33.顧客の一番の関心事を捉える「One to Oneマーケティング」とは?
はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。
前回(第35回)は、ホームページやSNSを磨き上げるデジタル導入が、お客様を集めるだけでなく、自社にぴったりな優秀な人材を引き寄せる「採用のインハウス(内製)化」に直結するというお話をお伝えしました。
自社のデジタル集客やホームページ制作を進めていくと、制作会社や専門のコンサルタントと打ち合わせをする機会が増えてきます。
その際、彼らの口から「オムニチャネルを構築しましょう」「これからはコンテンツマーケティングが主流です」といった横文字の専門用語が次々と飛び出してきて、戸惑った経験はありませんか?
「なんとなく聞いたことはあるけれど、本当の意味はよく分かっていない」
「知ったかぶりをして聞き流してしまったが、実は今さら人に聞けない」
経営者の皆様から、このような本音をよくお聞きします。
もちろん、皆様がマーケティングの専門家になる必要はありません。しかし、相手の提案が本当に自社のためになるのか、それとも彼らの得意なサービスを売りつけるための「我田引水(がでんいんすい)型」の提案なのかを正しく見極めるためには、最低限の「現代マーケティング用語」を正しく理解しておく必要があります。
今回は、これだけは絶対に押さえておきたい代表的な4つの用語を、経営者視点でスッキリと噛み砕いて解説します。
1.コンテンツマーケティング(有益な情報発信による集客)
専門会社が「これからはコンテンツマーケティングです!」と提案してくることがありますが、これは難しい技術の話ではありません。
一言で言えば、「売り込み(広告)をせず、お客様の悩みや疑問を解決する『お役立ち情報(コンテンツ)』を提供し続けることで、信頼を勝ち取り、ファンになってもらう手法」を指します。
自社商品の「売り込み」ばかりが並んだテレビCMや、スペックの解説だけの無機質なホームページは、顧客に警戒されて敬遠されます。
そこで、第6回でお話しした「ギブ・ストーキング」の姿勢に基づき、お客様が本当に知りたいノウハウを惜しみなく発信するのです。
例えば、私がかつて支援した不動産投資会社の事例があります。
その会社では、いきなり「マンションを買いませんか?」と売り込むのをやめました。代わりに、「不動産投資で初心者がやりがちな大失敗と、その回避策」を徹底的にまとめた無料のお役立ち小冊子(コンテンツ)をサイトに用意してプレゼントしました。
このコンテンツマーケティングを徹底した結果、わずか半年間で8万人もの会員を獲得し、年間50億円の出資が集まるという劇的な成果を上げることができたのです。
2.オムニチャネル(どこからでも繋がれる、境界線のない顧客
「オムニ」とはラテン語で「すべて、あらゆる」という意味です。
オムニチャネルとは、「実店舗、ホームページ、SNS、LINE、メール、コールセンターなど、あらゆる顧客との接点(チャネル)を連携させ、お客様がどこからでも同じように快適に自社と繋がれる仕組み」を指します。
第23回で、コールセンターやLINE、FAQサイトといった複数の問い合わせ窓口を用意する「マルチチャネル」の重要性をお話ししました。オムニチャネルは、それをさらに進化させたものです。
例えば、お客様が「お店(リアル)で見て気に入った服を、その場では買わずにスマホ(デジタル)から注文し、後日別の店舗で受け取る」といった、実店舗とネットの境界線をなくした便利な買い物体験がこれに当たります。
デジタルだから、リアルだから、と分けるのではなく、お客様が「一番ラクに、心地よく付き合える環境」を最優先で整えてあげる、最上級のおもてなし設計のことなのです。
3.インハウス(内製化・自走)
インハウスとは、「これまで外部の代理店や制作会社に丸投げしていたWeb運用や採用活動、記事執筆などを、自社で運用(内製化)できるようにすること」です。
外部に完全に依存し続けると、修正するたびに追加費用が発生し、何より「自社にノウハウがまったく蓄積されない」という最大の経営リスクを抱えることになります。
私(森和吉)がコンサルタントとして活動するうえで、最も大切にしている理念が、まさにこの「インハウス(自走支援)」です。
私は「契約期間の縛り」を一切設けていません。いつでも解約していただいて结构です、というスタンスを貫いています。それは、クライアント企業様にいつまでも私に依存してもらうのではなく、一日も早く自立し、自社の力でホームページを改善し、SNSを更新し、求職者を集められるようになってほしいと本気で願っているからです。
4.必ず覚えておきたい「CVR」と「LTV」
打ち合わせで非常によく使われる「データ(数値)」に関する超重要用語です。
◆CVR(コンバージョン率・成約率)
サイトを訪れた人のうち、問い合わせなどの成果(成果=コンバージョン)に至った人の割合です。一般的なランディングページ(LP)の平均値は2〜3%程度と言われています。もし1%未満であれば、ページに何らかのネガティブな不備があると判断できます。
◆LTV(顧客生涯価値)
1人のお客様が生涯を通じて、あなたの会社にもたらしてくれる合計利益のことです。第21回でお話しした通り、売り方を単発販売からサブスクリプション(定期購入)に変えるだけで、このLTVを6倍から12倍に跳ね上げ、経営を劇的に安定させることが可能になります。
専門用語は、騙されないための「盾」である
繰り返しになりますが、これらの難しい横文字を暗記することが目的ではありません。
経営者の皆様がこれらの基本用語を知っておくべき本当の理由は、専門家や制作会社と対等に話し合い、「彼らの都合の良い提案に騙されないための『盾』を持つため」です。
言葉の意味が分かっていれば、「そのオムニチャネル提案は、うちの地域密着のビジネスモデルに本当に必要なのですか?」と、自信を持って問い返すことができます。
デジタルマーケティングの本質は、どれだけ最先端の用語を知っているかではなく、ネットの向こうにいる「たった一人の人間」をどれだけ誠実に思いやれるかです。
基本をしっかり押さえたうえで、皆様の等身大の「体温(人肌感)」を届ける発信に、自信を持って取り組んでいきましょう。


