【全ては売上に繋げる思考と準備と実行】アポは取れるのに、受注に至らない。その間で何が起きているのか?
営業歴30年、50万件の商談音声を分析してきました。
営業ブランディング設計士の奥田邦博です。
営業会議の議事録を拝見すると、どの会社でも失注理由の欄には、
だいたい同じ言葉が並んでいます。
「価格が合わなかった」
「タイミングが悪かった」
「他社に決まった」
この三つで、ほぼ全部です。
業界が違っても、商材が違っても、不思議なくらい同じ三つ。
もしこれが本当なら、打ち手は値下げしかなくなってしまいます。
でも、実際の商談音声を聴くと、まったく別の景色が見えてきます。
断られた瞬間、営業は何をしているか
音声の中で、お客様が「今回は見送らせてください」と口にする。
その直後の営業の言葉を、私は何万件と聴いてきました。
いちばん多いのは、これです。
「承知しました。またご縁がありましたら」
きれいな引き際に聞こえます。
ただ、ここで商談は本当に終わってしまう。
理由を何ひとつ持たずに。
なぜ聞かないのか?
聞き方を知らないから?
失礼だと思っているから?
……いや、もっと単純な話だと思うのです。
断られた場は、痛い。
一秒でも早くその場を離れたい。
だから聞けない。
私も営業でしたから、この気持ちは骨身に染みて分かります。
断られた直後に
「差し支えなければ、理由を」
と踏みとどまるのは、想像以上に胆力の要ることです。
でも経営者の立場から見ると、ここで会社は大きなものを失っています。
断りの言葉には、本音しか入っていない。
考えてみると、少し面白い構造があります。
商談の最中、お客様は気を使います。
「いいですね」
「検討します」。
関係を壊さないための、
社交の言葉が混ざる。
ところが、
断ると決めた後のお客様は違います。
もう買わないのだから、取り繕う必要がない。
だからこの瞬間だけ、本当のことを話してくれる。
「正直、御社が何屋さんなのか、最後まで掴みきれませんでした」
「提案は良かったんです。ただ、社内で説明できる自信がなくて」
「実は最初の見積もりの出し方で、少し引っかかっていました」
実際の音声に残っていた断りの言葉です。
価格でも、タイミングでもない。
商談中の百の相槌より、断り際の一言のほうが、はるかに正確に自社を映しています。
断りとは、お客様が最後にくれる、いちばん率直な診断書なのです。
これを聞かずに帰るということは、
診断書を受け取らずに病院を出るのと同じことです。
「失注の記録」と「断りの資産」
ここに、二つの会社があるとします。
一つは、失注を「価格・タイミング・他社」の三分類で記録する会社。
数字は貯まりますが、次の商談は何も変わりません。
もう一つは、断られた理由を一件ずつ言葉のまま残す会社。
「何屋か分からなかった」が三件続けば、直すべきは営業トークではなく、
会社の自己紹介そのものだと分かる。 「社内で説明できない」が続けば、
必要なのは値引きではなく、稟議を通すための資料だと分かる。
同じ失注でも、片方はただの過去で、もう片方は次の受注の設計図です。
断りは、集めて言葉として残した瞬間に、資産に変わります。
経営者にできること
営業担当者に「断られたら理由を聞け」と号令をかけるだけでは、たぶん変わりません。
痛い場で踏みとどまる胆力の問題を、個人の根性に預けてしまうことになるからです。
仕組みとして、三つだけ。
1、失注報告の欄から「価格・タイミング・他社」の選択式をやめ、お客様の言葉をそのまま書かせる。
2、断られた案件の報告を、責める場ではなく「よく持ち帰った」と労う場にする。
3、集まった断りの言葉を、月に一度、経営者自身が読む。
3つ目が、一番効きます。
断りの言葉の束は、市場(お客様)から見た自社の姿を、どんな調査より正直に教えてくれるからです。
営功社の声資産化
弊社では、この断りを含む商談の声を分析し、会社の資産として言葉に残す支援を行っていますが、
まずは直近の失注案件を一件、担当者と一緒に振り返ってみて下さい。
断りの中には、次に選ばれる理由が眠っています。
株式会社営功社 営業ブランディング設計士 奥田邦博
市場の声を会社成長の材料となる営功社の声資産化


