ミトン かじる 身体拘束

加藤武範

加藤武範

テーマ:高齢者 介護 問題

ナーシングホームに入居されている経鼻経管栄養をされている方のお話です。
居室に訪問すると、右手にはめられたミトン(グローブ)を一生懸命に口でかじって、ミトンを外そうとされています。部屋での用事を終えて、施設の1階の事務所前まで行くと、「Tさん、ミトン取っちゃってて、ミトンをはめようとしたら、めちゃくちゃ怒ってて噛みつかれそうになった!」と、現場の看護師さんの話し声が聞こえてきました。

ミトン拘束をされている本人が、自らミトンを外そうとしたり、引っ張ったり、歯で噛みちぎろうとする行為は、医療や介護の現場で非常によく見られる拒否反応です。この行為には、本人の言葉にできない切実な理由やメッセージが隠されていると考えられています。
1. 手の自由を奪われることは、極めて強い精神的苦痛(恐怖、怒り、屈辱感)を感じているのかもしれません。 または、 ミトンの中が蒸れる、痒い、痛いといった不快感から逃れようとしているのかもしれません。さらに、「点滴が痛い」「鼻やお腹の管が気になる」という元の原因を解決したくて、邪魔なミトンを外そうとしているのかもしれません。
2. ミトンを外そうとする行為が引き起こすリスクに摩擦による皮膚トラブルが考えられます。 無理に引っ張ることで、手首や手指の皮膚が擦れて傷ついたり(表皮剥離)、水ぶくれができたりします。さらにミトンを取ろうと暴れることで、「危険」と判断され、手首をベッドに固定されるなど、より強い拘束(紐付きミトンや体幹抑制)の悪循環につながる恐れがあります。 拘束への抵抗がストレスとなり、興奮・せん妄の悪化し、認知症の周辺症状(BPSD)やせん妄がさらに悪化することも考えられます。
3. 現場で求められる対応とケアとして考えられるのは、無理にやめさせようと抑えつけるのではなく、なぜ外そうとしているのかの原因の特定と環境調整が必要と思われます。定期的にミトンを外し、汗を拭く、爪を切る、保湿する、手指のストレッチ(拘縮予防)を行いミトン内の環境チェックする。通気性の良いメッシュ素材変更も考えられます。 手が寂しくて触ってしまう場合、柔らかいクッションやぬいぐるみを握ってもらう、手遊び(お手玉など)をしてもらうことで、外す行為が減ることもあるそうです。点滴の針が痛い、経管栄養のチューブが不快など、本人が触ろうとする根本原因を取り除けないか医療陣と相談する事もひとつかもしれません。(例:点滴を夜間だけにする、服の中にチューブを隠す工夫など)。
本人がスムーズに話をすることができて、本人の気持ちが分かれば、みんな苦労しませんよね…
ミトンをかじる

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加藤武範
専門家

加藤武範(ケアマネジャー)

合同会社福寿想

リハビリ病院で医療ソーシャルワーカーをしていた経験から、地域のネットワークとも連携。従来の福祉的な視点に捕らわれない柔軟な発想で、介護を必要としている方やその家族にとって本当に必要な介護を提案します。

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