見えている景色は同じではない

蛯原健治

蛯原健治

テーマ:組織づくり チームビルディング 事業承継

組織と仕組みづくりパートナー/中小企業診断士の蛯原健治です。
社長がいちいち言わなくても、社員が勝手に動いて利益が2倍になる組織作りのコツをお届けします。



壱岐島イルカパークからの学び第二弾です。


今回の目的は、イルカと一緒に泳ぐことでした。
海の中でイルカが近づいてきて、目が合う瞬間がありました。
もちろん言葉はありません。
それでも、お互いの存在を感じ、
一緒にその場を共有している感覚がありました。
その体験を通して、ふと考えたことがあります。


それは、
「人は本当に同じ景色を見ているのだろうか」
ということです。


先日、ある支援先で組織力向上研修を行いました。
研修では、
・会社の目的
・会社の目標
・部署の目標
・自分の役割
について考えていただきました。


また、経営者からも、
・なぜ起業したのか。
・今何に悩んでいるのか。
・そして会社として何を目指しているのか。
を率直に語っていただきました。


その後、参加者の皆さんに
「会社の目的・目標は何ですか?」
と書いてもらいました。
すると、多くの方がうまく書くことができませんでした。


その時、代表者がぽつりと言いました。
「みんな書けないんだ」
そして続けて、
「僕が分かるように伝えていなかった」
と話されました。


私はその言葉がとても印象に残りました。
経営者は毎日のように会社の未来を考えています。
だから、「伝えている」と思っています。


しかし実際には、
話したことと伝わったことは違う。
伝えたことと受け取ったことも違う。
同じ言葉を聞いていても、一人ひとりが見ている景色は違います。


組織の中で起きる多くの問題は、能力の問題ではなく、
見えている景色の違いから生まれているのかもしれません。


だからこそ、
「何をやるか」
より先に、
「なぜそれを目指すのか」
「何を大切にしたいのか」
を繰り返し語ることが大切なのだと思います。


その後、私はもう一つ印象的な場面を見ました。
社員の皆さんは、組織の目的や目標をうまく言葉にできませんでした。
しかし研修の休憩時間になると、数日後に誕生日を迎える代表へ向けて、
自然とハッピーバースデーを歌っていたのです。


その光景を見ながら思いました。
見えている景色は、まだ同じではないのかもしれません。
会社がどこを目指しているのか。
自分はその中でどんな役割を担うのか。
そこは、これから対話を重ねながら共有していく段階です。
それでも、その会社には人と人とのつながりがありました。


組織づくりは、理念だけでも進みません。
関係性だけでも進みません。
理念があっても関係性がなければ、人は動きません。
関係性があっても方向性がなければ、力は分散してしまいます。


だから組織づくりとは、
「同じ景色を見ようとすること」
そして、
「その景色を一緒に見たいと思える関係性を育てること」
その両方を少しずつ積み重ねていく営みなのだと思います。


壱岐でイルカと泳いだ時、言葉はありませんでした。
それでも一緒にいる感覚がありました。
組織では、その逆が起こります。
毎日言葉を交わしていても、見ている景色は違う。
だからこそ、ときどき立ち止まって聞いてみることが大切なのかもしれません。

「今、どんな景色が見えていますか?」

今回の研修は、組織の現在地を確認する機会であると同時に、
組織づくりの原点を改めて考える時間にもなりました。



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蛯原健治(コンサルタント)

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チームビルディングコンサルティングにより、リアルな経営課題の解決、次世代の経営チームづくり、従業員の成長を三位一体でサポートし、持続可能な企業経営に結び付ける。

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