プライベートクレジット、解約リクエストも解約できない? ブラックロックでも
米連邦準備制度理事会(FRB)が、主要なアメリカの銀行に
プライベートクレジットへのエクスポージャーについて詳細な情報を求めていると報じられました。
*エクスポージャー:直接的にかかわる特定のリスクにさらされている資産の割合のこと(QUICK Money World用語集より)
米連邦準備制度理事会(FRB)は、主要な米銀に対しプライベートクレジットへのエクスポージャーについて詳細な情報を求めている。
事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。プライベートクレジットファンドで解約請求が急増し、不良債権が増えていることを受けたものだ。
引用:Bloomberg 2026/4/11 「FRB、プライベートクレジットに関連し米銀に詳細情報の提供要請」
プライベートクレジットは「銀行が直接介在しない融資」と言われてきたが、なぜ銀行に詳細情報を求めるのか
プライベートクレジットは、これまで銀行が直接介在しない融資とされてきました。
プライベートクレジット、あるいはプライベートデット投資とは、プライベートクレジットファンドや事業開発会社(BDC)などの銀行以外の主体が、民間企業に資金を供給するために提供する、公に取引されない債務性の金融商品を指す。
引用:米連邦準備制度理事会(FRB) 2024/2/23 FEDS Note「Private Credit: Characteristics and Risks」 より、RIA JAPAN和訳
プライベートクレジットは、銀行が直接介在しない融資を指す。投資ファンドや保険会社といった銀行以外の金融機関(ノンバンク)が資金の貸し手となり、中堅・中小企業が借り手となるケースが多い。
引用:日本経済新聞 2026/3/26 「プライベートクレジットの正体 銀行介さぬ融資、解約急増で漂う暗雲」
ここで素朴な疑問が生じます。
プライベートクレジットが「銀行が直接介在しない融資」であれば、
なぜFRBは今、銀行に対して詳細な情報を求めているのでしょうか?
プライベートクレジットは「銀行に代わる新しい資金供給」「ノンバンクによる柔軟な融資」「プロ向けの高度な投資機会」といった言葉で語られてきました。
しかし、解約請求が急増し、不良債権が増え始めた局面で、監督当局が銀行に対して詳細情報を求めているのです。
つまり、この市場が「銀行の外側だけで完結する世界」ではなかった可能性を示しているのではないでしょうか。
銀行の外側だけでは完結しない可能性
FRBのFEDS Noteでは、銀行とプライベートクレジットとの接続が強まりつつあることも示されています。
プライベートクレジットファンドに対する銀行融資は中程度に見える一方で、両者の相互接続性は高まりつつある。第一に、銀行は新規案件の資金供給においてプライベートクレジットファンドとの提携を強めている。第二に、銀行は自らが実行した融資にかかる規制上の資本負担を軽減するため、複雑な債務商品をプライベートファンド運用者に売却する動きを強めている。
引用:米連邦準備制度理事会(FRB) 2024/2/23 FEDS Note「Private Credit: Characteristics and Risks」より、RIA JAPAN和訳
表向きには「銀行が直接介在しない」とされてきた市場であっても、実態としては銀行と無関係ではなかった。
だからこそ「問題が表面化し始めてからFRBは銀行への情報提供を求めたのではないか」と考えるのが自然でしょう。
「銀行の外側の成長市場」だけでは収まらなくなってきた
これまでプライベートクレジットは、「選ばれた人向けの商品イメージ」で強力に販売が進められてきました。
しかし、解約請求の急増、不良債権の増加、そして監督当局による詳細照会という流れを見ると、もはや「銀行の外側に広がる新しい融資」という説明だけでは足りなくなってきたように思えます。
筆者は以前から、
複雑で中身の見えにくい商品ほど、販売時には都合のよい面ばかりが強調されやすいという事柄に対し警鐘を鳴らしてきました。
高い利回り。
プロ向け。
富裕層向け。
銀行とは違う柔軟性。
こうした言葉は魅力的に響きます。
一方で、流動性の制約、評価の不透明さ、借り手の質、景気悪化時の換金リスク、さらには金融機関との接続可能性といった論点は、販売の場でどこまで丁寧に説明されていたでしょうか?
販売者は「不都合な真実」を積極的には語らない
販売者は、売りにくくなる不都合な真実を、積極的に語るとは限りません。
中身が腐っているレモンを売る人が、その傷み具合を自分から細かく説明しないのと同じです。
金融の世界でありがちな事象で、新商品のセールス時には「新しい投資機会」「高度な分散投資」「限られた人だけがアクセスできる魅力的な運用」などと、セールストークが踊ります。
ところが、流れが変わり雲行きが怪しくなると、今度は「想定外の環境変化」「一時的な市場の混乱」と説明されたりします。
投資家は、過去から繰り返されてきた、新しいテーマ営業にもっと敏感であるべきでしょう。
今回、FRBが主要銀行に対して詳細な情報を求める段階に入ったこと自体が、
この市場を「一部の投資家だけの閉じた世界の話」と片付けられなくなっていることを示しているのではないでしょうか。
真の顧客本位とは何か
筆者が考える真の顧客本位とは、流行している商品や、高い手数料を取りやすい商品をうまく売ることではありません。
お客様の資産全体に寄り添い、流動性、コスト、リスク、わかりやすさを踏まえて助言することではないでしょうか。
「銀行が直接介在しない新しい融資」
「プロ向けの高度な商品」
「富裕層だけがアクセスできる投資機会」
こうした言葉に飛びつく前に、本当に自分自身が理解できる商品なのか、
必要な時に換金できるのか、リスクは誰がどこまで負うのか、
そうした内容を顧客に分かりやすく説明できる存在こそが、顧客に寄り添ったアドバイザーであり、真の顧客本位の実践だと言えるのではないでしょうか。
※ 特定の会社に対する攻撃や悪意のアンチコラムなどではありません。
実際に発生している事柄の報道を引用しつつお伝えしました。
※ 特定の銘柄の分析や推奨などではありません。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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