「たるみ」を正しく理解する
糸を用いたリフトアップ手術には色々な方法がありますし、糸にも様々な素材・形状のものがありますが、ここでは大まかに糸で引っ張る手術として述べてみます。
さて、この類いの手術における最大の難点は効果云々よりも顔の動き、すなわち多彩な表情に適応し切れないことではないかと個人的に思います。
通常、手術効果の程度を判定する場合は写真を撮って行いますが、これは証明写真の如くほぼ無表情で正面を向いたものです。
ところが、その状態では良く見えても表情を作った時にどこかが凹んだり引きつれたようになってしまうことがあります。そしてこれらは必ずしも修正できるとは限らず、また糸が完全には抜去できないこともあります。
近年はこうした欠点を克服するために伸縮性のある吸収性素材で作成された糸もありますが、どんな動きにも対応できるわけではなくやはり限界があります。
人の表情は千差万別であり、手術前に術後の状態を完全に予測することができません。これは止むを得ないといえばそうなのですが、決して喜ばしいことではありません。
いくらリフトアップしても不自然なために悪い意味で人目が気になるのであれば意味がないと言っても過言ではないと思います。個人的に今では長い糸で引っ張るような手術は激減し、短めの吸収される糸を用いた手術に切り替わっています。ちなみにこれは引っ張り上げるというより全体的に張りを出すというイメージを持っていただいた方が正しいと思います。