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動機づけの基礎理論を学ぶシリーズ⑦ 職務設計理論

安澤武郎

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テーマ:経営者向け

組織マネジメントにおいて、「動機づけ」が必要な場面は多々あります。意欲の高い社員はすぐに行動に移しますし、困難な課題にぶつかっても諦めずに知恵を絞ります。言われたことだけではなく、新しい工夫を試し、プラスアルファの挑戦をします。そんな社員で溢れる企業にしたいと誰もが思いますが、経験に頼っていては実現もままならないでしょう。

「動機づけの基礎理論」を学ぶことで、「人が行動をとる理由を理解する助けとなり、個人や集団の行動パターンを予測することや、必要な行動を促すこと」ができるようになります。また、「自分自身の動機を理解し、自己管理能力を高めること」のマネジメントを担う人にとっては必須のスキルです。

本シリーズでは、9つの動機づけ理論を紹介します。ご自身の仕事において、うまくできていること、できていないことを点検し、改善に結びつけて頂ければ幸いです。



前回は「強化理論」でしたが、今回は「職務設計理論」です。これは、仕事そのものにやりがいがあって、人が動機づけられる様な職務設計にしようという話です。人がやりがいを感じる職務にはどの様な特徴があるかというと、下図の5つ(多様な技能が活かせ、重要な仕事で、自分の持ち場で完結でき、自分に裁量があり、結果の良否に関するフィードバックが得られる)というものです。


職務設計理論


直感的に分かると思いますが、簡単なパズルを解くより、複雑なパズルを解いた方が達成感はありますし、自分の技能にプライドを持てるのでやりがいが生じます。また、重要と位置付けられているほど、自分の貢献を実感できるので良いですし、製品の仕上げまで行うとか、自分の持ち場で完結できる仕事の方が達成感は得られます。かつてキヤノンのセル生産方式がカメラの生産性を伸ばしましたが、これらの条件が当てはまっています。

最近では、マーケティングや営業組織で分業体制が敷かれることが増えているかと思います。マーケティングでの顧客集客から、インサイドセールスやフィールドセールスでのセールス活動、そしてカスタマーサクセスまでの工程を役割で分け、売り上げを最大化していく考え方です。セールスフォースドットコム社が活用していた「The Model」という営業プロセスモデルがベースとなっていますが、2019年に福田康隆氏が書籍『THE MODEL』を刊行されたことにより日本での普及も進みました。

このモデルは専門領域が分割されていますので、早く技能を習得し、一人前になることができます。一方で、その職能ばかりを仕事にしていると、早く成熟してしまい、やりがいが減るリスクがあります。少し複雑で習熟に時間を要す職務の方が、最終的にはやりがいを高めるかもしれません。中長期的に社員を活躍させたければ、「役割のローテーションをして、魅力的なキャリアパスを登れるようにすること」「後工程の部署からの建設的なフィードバックを送る仕組みを構築すること」など、やりがいを高める工夫を施すことは必要になるでしょう。

いずれにせよ、仕事自体から得られる内的動機は強力ですし、仕事そのものにやりがいがあれば、創意工夫もなされていきます。ビジネスモデルと同じく、仕事のディテールを作り込むのも経営の仕事です。社員がやりがいを感じられる仕事を増やしていきましょう。

明日は、「公平理論」です。楽しみにしてください。


また、動機づけ理論のまとめ資料は以下のリンクからダウンロードできます。
動機づけの基礎理論

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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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