コロナ禍における不動産流通の問題点を探る
コラム, お久しぶりです。
競売決定通知書とは、債権者が競売の申し立てをし、裁判所が受理、差し押さえたという通知のことです。
晴天の霹靂というより、住宅ローンを滞納したことによる当然の帰結と言わざるを得ません。
滞納していれば、予想出来たことです。原因はいろいろあります。
自分の収入に見合わない高額なマイホームを購入したことにより、支払いが滞納したことが最も多いとされています。
この先、自動的、強制的に民事執行法により、不動産引き渡し命令が発令されると競売が自動的に進んでいき、立ち退きの強制執行も予想されます。
競売は、国の民事執行法に、基づいております。
競売を回避するために、早めに専門家、債権者、金融機関等に相談をし、取り下げの交渉をすることも可能です。
また、任売を取り扱う専門会社さんはあたかも競売は、不利であるかのように宣伝しておりますが、人気があって競争率が高く権利関係が法的に複雑な物件は、競売をスルーすることにより、高額で落札できたり、不利な権利関係が消滅したりで優良物件に生まれ変わることもあります。したがって「あなたが落札されましたが自分の息子に譲ってくれませんか?」と逆に相談を受けることがあります。また、債権者も抵当権、権利関係を剥ぐためにわざと競売にかける場合もあります。
夫婦共有名義の場合、一方が同意しないと困難ですし、交渉が成立しない限り、競売の取り下げは出来ません。
夫婦共有名義は、ケースによっては、相続税対策になったり、一度に3千万円控除が所有権の持ち分割合で使えたりで、節税対策になります。
また、住宅ローン控除も夫婦それぞれ(登記割合による)が使えることになります。
しかし、三人に一人強は、離婚する時代です。こじれると財産まで処分できなくなる場合もありますが、競売は、両方に債務があれば強制的にかけられるので夫婦共有名義の物件もよく見受けられます。
通知から、1、2か月後に執行官により現地調査が行われ、また不動産鑑定人の資料から評価書、三点セットが作成され、約4か月後に期間入札の公示、そして入開札へと自動的に進みます。
開札期日の前日が、任売の取り下げのタイムリミットで、「せっかく入札したのに物件が消えていた。いわゆる取り下げになっていて残念」ということは、実際にあることです。
競売にかけられた方にも権利があります。落札日から競売確定日までの一週間以内に不服申し立ての期間があり、もし、不服申し立ての審査においてそのことが正しいと裁判所が判断した場合、せっかく落札し、その落札者に非がなくても調査が執行官の過ちだとしても)その競売自体が無効となり振り出しに戻り、やり直しになります。不服申し立ての内容が的外れの内容で却下されたとしても、数週間は確定の決定が遅くなります。なんと理不尽な。
競売にかけられても、金融機関等で経験を積んだ方は民事執行法にも詳しくこの制度を巧みに利用されている方も見受けられます。しかし、ほんの時間稼ぎにしかならず、結果的には、落札者が賃貸借も良しとしていたのにも拘わらず業務妨害を実行したとして強制執行をかけられる場合もあります。
落札者が代金を裁判所に振り込んだ時点で、法務局での登記がまだ済んでいなくても、民事執行法上では、法的に正式な所有者となります。
したがって、落札者が代金を納めれば、登記が終えていなくても強制執行をもかける事が出来ます。
改正の調整が遅れがち、不公平感、見切り発車的見地から民事執行法はザル法的要素が見受けられます。(任意売却に流れるのもそのような要素があるのかも?)
民事執行法は知れば知るほど応用できる部分があり、面白い法律です。
落札者がお金を収めた時点で所有者が確定するので、今まで住んでいた債務者は、不法占拠者となり、新しい所有者に対抗できなくなり、この家を出ていかなくてはなりません。何の権利も主張できなくなり、居住権を失います。
出ないと強制執行にかけることができます。つまり、滞納していても落札者が代金を納付する前までは、誰に言われることなく住んでいられるのです。しかし、安閑としていられません。今では不法占拠者に対して不法占拠の対価を求める人もおりです。
不法占拠者となる前の所有者が決まった時点で計画的に自らが退去するのが、タイミング的に一番良いと思います。社会的にも心理的にも。
参考までに強制執行に要した費用は、落札者が債権を裁判所で確定させた上で、事後において退去を拒んだ相手方に強制執行の全額の請求することは、可能です。
強制執行を拒み、立ち退きしないと執行日当日、裁判所指定の倉庫に業者により動産が運び込まれ、空き家の家に鍵が掛けられてしまいます。
ただし、希有な例外があります。介護の必要な身寄りのない認知症の老人の方が、強制執行を免れたケースがあったかと思います。事実、運用されて歴史がそんなに古くないので「法にそぐわないのではないか」と執行官に申し立てると「判例が少ないので」と主張しながらも方法を善処してくれる場合もあります。