ブラックロック、プライベートクレジット融資先で初デフォルト、市場の「逆風」は現実に

安東隆司

安東隆司

テーマ:あまり報道されないニュース

米資産運用大手ブラックロックのアジアにおけるプライベートクレジットファンドで、
融資先企業で初の債務不履行(デフォルト)が発生したと報じられました。
返済に失敗したのは中国企業で、未払い元本は2750万ドル、未払い利息は約1200万ドルに上るとされています。
ブラックロックは法務および財務アドバイザーを起用し、対応を検討しているとのことです。

今回デフォルトが発生したファンドは、設定時の調達額が約4億3500万ドルと報道されています。
個別案件として見れば、ただちに市場全体を揺るがす規模ではないかもしれません。
しかし、「世界最大級の運用会社でも、プライベートクレジットでデフォルトが表面化した」という事実は軽く見るべきではないでしょう。
投資家は、ブランドの大きさだけで安心してよい局面ではなくなってきたのではないでしょうか。

1兆8000億ドル規模のプライベートクレジットファンド市場は解約請求が増加する中、米国で逆風が強まっている。ブラックロックのアジアのプライベートクレジット戦略は、パフォーマンスの低迷や提携の頓挫、主要投資家や幹部の離脱に苦しめられており、今回の不履行はさらなる打撃となる。
引用:Bloomberg 2026/4/14「ブラックロックのプライベートクレジット、融資先企業が初デフォルト」

ここで重要なのは、単なる一件の焦げ付きではない、という点です。
記事が示しているのは、解約請求の増加、パフォーマンスの低迷、提携の頓挫、主要投資家や幹部の離脱といった複数の悪材料が重なっていることです。
つまり、プライベートクレジット市場を取り巻く逆風は、一部の小規模プレーヤーだけの話ではなく、巨大運用会社においても無関係ではないということです。

プライベートクレジットにおける不履行自体は珍しくない。
しかし、人工知能(AI)による事業への悪影響や借入コストの高止まりといったリスクを背景に不履行が増加し始めるとの懸念が強まっている。
UBSグループは2月に公表した分析で、デフォルト率が現在の3-5%から最大で15%に急上昇する可能性があると警告した。

引用:Bloomberg 2026/4/14「ブラックロックのプライベートクレジット、融資先企業が初デフォルト」

このUBSの警告は、かなり重い意味を持つのではないでしょうか。
プライベートクレジットのデフォルト率が、3~5%から最大15%へ急上昇する可能性があるというのです。
人工知能(AI)による事業への悪影響や借入コストの高止まりが、借り手企業にどの程度の打撃を与えるのか。
投資家は、これまで以上に慎重に見極める必要があるでしょう。

リーマン時にも問題になった「流動性」=換金性

今回のようにデフォルトや逆風が意識される局面で問題になるのが、流動性です。
プライベートクレジットやヘッジファンドは、流動性に欠ける商品が多くあるのです。
今後の業績悪化による格下げ発生のリスクがあるならば、格下げ後に換金できない資産に投資することをためらうべきではないでしょうか。
しかし、販売員のセールストークを信じた投資家は、後になって解約ができない局面で「これは、まずかったかも?」と気付くのです。
いわゆるリーマンショックと呼ばれる金融危機が2007年以降に発生しました。2008年にも「解約したくても解約できない」という事象が発生していたのです。

プロ投資家がETFの優位性に気づく。流動性の高さ!

2008年の金融危機で、株式も債券も下落していく局面を迎えました。そして、ヘッジファンドや様々なファンドで解約ができない事態が発生しました。
そのような局面でも、換金性を持っていた商品がETFです。(注 全てのETFを指すものではありません)
ETFは市場に上場しており、相対で買手を探さなければいけなかった非上場商品と異なり、換金ができたケースが発生したのです。
 これを機に、プロ投資家はETFという商品の流動性の優位性に気づくことになったのです。更に運用コストもアクティブ型のファンドやヘッジファンドよりも安いケースが多く、その後の大ヒットに繋がってきたのです。

販売者の言うことを鵜呑みにすると、危険が伴う場合があるのです。そしてそれは「世界最大の~」と言われる会社であっても、盲信すると危険な場合があるのです。

販売者は、わざわざセールスしにくくなる、「不都合な真実」を語らないのです。
 また、メディアも広告主に忖度して、悪いニュースを積極的に伝えることを期待しにくいのです。

リスクをわかった上で、高いリターンを期待して投資したのなら、仕方がないでしょう。
しかし情報弱者が販売員のセールスに乗って投資をし、結果的に失敗してしまうのは、気の毒だと思うのです。

なお、あなたがアドバイザーだと思って取引している人のほとんどは販売者です。
そして運用の現場経験もなく、セールスしている商品のリスクを深く理解しているとは言えない場合も多いと考えられるのです。


********************
「あまり報道されないニュース」として記事の執筆をし続けてきましたが、大きな損失が出るタイミングで「ヤバいニュース」として報道されるようになってきます。

筆者のプライベートクレジットへの警鐘は2025年6月から特集をしています。
過去「プライベートクレジットに投資する前に知っておくべきことシリーズ」の特集は下記リンクから参照可能です。

(1)サブプライム構造と同じか?
(2)その会社の格付を信用して大丈夫?
(3)損切り実施の動きも
(4)米国では逆風か?
(5)人気は本当なのか?

米金融界「ゴキブリ」論争? (1) プライベート・バンカーだから信頼できるとは限らない
米金融界「ゴキブリ」論争?(2)、融資対象不動産が別事業体に
プライベートクレジット、デフォルト率急上昇の可能性が…
解約停止になったプライベートクレジット!情弱が被害に遭う…
自爆補填!? 世界最大のプライベートクレジット、Bストーン…
プライベートクレジット、解約リクエストも解約できない……
モルガン・スタンレーも解約制限に。プライベートクレジット…
プライベートクレジット「投資不適格」へ格下げ!KKR系…
プライベートクレジットの解約制限、アレスもアポロも
プライベートクレジットの次はヘッジファンド? 販売者サイドに注意したい理由
FRBが米主要銀行にプライベートクレジットの情報を請求、「銀行を介さない」商品なのに、なぜ?

********************
※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
  実際に発生している事柄の報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。

本コラムは信頼できると判断された情報をもとに作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。

資産運用のご相談、メディア取材、セミナーのご用命は下記リンクの弊社HPお問合せフォームよりご連絡ください。
RIA JAPAN おカネ学株式会社 お問合せフォーム

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

安東隆司プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

海外ETF・相続専門家の資産運用管理コンサル、RIA

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のお金・保険
  4. 東京の資産運用
  5. 安東隆司
  6. コラム一覧
  7. ブラックロック、プライベートクレジット融資先で初デフォルト、市場の「逆風」は現実に

安東隆司プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼