に反社会的勢力の占拠屋さんが住んでいて、まとまった金額を退去料として請求されたりで現実的にでは大変。この時代、その道の人の資金源にもなっていたともいわれます。
三点セットに居住者がいないいことになっているのに設計屋さんと称して一室を占拠していたこともあります。
自分が当初、仕事を始めた頃はこのようにして住人、占有屋さんは、まだおりました。私もお目にかかっております。でも詰めの話し合いで「居座る根拠がなく、歩が悪い」と判断すると、すぐ立ち退いてくれたように記憶しております。余談ですが、「指のない人も引っ越しを手伝っていましたよ」と近くの住人。
競売法は、明治31年に施行されましたが、このようなことから昭和54年、民事執行法に吸収される形で廃止となります。
暴対法執行(平成3年3月1日)より前のことだと思います。
平成15年8月に民事執行法が改正され、法に触れるとに逮捕されるようになり、さらに公平なシステムになって、占有屋もかなり、いなくなりました。
しかしながらまだ踏み込んで改正しなければならない点が多々あると感じております。
この時代、任売とかで取り下げ事例は少なく、利益率が高い物件が今より多かったのではないかと思います。今は、任意売却交渉に押され、競売件数は減る傾向にもあります。(一時的?)
今、誰でも参加でき、マイホームを安く手に入れることも可能になりました。しかし、安くと言っても、結局最高価が信じられないほど高額になったり、中に入ったらカビが発生していたり水道等の事故で水浸しになっていたケースさえあります。保証金を捨てる覚悟で代金納付をあきらめ、落札の権利を放棄する人も。損をしても、最小限に損害を食い止めるための自己責任たるゆえんでもあると思います。
反社会的勢力の方は現在、自由に競売ができます。警察庁によると現在、全国の約210か所の暴力団事務所は競売による取得とのこと。
ところで民事執行法の改正、施行規則が変わると、来年の春頃から反社会的勢力の方は入札に参加できなくなるのだそうです。
入札時に反社会的勢力の関係者でない旨の誓約書を提出させ、警察庁に問い合わせて虚偽の場合は保証金は没収の上、売却不許可決定になる予定なのだそうです。許可決定のための調査期間も現行のⅠ週間から2週間になる予定。2週間となるとその分待たせられて引き渡し命令等、業務が遅くなることを意味します。反社会的勢力の人達だって保証金まで没収され、取り消されるのだから何も向かって来ないと思うんです。暴対法との関連で民事執行法を調整せざるを得なかったという政府の立場は判るのですが、政府の改正への対応はいつも遅きに失している感は否めないと思います。