09.バンドワゴン効果~行列がさらなる行列を作るデジタル時代の「口コミ」戦略
はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。
前回(第34回)は、デジタルを活用して物理的な商圏の限界を打ち破り、全国・世界へと価値を届けるスケールメリットについてお話ししました。
今回は、デジタルを自社に導入することでもたらされる、経営者の皆様にとって非常に嬉しい「もう一つの劇的な副産物」についてお話しします。テーマは、なぜ「人材採用」まで一気に解決するのか?です。
「求人サイトに高い掲載料を払っているのに、1人も応募が来ない」
「なんとか面接まで行っても、すぐに辞めてしまうミスマッチばかりが起きる」
今、多くの中小企業経営者の皆様にとって、売上アップと同じくらい深刻なのが「深刻な人手不足」と「採用活動の難しさ」ではないでしょうか。
実は、ホームページを整えたり、SNSや動画で自社の強みや働く人のリアルな様子を発信する「デジタル導入」は、集客だけでなく、あなたの会社にぴったりの優秀な人材を惹きつける最強の採用ツール(採用のインハウス化)へと一瞬にして姿を変えるのです。
1.求職者は応募する前にあなたの会社をネットで徹底解剖してる
なぜ、デジタル導入が採用活動の解決に直結するのでしょうか。
それは、今の若者たち(求職者)が仕事を探す際、必ず行う「行動パターン」を知れば一目瞭然です。
求職者は、ハローワークや大手の求人媒体であなたの会社に少しでも興味を持つと、応募ボタンを押す前に、100%の確率でインターネット検索をします。
そして、あなたの会社のホームページ、代表者の挨拶、さらにはスタッフブログや公式SNSをくまなくチェックします。
彼らがそこで見ているのは、給与や勤務地といった「スペック」だけではありません。
「どんな人が働いているのか」「職場の雰囲気は温かいか」「経営者はどんな想いでこのビジネスをしているのか」という、会社の「人肌感(温度感)」を確かめ、自分がそこで働く姿をイメージしようとしているのです。
もし、その受け皿となる自社サイトがなかったり、数年前から更新が止まったままの「冷たい看板」になっていたらどうでしょうか。
「この会社、本当に大丈夫かな」と不安になり、応募を思いとどまってしまいます。つまり、Web発信が不十分な会社は、応募される前の段階で、優秀な人材から静かに選択肢から外されているのです。
2.【事例】採用実績ゼロから50人の応募を獲得した清掃会社
ここで、デジタル導入(特に動画の活用)によって採用活動を大成功させた、ある清掃会社の事例をご紹介します。
その会社では、長年「きつい、汚い」といった業界特有のネガティブなイメージが先行し、求人媒体にお金を払っても新卒採用の応募数は毎年10名以下、実際の採用実績は「ゼロ(0名)」という、非常に苦しい状況が続いていました。
そこで、私たちは会社の知名度を高め、本当の魅力を伝えるために、YouTubeを活用した動画発信をスタートしました。
作成したのは、堅苦しい会社紹介ビデオではありません。
- スタッフたちが真剣に、しかし楽しそうに床をピカピカに磨き上げていく職人技のプロセス
- 「やりきった!」と笑顔で語り合う、中の人たちの飾らない日常
こうした「働く人の体温」がダイレクトに伝わる1〜2分の動画をコツコツと発信し続けました。
結果はどうなったでしょうか。
清掃という仕事の本当のプロ意識や、社内の温かいチームワーク(人肌感)が画面を通じて求職者の心に届き、応募数は一気に50名へと跳ね上がりました 。そして、長年の悲願だった新卒採用を、大成功の形で実現することができたのです。
大手の求人サイトに頼る「待ちの採用(プッシュ型広告への依存)」を辞め、自社のWeb資産を磨いて求職者を惹きつける「採用のインハウス(内製)化」を達成した、素晴らしい好例です。
3.「人なり」の発信が、ミスマッチを根絶する
第20回でお話しした「スタッフブログ」や、X(旧Twitter)での日々の飾らない挨拶は、顧客だけでなく、未来の仲間に対しても強烈な「安心感」を与えます。
「今日のランチはみんなで中華丼を食べました」といった何気ない投稿が、求職者にとって「この人たちと一緒に働きたい」と思わせる決定打になります。
さらに、自社の「想い」や、時には「うちはスピードより丁寧さを重視する会社です」といった正直なスタンス(弱みの開示)を日頃からネット上でさらけ出しておくことで、その考え方に心から共感した「相性の良い人(ミスマッチのない人材)」だけが自ずと集まるようになります。
結果として、入社後の離職率が劇的に下がり、定着率が高まるという、お金には換えられない素晴らしい経営基盤が整うのです。
デジタルは、会社の「温かみ」を届けるパイプライン
デジタルマーケティングを学ぶことは、単にお客様を増やして売上を上げるための技術ではありません。
それは、あなたの会社が持っている「働く場所としての魅力」や「経営者の熱い想い」を、世の中の求職者に届けるための太いパイプラインを作る作業でもあるのです。
高額な求人広告に毎年何百万円も使い続ける自転車操業を、今こそ終わりにしましょう。
まずは自社のホームページに、代表であるあなたの「顔写真」と、飾らない「想い」をしっかりと掲載することから始めてみてください。その温かい一歩が、未来の素晴らしい仲間をあなたの会社へ引き寄せる、確実な磁石になるはずです。


