社長の力量が足りないと社員は育たないのか? (3/3)
組織マネジメントにおいて、「動機づけ」が必要な場面は多々あります。意欲の高い社員はすぐに行動に移しますし、困難な課題にぶつかっても諦めずに知恵を絞ります。言われたことだけではなく、新しい工夫を試し、プラスアルファの挑戦をします。そんな社員で溢れる企業にしたいと誰もが思いますが、経験に頼っていては実現もままならないでしょう。
「動機づけの基礎理論」を学ぶことで、「人が行動をとる理由を理解する助けとなり、個人や集団の行動パターンを予測することや、必要な行動を促すこと」ができるようになります。また、「自分自身の動機を理解し、自己管理能力を高めること」のマネジメントを担う人にとっては必須のスキルです。
本シリーズでは、9つの動機づけ理論を紹介します。ご自身の仕事において、うまくできていること、できていないことを点検し、改善に結びつけて頂ければ幸いです。
前回は「X理論とY理論」でしたが、今回は「動機づけ衛生理論」です。これはフレデリック・ハーズバーグが1959年に提唱したものです。福利厚生を充実させ、待遇を良くするだけでは、社員の満足は得られないという話です。なぜならば、社員が不満に思う要素を取り除いてもそれが満足を得る要素と違うからです。満足を得られる要素は、達成感や承認を得られることにあるようです。
やっぱり、仕事そのものが面白くないと満足は得られないですよね。
どうでしょう?この考えに共感できるでしょうか?
こういった調査は、アメリカでアメリカ人がアメリカ人について考えだしたものであり、国民性や文化圏の違いによる違いは十分に考慮されていません。ですので、不確実性の回避の特徴が強い日本では、満足を得るための要素は「達成感」ではなく、「仲良く仕事をして生活が安定する」かもしれません。この辺りは理論を鵜呑みにするのではなく、しっかり検討をしないといけない点ですが、その強弱はあれ、「満足に影響を与える要因」と「不満足に影響を与える要因」は違うということは言えると思いますし、「仕事そのものが面白ければ、満足感が高まる」ということは真でしょう。
仕事を面白くするために必要なことは、「頑張ったら結果が出る」というシンプルなことです。
結果を出せばちゃんと報酬に結びつくかどうか、その報酬が魅力的か、ということが加わると更にモチベーションは高まりますが、それでも「そもそもの仕事自体が面白い」ということが出発点であり、これに勝る動機づけはないでしょう。
そのために必要なことは、
勝てるビジネスモデルにすること
成長戦略・商品戦略・営業戦略をしっかり練り、筋の良い作戦で戦わせること
そして、スーパーな人ではなくとも成功できる仕組みを作ることが第一です。
次に現場の仕事のディテールをしっかり構築していくことです。
成果を出そうとした時に、提案資料の構成、トークスクリプト、データの見方、判断基準の整理、等々
ちょっとした差で成果の出方が変わります。一流と平凡の差はここにあります。
現場リーダーを中心に、属人的な仕事を組織の型として整備することは大切です。
また、組織内で協力し合える組織風土も大事になってきます。
思いついたアイデアを実現しやすい組織
リーダーが後押しして挑戦させてくれる組織
はイノベーション生み出す必要条件でもあります。
そして、最後に重要なことは、実際に「達成させる(結果を出させる)」ことです。
「達成する(結果を出す)」ということがビジネスの目的ではありませんが、
「達成する(結果を出す)」ことで人や組織は強くなり、自分たちを信じて次の挑戦に向かえます。
どの様な理論を学ぶよりも、その経験が貴重です。
上記のような「社員が頑張ったら成果を出せる環境」を作るのは経営の仕事です。
一朝一夕でできるものではありませんが、一度作れば強いものです。
腰を据えてじっくり取り組みましょう。
明日は「マクレランドの欲求理論」です。楽しみにしてください。
また、動機づけ理論のまとめ資料は以下のリンクからダウンロードできます。
動機づけの基礎理論