年齢で処遇しない時代へ。運送業が整えるべき“職務・評価・キャリア”

吉元康裕

吉元康裕

テーマ:人材採用・定着

運送業専門社労士の吉元です。

今日は、運送業界で避けて通れないテーマ 「高齢者の働き方」「定年制度」「処遇の仕組み」 についてお話しします。

■ 運送会社の定年は“60歳”だが、実態は違う
ほとんどの運送会社は就業規則で

60歳定年

65歳までの継続雇用義務(高年齢者雇用安定法)

を定めています。

しかし現場では、 65歳以降も1年更新で働き続けるドライバーが多数 70歳前後まで現役というケースも珍しくありません。

つまり、 定年制度は“形だけ”になっている会社が多い というのが実態です。

■ 中小運送会社の給与は「制度」ではなく「慣習」で決まる
運送業の給与体系には、次のような一般的な傾向があります。

● 固定給(基本給)
年功的に上がるケースがある。

● 歩合給(距離・件数・出来高)
実績に応じて変動する。

● 各種手当
無事故手当、評価手当、役職手当など → 人によって付け方が違う=属人的運用

つまり、 「制度としての職務給」ではなく、会社ごとの慣習で給与が決まっている これが中小零細企業が多い運送業のリアルです。

■ 定年廃止の議論は「高齢者活用」ではなく「人事制度改革」
塩野義製薬の「定年廃止」が話題になりました。 記事はこちら: https://news.yahoo.co.jp/articles/0b504433e5ba6dcf6e87aa0c5425ec02cc42b472?page=1

このニュースの本質は、 「高齢者を長く働かせる制度」ではなく「人事制度の構造改革」 にあります。

記事のポイントは次の通りです。

年齢ではなく「職務・役割・成果」で処遇する

職務等級制度があるから定年廃止が成立する

65歳で給与を下げる理由がなくなる

ボーナス廃止

退職一時金廃止

企業型DC(確定拠出年金)へ移行

つまり、 人事制度を“年齢依存”から“職務依存”へ変える改革 これが定年廃止の本質です。

■ 運送業にも「職務・評価・キャリア」の仕組みが必要
運送業は今、次の制度改革の波の中にあります。

2024年問題

トラック新法

取適法

物流特殊指定

適正原価制度

これらは、 自社で実運送できる体制を整えなければ生き残れない というメッセージでもあります。

そのために必要なのは、

処遇改善

就業環境整備

人事評価制度構築

高齢者活用

若手が将来を描けるキャリア設計

これは高齢者だけの話ではなく、 運送会社全体の経営課題 です。

■ 年齢ではなく「職務・役割・成果」で処遇する時代へ
これからの運送業に必要なのは、 年齢ではなく、職務・役割・成果で処遇する仕組み です。

たとえば、

職務等級制度(ドライバー・運行管理・教育担当など)

評価制度(安全・勤怠・顧客対応・生産性など)

キャリアパス(運転 → 管理 → 教育 → 専門職)

高齢者向けの職務設計(負荷の少ない業務への移行)

企業型DCの導入(退職一時金の代替)

こうした制度を整備することで、

高齢者が安心して働ける

若手が将来を描ける

採用力が上がる

処遇の納得感が生まれる

属人的な給与決定から脱却できる

というメリットが生まれます。

■ 最後に
運送業の高齢化は「課題」ではなく「前提」です。 だからこそ、定年延長・定年廃止をただ受け入れるのではなく、 年齢ではなく職務で処遇する仕組みを整えること が必要です。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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吉元康裕
専門家

吉元康裕(社会保険労務士)

YUTOLI社会保険労務士・FP事務所

運送業の労働時間や賃金の課題に対応。2024年問題や36協定を踏まえ、ドライバーの勤務実態に応じた制度運用を支援します。幅広い業種で企業型DCの導入や就業規則の作成・見直しも手掛けています。

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